私の思い まちづくり・経済・交通 総務・人事 議  会 教育・文化
福祉・医療 平和・交流 その他 総合メニュー

(No.428)2015年2月24日

次世代への健全なまちづくり

昨年の2014年12月6日発行の全国版の経済週刊誌「週刊ダイヤモンド」の特集記事「ゼネコン不動産」に、広島のことが『災害復興よりもおいしい駅前再開発と米軍岩国基地』という見出しで掲載されていましたので紹介させていただきます。

「災害復興バブル?そんな景気のいい話はもうありませんよ」。不謹慎かもと断りながら苦笑するのは、広島市内の建設業界関係者だ。

8月の集中豪雨で74人が亡くなった広島市の土砂災害。損壊・浸水した住宅は4,500軒を超え、今も復旧作業が進められているが、地元の業界関係者の間では「あまりうまみのない仕事」という認識が広がりつつあるという。

(中略)

インフラの復旧や二次災害を防ぐ応急措置といった一刻を争う工事は、掛かった費用を後から自治体に請求できたため「言い値に近い仕事だった」(業界関係者)からだ。

住民の生命と財産を確実に守り、安心して安全に暮らせる生活環境の確保を図ることは、まさに行政と政治の最大の責任です。その責任を果たすため、災害復旧・復興は、行政として一刻も早く成し遂げなくてはならないことだと思います。そうした観点から言いますと、記事の中略以降で紹介されていることも当然考えられることだと思います。

だが、発生から1ヵ月が過ぎたころから潮目が変わったという。工事が入札制になり、予算という『天井』が付いた。また、局所的な土砂災害で被災地の範囲が限られているため、大型工事があまり見込めないことも分かってきた。

私たちの耳にも、市からの災害復旧工事が入札不調になり、再調整をしなくてはならない工事現場があるのではないかということが入ってきています。その上、東日本大震災の大型復旧工事や首都圏の再開発工事等もあり、人件費や資材費の高騰のため工事費が急騰しているといったことも聞こえてきています。

しかし、そうした中にあっても、行政には、最大限、知恵を出して、災害復旧工事を一刻も早く完成させる手段を考えなくてはならない務めがあるはずですが、広島市での災害復旧工事をめぐる現状を、

「数年前の仕事がない状況ならば、積極的に工事を取りにいったかもしれない。だが、今は仕事を選ぶことができる」(関係者)

とした上で、

その選びたい仕事の一つが、JR広島駅周辺の再開発だ。市が再開発の基本計画を策定したのは1981年のこと。

(中略)

ここにきて一気に動き出している。再開発の目玉の一つは、2016年6月にBブロックに完成する『中四国・九州地方で最高層』の52階建ての複合ビル。その隣にも46階建ての複合ビルが建設されるなど大型工事がめじろ押しだ。

としています。

確かに、市が広島駅表口周辺地区の再開発の基本計画を策定したのは1981年で30年以上も経過していますが、広島市の表玄関を整備する都市活性化のためには絶対に必要な再開発事業です。

今の市長の功績として、Bブロック、Cブロックの工事着手が言われていますが、この間、この事業に携わった歴代の広島市長は荒木市長、平岡市長、秋葉市長であり、現在は4代目になります。

特に、Aブロック福屋エールエール館の完成、広島駅地下道の開通と駅前大橋の架け替えまで多くの時間と費用が掛かり、当時の平岡市長の大変な苦労が目に浮かびます。また、Bブロックの再開発事業は、秋葉市長時代の財政緊縮政策の中での決着事業ですが、この事業の収支バランスを構築する上で、行政と民間デベロッパーが出した知恵が、中四国・九州地方最高層の再開発ビル建設の発想でした。

つまり、民間デベロッパーの収支の試算を基に、当初の都市計画で決めた高層ビルの階数では収支が合わず、さらに超高層化にすることで、保留床を増加させ、その売却で収支を合わすという発想の転換を図ったものでした。

その結果、当時の都市計画審議会での議論の末、広島西飛行場も廃止されたことから、広島市域の高さ制限が大幅に緩和されたと理解しています。現在、大阪市天王寺の再開発事業で完成し都市再開発事業として成功している「アベノハルカス」と同じ手法であると思います。

また、Cブロックの再開発事業は、秋葉市政初期の猪爪(いのづめ)女性助役候補が専門分野の街づくりの一環である地域商業・商圏の活性化施策として、「猪爪レポート」で発信した駅前マーケットの活性化策であり再開発事業です。この事業の一番の理解者が当時の商工会議所会頭大田広島電鉄社長であったはずです。秋葉市政下、広電大田社長や地権・利権等全ての権利者の合意の下、Cブロック再開発事業は異例の速さで実現可能になった事業だと認識しています。

そして、次のとおり締めくくられています。

駅の南北をつなぐ自由通路や路面電車の高架化など、「広島駅が都市機能を集積したビジネス拠点に生まれ変わる」(広島駅周辺地区整備担当課長)そのための建設ラッシュが、今後10年近く続く予定だ。

「生まれ変わる陸の玄関」として、開発予定金額が入った解説図も掲載されています。ご参照のうえ、文章を読んでみてください。

※ 画像をクリックすると別のウインドウでご覧になれます。

広島市の南口玄関が活性化すること、広島駅周辺が近代化、効率化され、広島市民に使いやすい安心で安全な新しい市街地になることは歓迎するものです。しかし、急速な勢いで、展開、進展している広島駅周辺整備の全体像を明らかにし、市民に分かりやすく説明することも必要不可欠なことだと思います。

現在、事業化されている「ハコモノ」の耐用年数は、長くとも60年前後であろうと思われます。今後は、美しい街並みになりますが、多くの施設は同時に劣化するはずです。その時、広島駅周辺は30年前と同じ様相になるのではないでしょうか。

そのような結果にならないためにも、市行政の的確な指導が必要なのではないでしょうか。自分たちの時代さえよければいいとの発想は、行政・政治が行う発想ではありません。次の世代に、健全なまちづくりを引き継がなくてはならない行政の責任放棄にもなるのではないでしょうか。

さらに、今の広島市には、一日も早く復旧させなければならない2014年8月20日の豪雨災害の復旧工事があります。その上、安佐市民病院の建て替えやアストラムライン延伸などの大型建設工事、そしてさらに、急速に高齢化が進展していく中で、市民に一番必要な介護施策、次世代を担う子どもたちが元気で安心して安全に成長できる保育や教育施策等対応しなければならない課題もあります。

10年前には、財政危機を表すものとして、「夕張化」という言葉が流行しました。山積する課題がある中で、広島市の財政は本当に大丈夫なのでしょうか。ひと時代前のどこまで行ってもすべてが右肩上がりの時代ではありません。現在の自民党政権下の「アベノミクス」の中でも、「プライマリーバランス」の黒字化を目指しての経済成長政策なのです。

一方、松井市長の財政政策からの発信は「ゼロ」ではないでしょうか。出身が国の行政機構からであれば、まずは「財政」が基本です。

そうした意味で、広島市においても、現実をきちんと見つめ、山積する課題に的確に対応していくためには、財政計画をきちんと再検証すべき時ではないでしょうか。華やかな事業例ばかりでなく、将来、広島市民が安心安全に暮らしていける財政規律の再構築が一番重要な施策ではないかと思います。