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(No.358)2011年10月25日

『広島市政の転換』

松井市長による新執行体制が誕生して半年余りが経過しました。確か、今月の中旬、二つの新聞社が「松井市政半年を振り返って」といった記事を掲載していましたので、それを引用しながら、私の思いを述べさせていただきます。

まず、一つは、中国新聞で「松井広島市政半年公約点検」という上下の連載ものの記事です。

「上」の方では、「『球場跡』ようやく議論」、「路線転換 見通せぬ今後」といった見出しで、初登庁から半年を迎えた松井市長は、市長選の公約に基づき、前市長の主要施策について、次々と転換を図る一方、旧市民球場の跡地活用策の練り直し、西飛行場廃港後の跡地問題、さらに、経済活性化や、市長の退職金削減などの行財政改革の公約について、どのように実現を図っていくか、市長の手腕を問う試金石になってくる、あるいは、その行方を市民は注視しているといった指摘がされていました。

また、「下」の方では、「試される『迎える』手腕」、「市民への発信 物足りず」といった見出しで、「出かける平和から迎える平和」への転換や、平和宣言に盛り込む被爆体験談の公募の実施など、平和行政や周辺市町・市民との対話の実施に関する公約に係る点検がなされ、核兵器廃絶に向けた訴えを世界にどのように響かせるのか、被爆地のリーダーとして手腕が試される、あるいは、自らの考えを発信していくという面では、まだ物足りなさは否めないといった指摘でした。

もう一つが、日本経済新聞で、先ほどの中国新聞と同様、就任から半年が経過した松井市政を検証する記事です。「地域活性化、独自色課題に」という見出しで、今後、地域活性化に向け、独自色をどのように打ち出すかが課題であることが、自ら掲げる「対話」と「選択と集中」の二つのキーワードの下に述べられていました。

こうしたマスコミの報道を見ましても、私は、この半年余りを経過した時点で、施策の転換を図っておく必要のあるものは、確実に、行われているのではないか、一定の評価をしているところです。

2020年の夏季五輪の招致検討、子ども条例の制定、折り鶴保存施設の建設、西飛行場の市営化、こうした秋葉前市長が、高らかに打ち上げられ、強力に推し進めようとされた施策について、次々と矢継ぎ早に撤回し、180度の転換を果たしたことは、及第点を与えてもいいのではないかと考えます。

また、この度の新聞記事の中で、課題とされた事項、例えば、旧市民球場跡地の活用策について、一朝一夕で解決できるような課題であるとは、皆様も思われないでしょう。

前市長時代に提示された活用策の不可解で、不透明な、しかも、強引とも言える手法と進め方により、解決の糸は、複雑に絡み合い、もつれ合っている状況にあるのではないかと思います。

その糸を解きほどすためには、拙速に結論を求めるのではなく、十分、時間を掛けて、しっかりと議論をしていくしか、方法はないのではないかと思うのです。それも、誰にでも、分かる議論をオープンに、根気よくしていくしかないと考えます。

そういったことを十分考慮していきますと、現時点で、その答えを求めることは、余りにも酷ではないかと思います。今、私どもにできることは、この施策の重要性を踏まえ、市長の進め方に理解を示すことではないかと考えます。
   また、そうしたことは、西飛行場の跡地活用にも言えるのではないでしょうか。

さらに、経済活性化策や施策の選択や集中といったことが課題として、挙げられていたと思いますが、そもそも、松井市長は、まだ、本格的な予算編成は行っていないのです。6月の補正予算にしても、総額で9億円余り、また、9月の補正予算は4億円余りでしかありません。

それだけ、広島市の財政状況は厳しいか、前市長が当初予算でお金を使い果たしてしまったのか、そのどちらかだとは思いますが、そうした中で、この時期、有効な手を打とうにも、なかなかできかねるというのが、正直なところではないかと思うのです。

そうした意味において、来年度の当初予算以降に期待したいと思いますし、その時には、私たちもその内容を十分吟味、検証する必要があると考えます。

また、選択と集中という観点から言いましても、現在、市の方では、来年度以降の財政運営方針を策定している段階ですので、そうした方針の策定や来年度当初予算の中で、検討すべきものではないかと考えます。こうした課題については、この時期に、検証できるようなものではないという認識を持つべきではないでしょうか。

そのように考えていきますと、日本経済新聞にも論評されておりましたように、「脱秋葉」路線を進め、「現実に即した市政」との一定の評価を得て、滑り出した松井市政と言えるのではないでしょうか。

秋葉市政の12年間は、トップのその場限りの瞬間的な思いつき施策の羅列であったように思います。そこには、理念とか計画性といったものは何ら見いだすことはできませんでした。

このため、市長から提出された議案に対し、議会として、数多くの否決や修正を行わざるを得ませんでした。

ちなみに、その状況を申し上げますと、修正が21件、この修正の中には、当初予算案に係る修正が8件にも上っています。また、否決が17件、決算の不認定が25件、さらに、議会からの追及に伴い、再検討したいということなどから議案の撤回がされたことが3件にも上るという状況にあったのでした。

これは、市民生活を第一に、加えて、広島市の将来のことを考え、議会として、適切に議決権を行使した結果でありますが、こうした、ある意味で、混迷を極めた市政運営は二度と繰り返していけません。

今後は、行政と議会が、真の意味で、車の両輪となり、広島市政を推し進めていかなければならないと考えます。

最後に、今後の市政に望むこととして、私見を申し上げておきますと、まず、広島市の都市計画、都市政策のビジョンを考えるとき、大切にしていただきたいことがあります。

一つには、広島の生い立ちと歴史を大切にするということです。
   また、二つ目として、悲惨な原爆投下以前の広島の歴史を感じていただきたいこと。
   三つ目として、その上で、被爆された人々の心を大切に感じていただきたいこと。
   四つ目、広島の戦後復興は、被爆者の尊い犠牲の上に構築されていることを忘れないでいただきたいということ。
   そして、五つ目としてですが、世界恒久平和も核兵器廃絶も人類共通の願いであり、その原点である原爆ドーム周辺は、その時々の為政者が強引に、恣意的な手法で手を加えてはならないことということ。
   そして、最後に、六つ目として、広島の歴史を絶対に消滅させないこと。
   これらのことは、是非とも、大切にしていただきたいと思っています。

また、歴史ということでは、この広島は、明治27年9月15日には、大本営が広島城内に置かれ、臨時国会も開会されるなど、臨時首都の様相を呈したことがあるということです。

こうした、輝かしい経験を有している都市は、ほかにはありません。つまり、それだけ社会的、地勢的な条件を具備している、恵まれた環境にある都市であることを十分理解し、そうした利点をいかした都市づくりを進めていってほしいと考えています。

さらに、広島市には、本当に多くの有能な職員の方がいらっしゃいます。しかし、これまでは、為政者の影響があったのかもしれませんが、その能力を十分生かしきれていなかったのではないでしょうか。よりよい広島市を創っていくためには、まず、職員の皆さんの力を結集していくことが必要です。

幸い、松井市長は、6月議会で行った所信表明で、職員との関係については、主従の関係でなく、議論して高め合う切磋琢磨の関係を創り上げていくことを言明されています。このことは、市長だけの取組では実現できません。職員の方々も、意識改革をしていただき、職員の力が十分発揮できる広島市を実現していただければと思います。

以上、転換期の広島市政についてということで、思いつくまま申し上げてきましたが、松井市長の思いは、何よりも広島を世界に誇れる「まち」にすることであるということのようであり、そのためには、力を結集することが何より必要です。

今年に入って、巷では、「広島学」という本が大層売れたということを聞いています。つまり、広島市民は、それだけ、広島に興味があり、好きだということではないかと思います。

その愛すべき広島を、更によりよいものとするための、今まさに転換期にあると考えます。そうした転換期に、市政に携われる喜びを素直に感じていますし、是非とも、皆様とともに、乗り越えることができれば幸いです。