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(No.341)2011年2月1日

『広島市における障害者施策について』

広島市西区身体障害者福祉協会 益本順市会長から、1月23日に平和大学・新年互例会を開催するに当たり、少し話をしてもらいたいという依頼がありました。そこで、広島市における障害者施策に関して、原稿を用意して出掛けましたが、当日、何を話してもよいとのことでしたので、市政全般のお話をさせていただきました。

当日、お話できなかったことを紹介しますので、読んでみてください。

広島市における障害者施策について

1 広島市新障害者基本計画

広島市は、国の障害者基本計画の策定(平成14年12月)や障害者自立支援法の施行など、障害者を取り巻く環境は大きく変化していることから、障害者の実態やニーズに即した施策を総合的・計画的に推進していくため、『広島市新障害者基本計画』を平成19年6月に策定しています。

この新障害者基本計画は、平成18年度から平成24年度までの7か年の計画であり、広島市基本計画の障害者福祉分野に関する部門計画として位置付けられています。

計画の基本理念は、『すべての人が互いに尊重しあい、住み慣れた地域において安心して暮らせる社会の実現』を掲げています。

このことは、障害のある人もない人も、住み慣れた地域において共に暮らし、より豊かで質の高い生活を送るため、すべての人が互いに尊重しあい、主体性・自立性を持って、社会に参画するという考えに基づいて、障害者が社会の建設的な構成員として、自己選択と自己決定のもと、社会のあらゆる活動に自由に参画し、すべての人が互いに尊重しあい支えあいながら、活力ある地域社会を築いていこうというものです。

この基本理念を実現するための施策展開に当たって、基本的な視点は二つあります。

一つは、「より一層のバリアフリー化の推進」ということです。
   障害者の活動を制限し、社会への参画を制約している要因を取り除き、障害の有無にかかわらず、誰もが安全に安心して暮らせるよう、誰もが同様に社会への参画ができるよう、建物、移動、情報、制度、慣行、意識などソフト・ハード両面にわたって、社会全体のバリアフリー化を一層推進していこうというものです。

二つは、「地域における障害者の自立の支援」ということです。
   障害者が住み慣れた地域において、個々の状況に応じ、自立して生活ができることを基本に支援していくため、障害者が自らの選択により、適切にサービスが利用できるよう、総合的な相談・利用援助体制の整備、サービス提供体制の確保を進めるとともに、経済的に自立した生活が送れるよう、雇用・就労の促進を図っていこうというものです。

この二つの視点に基づき、施策の分野別区分として、四つの柱を掲げ、施策項目を整理し、具体的な施策を展開することにしています。

まず、一つ目として、「互いに尊重し交流する」ということで、①障害や障害者についての理解の促進、②ボランティア活動等の支援、③国際交流・国際協力の促進という、三つの施策項目を掲げています。

二つ目として、「住み良いまちをつくる」ということで、①総合的な福祉のまちづくり、②住宅の確保、③防犯・防災対策の推進、④情報・コミュニケーション支援の充実の四つの施策項目を掲げています。

三つ目としては、「支えあい安心して暮らす」ということで、①総合的な相談体制の充実、②福祉スポーツの充実、③スポーツ・レクリエーション、文化、生涯学習活動の推進、④疾病の予防・早期治療等の充実、⑤医療・リハビリテーション体制の整備を掲げています。

四つ目として、「共に学び働く」ということで、①教育等の充実、②雇用の促進、就労支援を掲げています。

以上が、計画の概要ですが、障害者施策は、福祉、保健・医療、雇用・就労、教育、まちづくり、都市基盤、情報など、多岐の分野に及んでいる上に、乳幼児期、学齢期、成年期、高齢期といったライフステージを通じて、一貫した対応が必要です。

このため、広島市の関係部局が連携した全庁的な取組を進めていく必要があります。特に、雇用・就労、専門的な人材の育成・確保などのように、国、広島県など他の関係行政機関との連携を要する分野では、密接な連携を図るなど、総合的に障害者施策の推進をしていくことにしています。


2 障害者施策の紹介

次に、代表的な施策を取り上げて、その概要を紹介してみたいと思います。
   「より一層のバリアフリー化の推進」の中からは、「福祉のまちづくりの推進」です。

広島市では、障害者や高齢者をはじめ、市民の誰もが活動しやすく、安全で快適に生活できる「福祉のまちづくり」が重要な課題となっていることから、総合的かつ計画的な公共施設の改善・整備、人にやさしい市民意識の醸成など、ハード・ソフト両面に及ぶ「福祉のまちづくり」を推進することとしています。

次に、この取組の概要ですが、広島市の施設については、平成7年に「広島市公共施設福祉環境整備要綱」を施行して以降、この要綱に定める基準により、福祉環境を推進するとともに、民間施設については、「広島県福祉のまちづくり条例」に定める基準により指導しているところです。

このうち、福祉環境基準の主な内容ですが、建築物に関しては、敷地内通路ということで、歩行通路はできる限り車路と分離し、歩行者の安全を確保するほか、スロープ、エレベーター等々に関して、一定の基準を設けています。

また、道路に関しては、歩車道の分離、段差の処理等々について、さらに、公園に関しては、敷地内通路・園路及び広場出入口等々について、一定の基準を設けるとともに、案内・誘導として、道路への視覚障害者誘導用床材の敷設や市役所、区役所、区民文化センター、交通ターミナル、総合病院その他都市の主要施設の敷地出入口に近接する歩道への音声案内装置の設置といった基準を設けているところです。

次に、その整備状況に関してですが、まず、事業費の面から言いますと、平成7年度から平成22年度までの、建築物、公園、道路にかかる整備の事業費は、約80億円ということになっています。

次に、バリアフリー化の率に関してですが、学校を除いた広島市の公共施設のバリアフリー化率は、前年度実績で、72.3%となっています。また、交通施設のバリアフリー化ということでは、利用者数5,000人以上の市内の鉄道・軌道駅21駅のうち、バリアフリー化された駅は17駅、また、ノンステップバスの導入に関しては、平成21年度末までに、65台を導入しており、さらに、平成22年度末までに、5台が導入できるよう、交通事業者を支援することとしているといったような状況にあります。

ただ、いずれにしましても、バリアフリー化の推進のためには、環境の整備は不可欠でありますので、今後とも、より一層の整備促進を期待したいと考えます。

次に、「地域における障害者の自立の支援」の中からは、リハビリテーションサービスの提供体制の充実ということで、総合リハビリテーションセンターに関してです。

この施設は、生活習慣病に起因する脳血管障害などの疾病や交通事故等に伴う脊髄損傷などによる中途障害者等に対し、相談から医療・訓練、就労援助までの総合的なリハビリテーションサービスを提供し、社会復帰を促進する施設として、平成20年4月に開設したものです。

施設の構成は、身体障害者更生相談所、リハビリテーション病院(診療科9科、病床数100床)、それから、自立訓練施設として、自立訓練60人、短期入所5人ということになっています。

また、運営の基本方針としては、中途障害者の皆様が住み慣れた地域でいきいきと心豊かな生活を送ることができるよう、良質で信頼される総合的なリハビリテーションサービスを提供することとし、そのために、一貫した計画の下にリハビリテーションサービスを提供することや、利用者がリハビリテーションに意欲的に取り組むことができるよう、専門スタッフが利用者の立場に立って、サービスを提供すること、最適のリハビリテーション医療や訓練等を提供することなどに努めることとしています。

その利用に関してですが、開設初年度は、この施設の開設が十分浸透していなかったことなどから、利用率は伸びませんでしたが、2年目の昨年度は、入院については、延べ3万3,391人で、一日平均は、91.5人、病床利用率91.5%、外来は延べ3,399人、一日平均は14.1人、そして、自立訓練施設の方は、延べ5,370人、一日平均22.1人ということで、病床利用率はほぼ目標を、また、自立訓練利用率は目標利用率を達成することができていますが、更なる利用促進に向けての取組が期待されるところです。

また、そのためには、総合相談機能の充実や高度で医学的リハビリテーションサービス機能の充実などに意を用いることが必要になっているのではないかと考えます。


3 総括

最後に、総括として、障害者施策は、福祉、保健・医療、雇用・就労、教育、まちづくり、都市基盤、情報など、多岐の分野に及んでいる上に、乳幼児期、学齢期、成年期、高齢期といったライフステージを通じて、一貫した対応が必要です。

このため、国、広島県を始め、関係機関と連携を図りながら、計画を推進するとともに、現行計画の期間が、平成24年度まででありますので、新たな障害者計画の策定に向けた準備にも今後着手していくことが必要になっています。

いずれにしましても、第5次広島市基本計画にも掲げていますように、障害者福祉の充実に関しては、「バリアフリー化の推進」と「地域における障害者の自立支援」は基本方針でありますので、その実現に向けて、引き続き取り組んでいく必要があると考えます。

こうして、取りまとめてみますと、改めて、介護・福祉・医療施策の奥深さを感じています。また、個々の状況により、一括りで完了というものではないことも痛感した次第です。



※追伸(「思いやり」のサービス)

この度、お招きをいただきました広島市西区身体障害者福祉協会の平和大学・新年互例会の時に、電球の取替えやお金の振込みといったことについては、現状の介護サービスの中では対応できない現状を嘆かれている声を頂きました。

今回のお話は、現行制度上、対応できないことかもしれません。しかし、そうだからと言って、見過ごしてもいいようなことではないと思ったのでした。

それは、まず、こうした介護は、対人サービス業の一つであるといっても過言ではないと思いますし、また、そのサービスを受ける対象者の状況は千差万別でありますので、必要あるいは望まれる内容もまた各々異なってくるはずです。しかも、その状況は、その時々によっても、違ってくるはずではないでしょうか。

確かに、一定の線引きは必要ですが、その一方で、本当に満足していただけるサービスを提供するためには、提供する側の意識の啓発はもとより仕組み自体、そうしたことに十分配慮できたものでなければならないと思うのです。

何もかもすべて思い通りというわけではありませんが、そうした「思いやり」ができるサービス、「思いやり」をするサービスに変えていくことができればと思います。