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(No.337)2011年1月12日

『堺屋太一氏の「新年の予測」』

1月4日に秋葉市長は突然、次期市長選の不出馬を発表されました。新聞等には、その理由を明らかにされないことから様々な憶測が飛び交っていますが、 私の率直な感想は「背伸びをしすぎていたのだろう」ということです。

権力の座に座って12年。その間、女性助役問題に始まって、最後は唐突なオリンピック招致。公約を実現しようとするあまり、背伸びをせざるを得ない状況であったことも確かですし、それが思うようにいかなくなったことも間違いないものと推察されます。

現在は、会見拒否のことが取り沙汰されていますが、そのことよりも秋葉市政の「総括」は絶対必要だと考えています。いずれ私も取り上げたいと思いますが、ここではその序章として、週刊現代の新年号に堺屋太一氏の「新年予測」の記事を紹介したいと思います。

まず、堺屋太一氏は、「'11年は経済の年だと位置付けている」というところから述べ始められていました。そして、「いま世界の通貨は完全に行き詰まっている」ことを指摘され、このことについて、順を追って説明をされているのです。

まず、「通貨がその本質を変えたのは'80年代であった」ことを述べ、その経緯として、「'71年のニクソン・ショックで金本位制は終焉し、通貨(ドル)には金と交換できる性質はなくなり、'80年代にはドルを大量に垂れ流して景気浮揚政策を進めた」ことを挙げています。さらに、この景気浮揚の考え方を「ヤラワチの理論」と紹介されています。

堺屋氏は、数年前に長編の歴史小説「チンギス・ハン」を資料に基づいて出版されています。武力と経済手法で世界制覇を目指した興味ある小説でしたが、この「ヤラワチの理論」は、モンゴル帝国のチンギス・ハンの家来であったマフムド・ヤラワチという財政官に由来する名称だそうで、以下、次のような説明をされていました。


ヤラワチは「自分に通貨の発行権を与えてくれたら、向こう100年間、増税なしで国家運営できるようにしてみせます」と大見得を切り、実際に紙幣を大量に発行したそうなのです。

彼は「おカネは金や銀に換わるから価値があるのではなく、有利子で借りる人がいるから価値がある」と考えた。つまり、おカネの「投資手段としての価値がある」ことに目を向けたわけです。

そこで、借り手を確保するために「ファンド」を作り、貿易商人らに事業の運転資金としておカネを貸したそうですが、30年後には、運転資金だけでは借り手が足りず、設備資金としても貸し、さらに、もう30年後には、王侯貴族に大名貸しまで始めたようです。

しかし、これは現在の消費者金融ですから、危険なわけで、果たして、その20年後には大名貸しが回収不能となりファンドは次々に倒産したとのことでした。

そして、このヤラワチと同じことをやったのが、レーガン大統領以降のアメリカで、'80年代から、アメリカはドルを大量に発行し、中小企業や新興企業に貸したのでした。これがジャンクボンドです。

そして、'90年代にはジャンクボンドが行き詰まり新興国に貸すわけです。それも、97年のアジア通貨危機でダメになり、次にはIT企業の設備投資に融資してITバブルが起き、これも'01年には崩壊し、そして、いよいよ貸す相手がなくなり、そこで、目を付けたのが消費者金融、つまりサブプライムローンということなのです。

と、ここまでは、かつてのモンゴル帝国と同じ道を歩んだのですが、問題はここからで、次なる借り手は、国だということです。

アメリカもイギリスもイタリアも日本も、めちゃくちゃな財政赤字の国です。だから国家が借り手になるわけですが、現在、日本の債務は国と地方を合わせると対GDP比約200%にのぼり、さらに、民主党のバラマキ政策によって債務がさらに積み上がれば、国民の貯蓄(約1,400兆円)を上回る可能性もあるということで、通貨の問題が一気に爆発する危険性をはらんでいるのが、'11年であるというわけです。


また、そうした状況の中での日本の再生と復活への処方箋に関しても述べられていました。

まず、今は、世界的なカネ余りにより商品価格の高騰が起き始め、行き場を失ったマネーがコモディティ(商品)市場に流れ始めている。

特に、食料については需要が高まったことから、値上がりが加速していることを挙げ、こうなると、インフレが懸念されるが、低金利でインフレが起きると必ずバブルになり、やがて弾けることを指摘し、おカネが余っているから物価は上がるが、景気は悪くて失業者は多い、という最悪の状況に至ることに言及した上で、利回りは低く、経済成長も望めず、富裕層からより多くの税金を取ろうとする日本では金持ちになれないのは当然で、金持ちがいなくなった社会では貧困優遇政治が行われるようになる。それは、貧しい人だけが政治的発言権を強くするからであると。

そして、それはかつて大阪が歩んだ道で、'70年の万博のあと大阪府は黒田了一知事の時代になったが、この人は純粋社会主義者で、「大阪は庶民と中小企業が肩を寄せ合って生きる街で、大企業や有名人はいらない」と公言していたと。

そして、生活保護を厚くし、ホームレスには炊き出しをしてふるまった。そんな貧者優遇政治を続けた結果、今日、大阪市は日本一ホームレスが多く、20人に1人が生活保護を受ける悲惨な大都市になった。

そして、今のような政治が続けば、日本は、10年以内に「世界で最後に滅ぶ社会主義国」となることが現実になる。

と警鐘を鳴らしているのです。

そうした中で、

大阪は生活保護とホームレスが膨れ上がった最悪の状態が続いたが、そうなった背景に労組支配の政治構造があった。従来、大阪では府知事も市長も、まず労組が推薦し、それに民主党が乗り、そして財界と自民党が乗るという形でトップの首が決まってきたが、そうした大阪に'08年に、ぜんぜん毛色の違う府知事が登場し、以後、さまざまな府政改革に乗り出しており、これからの大阪は大きく変わろうとしている。ひょっとしたら、大阪は平成の長州藩になるかもしれない。

と期待をされているのです。

そして、今後の日本のありかたについて、

日本には、実はチャンスがある。一つは不況そのもの。これは、新しい起業、新産業成長の絶好のチャンスであること。そしてもう一つが高齢化。高齢労働者の増加と高齢市場の急拡大であることを挙げられ、危機は確かに深刻であるが、その先には大きなチャンスが広がっており、そこに向けた一歩を踏み出す年が'11年になることを願っている。

と結ばれています。

広島市も12年間の大きなブランクを取り返さなければならない新春となりました。今年の干支は「卯」です。卯は「草木が地面を覆う様子」を意味し「茂(ぼう・しげる)」または「冒(ぼう・おおう)」に由来するそうです。

つまり、物事が成長発展を意味するもので、閉塞感が漂う、今の日本、広島市においては卯年の今年こそ、たくさんの枝葉が伸び、新たな活力が生まれてくるよう、皆さんと協働して広島市が飛躍する年になるよう懸命の努力をする覚悟です。
   本年は、さらなる知恵と力を広島市、広島市議会へ与えてください。