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(No.333)2010年12月1日

『オリンピック招致について(その23)』

東京都の「招致活動報告書」から気付いたことを転写します。

平成17(2005)年9月20日、平成17年第三回都議会定例会の所信表明において、石原都知事は、正式にオリンピック競技大会の招致を表明した。

そして、その所信表明の一部として、

21世紀の東京五輪では、単なる国際的なスポーツ大会の枠を超えて、膨大な都市施設のストックを有効に活用するとともに、我が国の高度な技術力や多様な歴史文化の蓄積とスポーツとを組み合わせ、日本ならではの全く新しい価値観を提示することができるはずであります。

招致を実現するには、国際的な都市間競争に国家の総力を傾けて勝ち抜かなければなりません。東京都だけでの努力にはおのずと限界があり、国を挙げてのバックアップと周到な招致戦略が不可欠であります。

オリンピック開催を起爆剤として日本を覆う閉塞感を打破するためにも、ぜひ日本の首都である東京に招致したいと思っております。

と東京招致の理念を語っています。

広島市のように、国にも市民にも経済界にもスポーツ団体にも、ほとんどの団体に何の説明もないままに、市長の単なる思い付きを独善的に押し付けている姿勢とは大きな差があります。

また、東京都の石原都知事も、所信表明で明確に言っているように「国の関与と支援」が必ず必要な絶対条件ですが、今の国の政権のどなたが広島市の保証人になってくれるのでしょうか。

国における政治力学の上でも、しかも、厳しい財政状況の上でも、2020年に広島市でオリンピック開催が出来るように国が全面協力を約束してくれる確証はないのです。

次に、その後の手順として、「東京オリンピック招致本部の設立」、続いて、「東京都議会オリンピック招致議員連盟の設立」に関しての記載がされています。この議連は、自民党、民主党、公明党の有志を会員として立ち上げられたようです。

なお、現在の東京都議会の民主党は、オリンピック招致に消極的なようですから、多分、東京都が再びオリンピック招致に手を挙げることは出来ないようです。このため、手を挙げる都市があるとすれば、広島市だけであろうと思います。

競争相手がいないのですから、広島市が手を挙げるのは何時でもいいはずです。日本国内でオリンピック招致を希望する都市がないと困るのはJOCだけでしょうから、いわば、広島市はJOCの単なる道具でしかないのではないかとも思われます。

続いて、東京都議会における「招致決議」が紹介されています。
   先にも述べましたが、当時は都知事の与党に民主党もいましたので、招致決議は可決しました。

その「第31回オリンピック競技大会の東京招致に関する決議」の内容の一部を紹介します。

地球温暖化、頻発するテロ、文化や民族の違いに起因する地域間紛争など、世界はいまだに平和とは程遠い状況にある。そうした中で、オリンピックは、世界の国々が競い合う、喜びと希望に満ちたスポーツの祭典であり、世界平和を希求する人類の祭典である。
   (中略)
   そして、21世紀は「都市の世紀」とも「環境の世紀」とも呼ばれている。都市は肥大化し、環境問題、治安、スラム化など多くの社会問題が先鋭的に現れている。都市問題の解決なくして、人類は、将来世代に住みよい地球を引き継いでいくことはできない。

東京オリンピックから約半世紀を経た現在、再び大都市東京でオリンピックを開催することは、世界平和を希求する強い意思を世界にアピールするとともに、環境にやさしく豊かで安全な成熟した都市東京を実現する契機となる。また、アスリートたちの崇高な競い合いが、未来を担う子どもたちに感動を与え、スポーツを通じた健やかな成長を促していく。
   (中略)
   そして、次世代を担う青少年の未来を切り開くべく、2016年開催の第31回オリンピック競技大会の東京都招致を強く求めるものである。

次に、「充実したパラリンピックの開催を求める決議」について記載された後、広島市にとって一番の難問でありクリアできそうにない財政問題に関連する「東京オリンピック開催準備基金の設置」について記載されています。

そこには、

オリンピックに関連する社会資本等の整備に要する資金に充てるため、平成18年第一回都議会定例会において、東京オリンピック開催準備基金を設置した。
   平成18年度から平成21年度までの4年間に各年度1,000億円ずつ、合計4,000億円の積立を行った。
   なお、平成19年3月には、東京都のスポーツホスピタリティを世界にアピールするため、スポーツ及び文化振興事業並びにスポーツ及び文化を通じた国内外との交流推進事業に要する資金に充てる東京都スポーツ・文化振興基金を設置し、200億円の積立を行った。

とあります。

このことは、スポーツ・文化の振興には膨大な経費が必要であることの実例ではないでしょうか。東京都は地方交付税の不交付団体です。それほど財政的にも余裕があるのです。

一方、私たちの町広島市の財政状況について、秋葉市長は就任時に早々と認識され、財政非常事態宣言をされたはずです。しかも、財政破綻した夕張市を例にとって、広島市が明日にでも夕張市のように財政破綻するかのごとき表現で「夕張化」すると市民を恫喝されたのは、つい2〜3年前です。その為、広島市はいまだ『財政非常事態宣言』の解除はなされていないのです。

国家間の交渉ごとは国家に、民間団体の平和活動はNPO組織に、ボランティア活動はボランティアにおまかせし、地方公共団体はその分際に合わせた平和活動に留め、広島市が、まず、一番にやらなければならないことは住民が安心して安全に物心両面で豊かに暮らせる都市を創ることだと思います。

重ねて申し上げますが、今の広島市はどんなに背伸びをしても東京都以上にはならないのです。その東京都でさえも続けてオリンピック開催都市として立候補しないのです。

市民の皆さん、歴史を振り返ってみてください。
   過去に広島市がアジア大会を開催しました。アジアにおける広島市の地位は高いはずです。そのアジア大会開催を、どのようにして広島市に決めてもらったのか。

それは、当時、日本国を挙げてエールを広島市へ送ってくださった人達がいたからです。それも前例のない、北京・広島の同時決定です。先人の知恵と決断に感謝するものですが、何故、その様な決断をされたかは、一度失敗すれば二度と立候補しづらくなるからです。秋葉市長のように「失敗してもまた立候補すればいい」との発想は、全ての面であまりにも無責任なのです。

このままの状態ですと、今の政治・経済情勢では、日本国内では何処の都市も立候補はしないと思います。手を挙げれば広島で決まりでしょう。国内・JOCで決まってもIOCは違います。際限なく掛かる費用を広島市は負担できますか。オリンピック開催は国民・市民の夢です。確率の低い賭けはするべきではないのです。磐石の準備をして、手を挙げるべきです。その為の準備をこれからしましょうということなら、少しは理解できますが…。

さて、その次には、「立候補意思表明書の提出」に関する記載があります。
   これによりますと、国内立候補都市選定手順は7項目あり、東京都の場合、1月〜8月30日まで続いています。

  1. 「行動規範を遵守する旨の確認書」の提出
  2. 「立候補の意思表明書、決議書」の提出
  3. 「国内立候補都市説明会」
  4. 「開催概要計画書」の提出
  5. 「国内立候補都市評価委員会、JOC加盟団体・JPCの現地調査」
  6. 「国内立候補都市評価委員会報告書」の発表
  7. 「国内立候補都市選定委員会」の開催で初めて「国内立候補都市の決定」となります。

この間、約8カ月です。しかし、国内で、広島市のほかに立候補都市がなければ8カ月は必要なく、市長選が済み、来年6月の予算編成で立候補表明でもJOCの設定した国内決定の時期には間に合うのです。

秋葉市長とJOCのタイムスケジュールどおりに、この計画は進んでいるのではないでしょうか。被害者は広島市民なのです。
   また、「JOCへの立候補意思表明」という項目の中では、

国内立候補都市行動規範を遵守した招致活動を行う旨の「確認書」をJOCに提出した。また、4月28日、「第31回オリンピック競技大会の立候補意思表明書」をJOCに提出するとともに、申請料500万円の支払を行った。

とありますが、この申請料から始まり、これから先は、全てお金です。

JOCは慈善団体ではないのです。経費が掛かることは間違いないのです。しかも、この経費も広島市に落ちるものではないわけですから、直接、広島市の経済活性化の役に立つことはないのです。

東京都の立候補の主旨は「都市文明の英知と日本の技が結集したオリンピックを東京で開催し、オリンピックが生み出す有形無形の財産を次世代に継承する」であり、大会コンセプトは「世界一コンパクトな大会・先端技術を駆使した大会・環境を最優先した大会・もてなしの精神に溢れ、日本文化を堪能する大会・オリンピック運動を大きく前進させ、有形無形の財産を次世代に継承する大会」となっています。

秋葉市長が声を大きくして述べられている広島市の大会コンセプトもほぼ同じで、一つ付け加えてあるのが、2020年に、全世界の全ての核兵器の廃絶だけです。核兵器廃絶は地球全体の望みです。しかし、期限を切る必要があるのか理解出来ません。

ここでも、次の選挙に向けた秋葉流の世論操作でありそうで、地方行政から発信しなくてはならない世界に対するメッセージではないはずです。

この上にオリンピック終了後に開催される、パラリンピックを企画・運営する莫大な経費も必要なのです。

市民のみなさんも、オリンピック・パラリンピック開催がどのようなことなのか真剣に考えて欲しいのです。