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(No.326)2010年10月18日

『平和行政への疑問』

月刊誌『WEDGE』9月号の「OPINION」は、金子熊夫(外交評論家・エネルギー戦略研究会会長)の「日印原子力協定反対論にもの申す」です。その中に気になる記述がありましたので、まず紹介します。

それは「NPTを遵守しても核廃絶はできない」の中ですが、

第二次世界大戦の末期に米国が開発した核兵器(当時の言葉で原子爆弾)は、予想に反して、その後20年間に、ソ連(現ロシア)、イギリス、フランス、中国に拡大してしまった。

そこで、中国の核実験(1964年)直後から、これ以上核兵器を持った国を増やさないために、米ソ英が中心になって交渉した結果、68年に出来上がったのが現在のNPTという国際条約である。

従って、NPTは一般に誤解されているような、核兵器そのものの拡散を禁止する条約、つまり核軍縮条約ではなく、核兵器を持つ国の拡散を防止する条約、つまり「核兵器国不拡散条約」なのである。

具体的には、67年1月1日以前に核実験をした前記5カ国を「核兵器国」、それ以外の国を「非核兵器国」と規定し、前者による核兵器の開発・製造・保持はすべて公認、後者によるそれはすべて禁止され、その担保として、IAEA(国際原子力機関)による核査察を強制されるという国際法の仕組みが出来上がった。

これではあまりにも不公平だということで、交渉の過程で、核兵器国側にも核軍縮の義務らしきものが定められたが、これは正確に言うと「核軍縮交渉を行う義務」であって、「核軍縮を実際に行う義務」ではない。

核廃絶を希求する日本では、この「不都合な真実」が理解されずにNPTが「核廃絶をするための条約」と理解され、憲法9条と同じく崇高で神聖なものだととらえられている面があるが、これは誤解である。


と、NPTとIAEAについて分かりやすく解説されておられました。

一方、10月13日の中国新聞のトップ記事は「米が臨界前核実験」・「9月15日オバマ政権で初」の見出しで

包括的核実験禁止条約(CTBT)は爆発を伴わない核実験を禁止しないものの、強大な核戦力を長期間保持する方針の表れともみられ、オバマ大統領が掲げる「核兵器なき世界」に矛盾する、との批判が出ることは確実だ。


との書き出しで始まり、

米国は1992年に爆発を伴う核実験の一時停止を宣言した一方で、97年から「核兵器の信頼性を維持するため」として臨界前核実験を続けている。


で締めくくられていましたが、確かに、核兵器廃絶は、私も、広島市民も、世界中の全ての人々も願っていることです。

しかし、10月13日は新聞休刊明けです。大手新聞の記事、朝日、読売、毎日、産経、日経の一面トップは各社まちまちですが、「臨界前核実験」の記事は、各社どの面にもないのです。2日間の大きな記事はこれしかないというのでしょうか。それとも、広島市民は「核」の記事がないと新聞を読まないとでも思われているのでしょうか。

「平和希求」と「核廃絶」は人類が求める一番大切な願いです。しかし、何時も「核」だけが一面を飾る記事ではないと思うのです。

先の、WEDGEの金子熊夫氏の書き始めでも、

毎年8月には、広島・長崎原爆忌に因んで核問題に関する論議が熱を帯びるが、ことしは特に、40余年前の沖縄返還交渉の際の日米「核密約」や普天間移設問題も絡んで、「非核3原則」や「核の傘」などの問題が各方面で盛んに議論されている。

その一方で、最近国内で急浮上し、注目を浴びているのは、今年の6月28日に、協定締結に向け交渉を開始した日印原子力協定という新しい問題である。


とあるように、その議論は原爆が投下された8月に集中しているのが現実ですし、「核兵器」そのものではなく、核を巡る新しい問題も発生しているのが現状なのです。
   そうしたことも認識して欲しいと思うのです。

さて、オバマ大統領の人気も翳り始めているようですが、広島市でも市民団体が「オバマジョリティーへの公金支出」に対する住民監査請求がありました。広島市監査委員は「違法性認めず」の結論を出しましたが、造語で流行に乗ろうとする行政の姿勢に警告を与えた市民の勇気ある行動だと思います。

広島市はオバマジョリティーの造語のためにキャンペーンをはり275万円を支出しましたが、そのことが本当に広島市のためになったのか疑問を感じます。

ここにオバマジョリティーのTシャツを製作販売した企業と手数料を受け取った(財)広島平和文化センターの販売資料があります。秋葉市長とその周辺の皆さんは、強かで賢いと感じられると思います。



フロー

(財)広島平和文化センターが収益を上げることが悪いとは思いません。財団法人ですので収益を上げ広島市からの持ち出しが少しでも少なくなれば大変喜ばしいことです。

平和文化センターが2,000円で販売した「オバマジョリティー」のロゴ入りのTシャツが高いか安いかではなく、手数料の800円が問題です。

一枚あたり300円の手数料が平和文化センターの収益事業会計に入り(255,600円)、残りの500円が平和文化センターの2020ビジョン・キャンペーン活動費として426,000円が直接収入となることは甚だ不明朗な会計処理になるのではないでしょうか。

外郭団体ですので、議会も市民も監査をしにくい行政の隠れ蓑です。

この財団の会長は秋葉忠利で理事長はスティーブン・リーバー(秋葉市長の盟友)です。人類の恒久の願いである「平和」を命題にしている財団です。一点の曇りのないセンター運営でなければなりません。

中国の故事にあるように「李下に冠を正さず、瓜畑で靴を直さず」で疑わしいことは止めたほうがいいと思います。私たち議会人も、市民の皆さんとともに監視したいと思います。平和文化センターの会計監査が出来るよう、皆で知恵を絞りたいものです。

(※追伸(中身のないオバマジョリティー))

米国の臨界前核実験に対し、10月13日、秋葉市長は、

被爆者を始め核兵器廃絶を願う世界の多数派市民は、昨年4月のプラハ演説以降、一貫して核兵器のない世界の実現を目指し世界をリードしてきたオバマ大統領の努力に大きな期待を寄せてきた。(略)貴国が臨界前核実験を実施したことは、被爆者を始め核兵器廃絶を求める世界の多数派市民の期待や願いを踏み躙るものであり、激しい憤りを覚える。被爆地ヒロシマを代表して厳重に抗議する。


と批判するとともに、

核兵器のない世界の実現を目指すリーダーたるべき貴国には臨界前核実験を含め核実験及び核開発に繋がる全ての行為を行わないよう強く要請する。その上で、大統領には、早期に平和記念資料館や原爆死没者慰霊碑など被爆の記憶が残る被爆地を訪れ、被爆の実相に触れ、報復よりも和解を選んだ被爆者の体験や願いを共有し、一日も早い核兵器廃絶の実現に向けて努力することを強く求める。


とする抗議文を発せられています。

核兵器廃絶を願う私たち被爆者、そして、広島市民として、米国のこうした暴挙に対しては厳重に抗議しなければならないのは当然ではあります。

被爆地として到底容認することはできないものですが、一方で、「オバマジョリティー」という造語まで作り、必要以上に期待感を煽り、自己の政治活動に利用した秋葉市長のこれまでの取組に対して、冷静に検証されている向きもあるのです。

広島平和研究所の浅井所長は、

アメリカの狙いについて、核抑止力による核政策の継続にあると分析した上で、「プラハ演説の中で、核兵器がある限りは有効な核兵器を維持するとはっきり言っている。要するに私たちが勝手に裏切られたと思っているが、オバマ大統領にしてみれば『一貫してます』ということ。幻想で物事を考えるのはやめようという、警告だと受け止めるべき」と述べた。


とNHKニュースでは伝えられています。

また、そもそも、オバマ大統領の政治姿勢に関しては、疑義を持たれている方もいるのです。日高義樹氏はその著書である「アメリカの日本潰しが始まった」の中で、

オバマ大統領が核兵器のない世界を主張し、ノーベル委員会がノーベル平和賞を与えたことを日本では高く評価している。

そして広島市長と原爆について話し合ったなどと言われているが、オバマ大統領はいかなる状況の下でどのような戦略戦術に基づき、広島と長崎に二発の核爆弾が投下されたのか考えてもいない。

オバマ大統領の発言はすべてその場しのぎの意味のない外交辞令と形容詞になってしまっている。


とも記されているのです。

世界恒久平和、核廃絶の実現は、私たち広島市民の切なる願いであるからこそ、時流に流されることなく、地道な取組を講じる必要があります。

長崎新聞では、「オバマ熱烈支持に冷や水 米臨海前核実験」と題して、

「核なき世界」を掲げたオバマ米大統領を熱烈に支持し、大統領の名前を冠したキャンペーンまで展開していただけに、思わぬ冷や水を浴びせられた格好だ。


といった報道もなされているようですが、広島市長たるものには、マスコミ受けするうわべだけのキャンペーンは行ってもらいたくないと思うのです。

また、この度の秋葉市長の抗議文には、「報復よりも和解を選んだ被爆者」といった言葉が使われているのですが、これは少なくとも全ての被爆者の思いではないと思うのですが、皆さんはいかが思われますか。