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(No.309)2010年5月6日

『オリンピック招致について(その14)』

広島市議会としては大変残念な状態ですが、未だ、市長サイドから議会にオリンピック招致の必要性に関して説明がなされていないのが現実です。

行政施策推進に当たって、速やかな情報開示とともに、説明責任の重要性が問われている中で、市長が未だにそのことをなされていないのは、秋葉市長が日頃から唱えられている「民主主義」を冒涜されている「証」ではないでしょうか。

秋葉市長の口癖であった「市民による、市民のための、市民の政治」の理想は何処に行ったのでしょうか。現状では「秋葉による、秋葉のための、秋葉だけの政治」であり、正に「秋葉独裁政治」になっているのではないでしょうか。

その表れが3月議会の「再議」です。再議とは3分の2以上の賛成がなければ再議にかけられた「減額修正案」(原案を減額修正して過半数で可決した案)が事実上否決されたことになるのです。

この3分の2の数は、過半数を「是」とする議会制民主主義のもとでは、通常の場合なかなか確保できる数ではないのです。そのため、市民生活に直接関係のある生活関連施策以外では行われていないのが現実の姿なのです。

行政の暴走をくい止める役割が議会の「否決」「修正」という行為であり、議会の暴走をくい止める行為が「再議」です。しかし、再議に付された先の定例会における「減額修正案の可決(過半数議決)」は、決して議会の暴走に当てはまるものではありません。少なくとも市民生活に悪影響を与えるものではないし、市の将来を憂う議会制民主主義が機能した結果だと確信しています。

一方、首長の権限は大統領制であり、絶対的な権力者になるので先進国の大統領は2期(8〜10年)の任期が決められて暴走の防止をしているのです。今の秋葉市長が3期目であることから、果たせるかな…という思いになるのは私だけではないと思います。

繰り返しますが、行政の権力が強すぎるため「再議」という議決法は「生活関連施策や予算」だけを想定すべきではないかと思います。その点から言えば、今回の広島市での再議は全国でも本当に稀な議決例です。

生活関連予算で再議にかけられた事例は、近年では「東広島市」の蔵田市長が初当選された時に、議会とバランスが崩れていた時代の生活関連予算案で行われていますが、その時以降は、市長と議会の相互信頼関係は大変上手くいっているようです。

その結果が、この度の、蔵田市長の無投票での再選だと思われます。市民と議会に対して、丁寧に説明することが混乱を解消する源であり、公僕たる行政が責任を果たす証ではないでしょうか。

再議までされて、立ち上げられた秋葉市長執念の、オリンピック広島招致検討委員会は、もはや「検討」の二文字は消されるべきではないでしょうか。招致するか、しないかを委員の皆様に決めていただくのではなく、再議の時点で「私、秋葉は2020年開催のオリンピックを広島市に招致することを、職を賭して決めます」との決意表明と言えるのです。

しかしながら、秋葉市長は「委員会で招致活動にゴーサインが出て、失敗すれば委員の皆さんの責任であり、私、秋葉には責任はないのです」といつもの秋葉流の責任転嫁を行うはずです。招致検討委員会はそのためにあるようなものです。

11年間も秋葉流の物事の構築法を見てくると「また同じパターンか」と誰でも気付きます。そのため、検討委員会は秋葉流が分かってない全く新しい委員での構成ではないでしょうか。

私たち議員としては、少々恥ずかしいことですが招致検討委員会で何が検討されているのか、結果だけしか知らされず何が議論されているのかも分からないのです。このような状況が続くと、また、委員の皆さんに大変失礼な結果が起こる懸念があります。

そのようなことにならないようお互いに意思の疎通を緊密に図るべきであり、広島市側の責任として、まず、秋葉市長の断固たる意思表示が必要と考えます。ついては、6月市議会には数億円単位の補正予算を計上されるべきではないでしょうか。

中国新聞によりますと、「被爆地広島を舞台にした2020年夏季五輪の招致検討委員会(会長秋葉忠利広島市長)は25日市役所で第4回会合を開き」とあります。何故、日曜日に会合が開かれるのでしょうか。市長は以前、海外出張で休日は私用を挟んでもいいとの発言をされたことがありますが、行政職員の日曜日の出勤は休日出勤扱いとなり、経費は余分に掛かるはずです。

このことは、何処の都市も同じだと思います。何故、人目を避けるように休日に広島市以外の都市を招いた会議を開催されなければならないのですか。強引な手法で予算を獲得された権力者がされる会議は正々堂々と行われるべきです。

また、「23自治体が出席し」とありますが、23自治体の皆さんは「単なる応援団」の感覚で参加されているのでしょうか。広島市民は参加されるのであれば、それなりの経費負担とリスク負担を各自治体に期待しているのです。

まさか、出席されている各自治体の皆さんは、招致検討委員会から招致委員会へ移行したら、大会招致に向けた活動経費や費用の負担をされる覚悟がお在りなのでしょうか。各自治体の皆さんが手ぶらで行政が主導する事業への参加を考えられているとは思いませんが、いかがでしょうか。

自治体の財政は全て国民・市民からの『税』負担で賄われていることを再認識しておいてください。無駄遣いは絶対許されないのです。

この会議での秋葉市長のコメントですが、「ご心配をお掛けした。予算は一部減額されたが認められた」と述べられています。しかし、この予算は諸手を挙げての賛成ではなく強権を使っての「再議」での議決です。市民にも議会にも、しこりが残っていることは間違いないのです。

「基本方針を了承した夏季五輪招致検討委員会」と説明した写真が掲載されていますが、この委員会の委員の選出基準もよく分からないのです。

「市は、夏までに概算事業費を盛り込んだ基本計画をまとめる。年内には、候補地として名乗りを上げるかどうかを判断する」で締めくくられていますが、概算事業費の算定を広島市の地元企業で本当に出来ますか。

都市工学から各種土木工学、建築工学から環境工学まで多くの要素が含まれている基本計画です。地元のコンサルタントに1000万円程度で発注されても経験のない事業の精査は出来ないのではないでしょうか。市長が本気でこの事業に取り組むのであれば、実績・経験のある企業に相当の代金を支払い特命随契で委託でもされるのが最善の方法だと思います。

何故、このような指摘をするかの理由は、今までの行政の手法からすると、見積もりは「安価」に仕上げられ、実際には「法外な価格」に膨れ上がることが現実の行政世界なのです。

ロンドンでは1兆4000億円の施設経費を含めた開催経費のようです。リオデジャネイロでは如何ほどになりますか。広島市の将来の方向を見誤らないよう経験のある企業で、より現実に近い見積もり金額で、見積もり落ちのない正確な金額が必要なのです。基本計画に出て来る金額が招致活動の最大の判断材料なのです。

私も広島市民ですので、広島の企業に愛着はありますが一つ間違うと大変な事件になります。間違いは最小限に留めなくてはならないのです。

「年内には、候補地として名乗りを上げるかどうかを判断する」のくだりですが、12月頃はもう秋葉市長は4選目の選挙態勢に入られているはずです。誰が考えてもこのオリンピック広島招致は単に選挙戦のためのプロパガンダにしかすぎないのではないでしょうか。

招致活動は市長にとって最大の選挙公約になるはずです。もし招致活動が出来なくなったとしても「私は招致したかったが」で終わりです。いつものように「『いい子』は私、『悪いのは』あなた」となるのではないでしょうか。

しかしながら、もし、JOCへの立候補都市が広島市以外になかった時は、秋葉市長と広島市は窮地に追い込まれるのではないでしょうか。それでも市長は市民と議会(再議での議決)のせいにして逃げられるでしょう。その時はJOCが被害者です。

出始めにつまずいた事業で成功した事例は少ないと思います。絶対に成功させないといけない事業ですので、ケチらないで最大の注意を払い、存分に経費を使うことが成功の秘訣ではないでしょうか。

どのような結果になろうとも、私たち議会は良識を持って広島市民の為に最善の努力をするのです。

市原JOC専務理事と秋葉市長との会談記事と中国新聞のインタビュー記事を読み、市民として議会人として素直に感じた「ひとつ間違ったら広島市民が被害者になる」との強い思いで、多くの議員の賛同を得て作成した文書があります。

何故、この文書が日の目を見なかったのか、議会人としてのある種の常識で「議決したのだから」という理由からです。しかし、ここまではやりたかった議会人の心を知ってほしくて、良いか悪いかの議論は別として紹介します。

また同じように、それ以上に広島市を大事に思ってくださっているJOC市原専務の心意気も理解できますし、議会人としても感謝するものです。しかし、今の広島市にはその善意に応えられるだけの財政的な余裕も、大会をサポート出来る人材も、一番大切な物心両面での全市民の善意の協力も得られる確証は全くないのです。

もし、今世紀中にでも広島市での開催が可能ならば、市民の合意を得て「オリンピック広島開催基金」を積み立てることから始めるべきではないでしょうか。

JOCに宛てようとした文書(案)を掲載します。

広島市におけるスポーツ振興の推進につきましては、かねてから格別の御高配をいただき、深く感謝申し上げます。

さて、広島市では、2020年までに、すべての核兵器が廃絶されることを目指して行動しており、その夢が実現する年である2020年に、「平和の祭典」であるオリンピックを開催することの意義を踏まえ、広島市を中心とした招致・開催の実現可能性について、検討しているところです。

このことについては、貴職におかれましても、既に御承知のことと存じ上げます。

私たちも、その意義自体決して否定するものではありません。

しかし、たとえ、実現可能性を検討するに当たっても、一定の経費は必要であり、また、開催するとした場合には、多大な財政負担が生ずることになることから、市民を置き去りにした議論は許されるべきではないと思います。また、そうした議論の積み重ねには、常に全市民的な理解と合意の下に進めていく必要があるものと考えます。

私たち広島市議会は、常に、そうした市民目線で、市政に対する監視機能を発揮しているところです。

そうした中、今月2日、貴委員会の市原則之専務理事が来広され、秋葉市長と懇談の後、実務担当者とも協議したことがマスコミ報道を通じて伝えられました。

その招致の検討に当たり、貴委員会との情報や意見の交換、さらに指導等を受けることは、当然必要であるものと思います。

しかし、そうした懇談・協議の中で、開催の可否に関して、現時点で、他の都市から手が挙がっていないからといって、本来、中立な立場であるべき貴委員会から、「広島でのオリンピック開催を誘導する」ような言動もあったことが報じられていますが、もしこのことが事実であれば、立場、時期をわきまえない不適切なものであると言わざるを得ません。

また、7日には、広島の市民グループが東京の貴委員会を訪問し、応援活動を報告した際、同専務理事が、「『広島市民も本気になったなと実感した。市民の五輪に対する熱い思いが伝わった』と歓迎した」ことが伝えられていますが、財政計画等が明らかになっていない状況の中で、将来への責任を自覚した市民であれば、こうした軽率な行動など到底とることはできないものと思われます。

それを、「本気になったと歓迎」することは、無責任な市民運動に対する迎合としか理解できません。

現在、広島市では、その実現可能性を検討している段階です。

しかも、そうした検討を行うこと自体、賛否両論がある中で、そうした言動が、貴委員会の重要な地位にある方から行われることは、誠に遺憾であり、二度とこのようなことがないよう、反省を求めるものであります。

今後、市長の下で、客観的なデータに基づいた科学的な検討を踏まえた上で、開催の可否について一定の方向性が見いだされるものと思います。

また、その方向性に基づき、議会としても、市民と一緒になって、様々な観点から議論を重ねる必要があります。

さらに、そうした議論を経た上で、広島市として、一定の合意形成を図っていく必要があると考えますが、貴委員会に、現時点で、求められることは、広島市におけるそうした検討を静観することではないでしょうか。

つきましては、貴委員会におかれましても、この問題の置かれている現状を十分御賢察の上、今回のように、世論を一定の方向に誘導するような不注意な発言は厳に慎んでいただき、今後は慎重な言動をとられるよう、申し入れいたします。

平成22年4月  日
財団法人日本オリンピック委員会
   (J.O.C.)
会長  竹 田  恆 和  様