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(No.298)2010年3月12日

『広島市の歴史と秋葉流の都市開発(Part3)』

文化財に造詣の深い方から、手紙を頂きました。廃れ行く貴重な文化資料をどのように保存、管理し、後世に資料、財産として残すかの努力をされている方たちの意見であり、現状の文化財保護に対する、広島市との意識の隔たりを切々と述べられています。

プライバシーや個々の行政批判を除き一部を紹介します。まず、冒頭部分です。

一般的に発掘調査は、「試掘→遺物や遺構の発見→正式な発掘調査(通常の発掘はこれを言います)」の手順です。試掘の際は、幅約1m、深さ1〜2m、長さ数mの溝を何か所か掘って調べます。

(中略)

広島城の城郭という場合は外堀から内側ですので、約1キロ四方の広大な規模を誇りました。明治時代以降、練兵場など軍の施設がたくさん出来ました。しかし、ここ20年ぐらいアストラムライン建設、シャレオ建設、官公庁庁舎建設などに伴い、広島市文化財団文化財課を中心にした発掘調査が行われており、江戸時代前後からの遺物や遺構は相当に残っていることが分かってきました。

参考までに、広島城周辺における文化財発掘調査の状況を示す地図を掲載させていただきます。

※ 画像をクリックすると別のウインドウでご覧になれます。
発掘された地点の地図
(発掘された地点の地図)

次に、現在の球場跡地利用に関する取組姿勢について、述べられています。

旧市民球場跡地利用計画を所管する広島市都市活性化局の担当課は、発掘調査に極めて消極的と聞きます。「既に地下はかく乱されているから、試掘しても何も出てこない」と煙幕を張っているようです。本来は埋蔵文化財を保護・活用する立場にある教育委員会文化財課(注1)も、なぜか主体性に乏しく、煮え切らない姿勢だそうです。

((注1)従前は教育委員会文化財課ですが、現在は市長部局の市民局文化スポーツ部文化財課です)

また、次のような指摘もされています。

考古学や歴史学の専門家の先生や多くの歴史ファンたちは、軍の施設などが建設されたものの、地下の「歴史的遺産」は予想以上に残っており、昨年合同庁舎5号館建設用地の井戸から出土した金箔鯱瓦がいい例だとみています。球場跡地は近世(江戸時代)・近代(明治・大正・昭和戦前)の広島の歴史や文化を探る絶好の場所であり、貴重な発掘になるだろうとの見方です。

しかし、残念ながら、これまで球場跡地の利用計画について、市議会や経済界、マスコミでの論議は、広島城にかかわる埋蔵文化財の活用問題や、歴史的文化的景観という視点を抜きにして行われてきました。歴史や文化に関心をもつ市民にとっては残念でなりません。「城下町広島」「近代広島」を探ることは好き嫌いの問題ではなく、先人の歴史や文化を継承して未来の広島を拓いていく上で基本的なことだと思うのですが。

そして、

あの『応募要項』(注2)に明記してありますように、外堀から内側は文化財保護法にいう「周知の埋蔵文化財包蔵地」です。市当局がわざわざ明記したのは優れた見識といえます。

((注2)『応募要項』とは「広島市民球場跡地事業計画案及び事業予定者応募要項」です)

「周知の埋蔵文化財包蔵地」で試掘や発掘調査を無視すると文化財保護法違反になります。世界遺産登録された「原爆ドーム」そばで、「国際平和文化都市」の市長が文化財保護法違反を招く事態は避けたいものです。

と言及した上で、

「周知の埋蔵文化財包蔵地」であるということは、地上の利用プランの如何にかかわらず、跡地利用という開発行為には「試掘ないし発掘調査」が不可欠だと指摘したものです。

それはまた、「地下に埋もれた歴史の証人」について可能な限り情報公開する姿勢を市民に表明したことにほかなりません。拙速ではなく時間をかけて丁寧に、念入りに試掘→発掘調査を行うべきだと思います。

地下に埋もれているのは広島の「先人のかけがえのない営み」であり、地下から「物言わぬ情報」を引き出して生命を吹き込むのは、現代に生きる者の務めといえるのではないでしょうか。「原爆・平和」が大切であると同じように、「歴史の深みと薫りが感じられる街づくり」も大切だと思います。

という意見を述べておられました。「声なき声」として、同じ思いを持つ方はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。

さらに、手紙は続いています。 私たちにとりましても、少々耳が痛い指摘ですが、

文化財団文化財課の発掘専門職員は、ここ数年、財政逼迫や財団軽視のあおりで無関係なセクションに配置転換が進んでおり、新たな深刻な問題も起きています。指定管理者制度の推進を隠れ蓑にして、秋葉市政の外郭団体いじめ、冷遇の一例が、発掘担当職員の減員に表れています。スキルの高い財団職員を配転させるのなら、勤務中に喫煙所通いに余念のない本庁職員を減らすのが筋です。

と辛らつな意見を述べられた上で、次のように指摘されています。

発掘の管理監督を担った教育委員会は整備局(注3)と対等な立場でなくてはなりませんが、なぜか卑屈な態度に始終し、金箔鯱瓦の出土も現場で緘口令を敷いて市民に隠すという態度をとりました。中国新聞の昨年3月5日付の金箔鯱瓦発見の記事は、市民への情報公開を無視した教育委員会(注4)に対する怒り心頭のスクープでした。

((注3)文化財を所管している「市民局」と球場跡地利用を所管している「都市活性化局」を指しているものと思われます)
((注4)従前は教育委員会文化財課ですが、現在は市長部局の市民局文化財課といったことも記述されていました)

こうした指摘があること自体、全く異常であるとしか言えません。どのようなことについても、行政は公正で公平なものでなければならないと思います。

建築史学の上でも考古学の上でも、広島市の歴史の生き証人である埋蔵文化財を発掘調査することが良識であり、よもや、広島市文化財審議会は発掘調査の必要性をないがしろにはされないと思うのですが、広島市民と広島市行政・文化人・学者の皆さんの良識を信じたいと思います。

現在の市民局文化スポーツ部は、2020年・オリンピック広島招致以外の仕事はする気もないようですが、現実は、市民からの苦情処理の対応だけに追われ、残業時間がかさんでいるばかりのようです。オリンピック招致といったノウハウのない仕事は何も前に進まないのが現状のようです。

その同じ市民局文化スポーツ部の中に文化財課がありますが、そこには、まず、本来の文化財保護を始めとする基本的な仕事をこなし、各現場に的確に指示できる人材を確保して、誠実な仕事と的確な作業をすることを期待したいと思います。

今回の投書にもありましたが、今の広島市行政は本来なすべきことが疎かになっているのではないかと思われて仕方がないのです。秋葉市政の3期、11年が過ぎようとする現在、これまで、市長が思いつくままに、手を広げに広げた施策をどのような形でまとめようとされているのか、全く見当がつきません。

言うことは簡単であったと思いますが、けじめをつけることの難しさ、行政や政治は大学で一方的に生徒を指導するようにはいかないことを市長には分かってほしいものですが、皆さんはどのように思われますか。