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(No.297)2010年3月9日

『広島市の歴史と秋葉流の都市開発(Part2)』

平成19年1月の「広島市民球場跡地事業計画案及び事業予定者・応募要項」の『1.目的』には、球場の跡地利用について、次のように記述されています。

「これまでの都市づくりの歴史を踏まえ、将来を見据えて、都心部における緑豊かで美しい空間づくりをめざすこと」や「平和記念公園と連携し、世界遺産である原爆ドーム周辺の雰囲気と都市的なにぎわいとのバランスがとれた空間づくりをめざすこと」を基本理念としました。

ここに記述されている文言をそのまま忠実に解釈しますと、跡地利用の『目的』は、現状に何の手も加えず、あるがままに、市民が欲するような形態へ時間をかけて作為なく自然な形で広島市の中心部に理想の都市公園を作り上げることにあるのではないでしょうか。

また、跡地利用検討対象区域の概要では、土地の状況は「都市公園」であり、面積は「約32,500m2」で、所有者は「中国財務局所管の国有地(一部市有地「1,059m2」)」と明示しています。

市民の皆さんの多くの方は、旧広島市民球場跡地一帯は広島市所有の財産であると思われているかもしれませんが、実態はそうではないのです。

地図を参照してください。

※ 画像をクリックすると別のウインドウでご覧になれます。
広島市民球場周辺地図
(広島市民球場周辺地図)

ご覧のように、旧市民球場跡地周辺の土地で、民有地は広島商工会議所(1,787m2)、広島護国神社(1,437m2)、パーフェクトリバティー(PL)教団(1,074m2)の土地だけであり、広島護国神社所有の駐車場用地の裏側の土地(自転車置き場)だけが広島市所有の土地1,059m2(約321坪)です。広島市はすべての土地が市有地のような錯覚を市民に与えているのではないでしょうか。

旧市民球場跡地も、広島市青少年センターも、広島カープが優勝した時の記念公園「勝鯉の森」の土地も、下水道局のポンプ場用地も、すべて国有財産なのです。広島市の土地は跡地周辺の土地面積の3%にしかすぎないのです。

しかも、最も重要なことは、国の「都市公園」指定の土地です。この区域内に現存する構築物をすべて取り壊さないと、新しい構築物は出来ない状況なのです。

その理由は、新しい構築物をこの区域内に構築しようとすれば、都市公園指定区域内の建造物制限面積の2%をオーバーするのです。

取り壊しを急ぐ理由は、地上構築物を撤去しなければ、広島商工会議所の移転も秋葉市長の思い入れの大きい「折り鶴ホール」の建設も出来ないからです。

市民の皆さん、広島市の土地は現在自転車置き場になっている「321坪」しかないことをよく覚えておいてください。その上、広島市は当該地区が埋蔵文化財包蔵地であるとの認識を示しています。

応募要項でも、次のように書かれています。

検討対象区域は、文化財保護法(昭和25年法律第214号)に基づく埋蔵文化財包蔵地(広島城遺跡)であり、建設工事等の実施に当たっては、市への届出が必要です。試掘調査の結果、外堀跡や武家屋敷跡等の存在が明らかになった場合には、事前に発掘調査が必要になります。

しかも、費用負担の考え方の中では、

事業者は、(中略)必要となる調査・測量等の費用を負担します。

ただし、次の費用は、市が負担する計画内容とすることができます。この場合、想定される市の負担額を明記してください。(ただし、文化財等の発掘費用は明記する必要はありません。)

とあり、「文化財等の試掘調査の一部及び発掘調査に要する費用(試掘調査の結果によって必要となった場合の発掘調査の所要経費)」は、広島市が負担すると明記しているのです。

つまり、広島市行政は、当該地区が広島市にとって大切に継承していかなければならない歴史の原点である、文化財保護法に基づく「広島城遺跡」の延長線上にあることを認識していながら、何故、折り鶴ホール建設と商工会議所移転だけを一人歩きさせているのでしょうか。

秋葉市長も広島市行政も、旧広島市民球場跡地には、市長が表明したような年間150万人を新たに集客するような施設はできないことは、初めから分かっていたはずです。

そうした中で、どのような施設が跡地に必要なのかの議論とは別に、跡地利用計画の応募条件に文化財保護の条件を明示している以上、そうした歴史がこの跡地にはあることは市民に対して、分かりやすく、丁寧に説明がなされるべきではなかったでしょうか。

また、このような状況を踏まえますと「市長も行政も市民を欺いている」、あるいは「行政が市民の意見や意思をどのように位置付けているのか全く理解できない」と言われても致し方ないと思います。

市長が本当に広島人なら核兵器廃絶だけでなく、広島市の生い立ちや歴史にも最大限の注意を払ってもらいたいものです。全国菓子博覧会の開催と広島商工会議所の移転を急ぐあまりに、貴重な埋蔵文化財を消滅させる事は法的にも許されるものではないのです。

もう一つ、腑に落ちないことがあります。それは、広島商工会議所の移転ですが、今ある土地、建物は誰が買い取るのでしょうか。会議所といえども現状は「民」です。どなたが評価して、どの様な理由で買い取るのでしょうか。

しかも、広島市が移転先に指定している土地は国有地です。市民、国民に対して納得のいく説明が必要です。その上、その土地は国が「都市公園」として指定している公園用地の中です。

現時点では、土地も建物も固定資産評価や財産評価は想像しているよりは、大幅に低い価格であると思われます。会議所の財産は、直接は市政には何の関係のないものですが、今、広島市が提示している土地は国民みんなの財産である「国有地」であり、その上「都市公園用地の一部」であることをよく認識して、広島市行政は市民、国民が納得いく分かりやすい説明をしなければならないと思うのです。

その上で、広島護国神社の土地、パーフェクトリバティー(PL)教団の土地の移転費用や移転先をどこの費用でどのように賄うのか、また、残った土地はどこの財産になるのかといったように、まだまだ多くの疑問点があります。

例えば、広島市が買収して公園用地の一部として活用するだけの財政力はないはずです。しかも、「民」に移転を促しておいて、その奥にある広島市青少年センターの解体、移転の話がないのもおかしなものではないでしょうか。

「まず隗より始めよ」という諺がありますが、秋葉市長と広島市行政がまずなすべきことは、老朽化した広島市青少年センターを移転、新築し、広島市の次の世代を担う青少年の健全育成と教育の場を与えることではないでしょうか。

青少年健全育成を第一義に考え、子どもたちに「夢」と「希望」を与える施策を、市民に提示することの方が重要であり、しかも、その方が、中心部の都市公園の中には適切な施策ではないかと考えるのですが、市民の皆さんはどのようにお考えでしょうか。