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(No.294)2010年1月28日

『議会改革について』

国においても、地方議会においても、議会の改革と個々の議員のあり方を真剣に考え検討しなければならない重要な時であると思います。佐々木信夫著の『地方議員』(PHP新書)に、私たち議員が日々心掛け、実践すべき基本について書かれています。『議会をどう変えるか』という章の一部を紹介します。


まず、『広い意味の野党機能』という項目です。

地方議会は、自治体の団体自治として必要とされる予算、条例、主な契約など主要案件の決定者である。同時に首長に代表される執行機関の活動の監視者であり、膨大な予算の執行や条例、契約に関する執行機関の活動を監視、批判する役割を持つ。議会には、与野党の意識はともかく、組織全体として野党的機能が期待されているといえる。

さらに最近重視される役割として、首長提案の政策変更を迫るだけでなく、自ら様々な政策や条例を提案する提案者としての役割がある。また・・・争点の提起や民意の集約を行うなど争点提起者の役割がある。

このように、議会の役割は期待されているのです。


しかし、それにもかかわらず、次のような指摘もあります。

従来の議会は自ら「チェック機関」だと称し、首長ら執行機関の監視・統制を行う監視者に専念してきたといってよい。

(中略)

地方分権が進む中、多くの仕事は自己決定・自己責任を原則に自治体自らが決める自治事務に変わっている。この決定者は議会である。それには首長提案の議案を審議し、イエス・ノーの答えを出して終わるような形式審議ではダメだし、首長に質問し、ただ答弁をもらうというやり方でもダメだ。

議会の現状を正すとともに、議会の質を変化させる必要性を指摘されているのです。


また、『首長優位と与野党意識』の項の中の『なぜ首長優位なのか』では、次のような記述があります。

戦後憲法で地方自治が保障されたにもかかわらず、なぜ首長優位といわれてきたのか。その理由は次の三つにあろう。

  • @ 議会に対する議案の提出がほとんど首長の独占であり、議会の政策形成への影響力が相対的に小さい。
  • A 予算を伴う提案が首長の専権事項と規定され、機関委任事務に関わる予算が多くを占め、それに関する議会の「増額修正」(注1)は事実上できず、「減額修正」(注2)のみに限定されてきた。
    (※原文では、注1は「減額修正」、注2は「増額修正」となっていますが、誤謬と思われるため、この度は修正して記載しています)
  • B これまで自治体事務の7割近くを占めてきた国の機関委任事務について、議会には質問権、調査権のみしかなく、その内容の是非を問うことができない。

だが、2000年4月以降、機関委任事務制度は全廃されており、現在Bは当たらない。であるが、議会が首長の提案に受け身である態勢に変わりはない。米国の地方議会は予算作成やそれに対する減額修正が多いが、これと比べ日本の地方議会は予算に対する発言権が著しく制約されている。この点も首長優位を決定付けている・・・。

このように、なぜ首長優位なのかの説明がされています。


続く『与野党意識』の内容です。

議会が無原則に首長の与党的な行動に走ったり、野党的な行動に走ることは自らの存在意識を否定することになる。ましてオール与党化した議会、オール野党化した議会など、その存在は無価値に等しい。

首長の多選やスーパースターの首長就任で、時の首長権力が強くなればなるほど与党的な議会活動が色濃くなる。最初の首長選挙で特定候補者を支持した議会内の会派は、その候補者が当選してくるとその首長に対し自らを「与党」と考える。他方、首長側もそのグループを「与党」とみなす。その結果、「与党」と執行部との間に一種の馴れ合いが始まる。

一方で、そこから外れた他の会派は必要以上に「野党」であろうとし、審議拒否や「何でも反対」の硬直的な態度に出る。こうして議会内に与野党に分かれたグループ活動が始まり、議会は多元的利益を反映するという固有の特性を自ら失っていく。

「与党」と思い込む会派は、執行機関の政策や予算について他の会派より優先的に相談、協議を受けることを望み、根回しを要求するようになる。次の首長選が間近になると、「与党」議員は首長の実績を過度に褒めたたえ、追従的な八百長質問すら行うようになる。


さらに、『民意が活動の基礎』では、次のようなことが述べられています。

議会の強みは、“民意を鏡のように反映できる”点にある。・・・そもそも住民から直接首長が選ばれるシステムのもとでは、議会に与党も野党も存在しない。「議案」(注3)ごとに是々非々の態度で審議に臨むのが議会議員の態度であるべきだ。・・・議会はつねに「住民のための議会」という視点を外してはならない。
(※原文では、注3は「法案」となっていますが、この度は「議案」と記載しています)


また、『議長とは何だ』の項目の中では、地方議会の議長の特性が述べられています。

議長の役割は何か。一つは首長と並んで地域の顔として、内外の行事や会合に出席し挨拶する役割である。もう一つは行政と議会の調整役を務め、様々な会派、議員からなる議会を一つにまとめていくことである。この役割を果たす上で、議長職に長く止まれば行政当局との関係が深くなりすぎ牽制機能が鈍るし、短ければポストの順送りと批判される。


これには、国会の議院内閣制とは違い、地方自治体は大統領制ゆえ議員が執行機関の要職に就くことがないことや、議会内のポストも少ないため、議長、副議長、各委員長といったポストの争いが絶えないといったことも挙げられると思います。


さらに、『ある議長の談』として、次のようなことも述べられています。

「そもそも否決になるようなものを出すのが間違い。執行部は県民が何を求めているのか吟味して議案を出し、それをチェックするのが議会の仕事。条例などの議員提案もあり、活力がある。


一方で、『議案の否決が一件もない議会』では、次のような注文も付けられています。

2000年施行の地方分権一括法で、いわば国の下請け業務だった「機関委任事務」が全廃され、地方議会は自治体すべての業務の審議権を手に入れた。しかし、その後も多くの自治体では、以前と同様、予算案の減額修正や議案の否決がほとんどない。・・・自治体の場合、首長が出すものはすべて無修正で通すもの、そもそも議会で修正を受けるようなものはダメという考えが浸透しているのは問題だ。・・・むしろ議会は、機関対立主義の考えに立ち、議長を中心に議会から執行機関に対し、予算教書を出して政策のあり方を提案するぐらいの積極姿勢が求められる。

まさに議長の役割のポイントがそこにあると思うのです。


さらに、続く『地方議会をどう変える』と項の中では、『議会の強み』ということで、要約すると次のようなことが述べられています。

第一に、議会は多くの議員により成り立つ合議体であることから、審議の場に住民の多様な意見が反映されやすく、民意を顕在化させる機能(民意を鏡のように映す機能)を担っている。

第二に、議会審議を通じて合意形成を図り、民意調整の機能(コーディネーターの機能)があり、第三に、執行機関の活動を監視し是正することを通じて、執行機関を監視・統制・牽制する機能を担っている。

国も同じだが、自治体も同様に政策活動は「政治」があって「行政」がある。行政機関の意思を追認するのが政治の役割ではない。将来のビジョンを示し、既成秩序を変え、主要な公共的決定を行うのが政治の役割だ。地方分権が進むと、地方政治は飛躍的に重要さを増す。

つまり、議会には首長と違う強みがあり、しかも、今後その重要性はますます増大していくということなのです。今まさに、議会人、自らが自己研鑽しなくてはならない時ではないでしょうか。


さらに、次の『役割意識の改革』では、次のように整理されています。

首長は執行機関(行政)の代表であって、地方政治の中心というわけではない。議会制民主主義において、自治体における政治機関の中心は政治家集団からなる「議会」である。

市町村議員になると、役割認識は、「世話役・相談役」と「行政監視・批判」の役割が上位を占めるようになる。

政策立案や政策審議に多くの時間を割くのがこれから期待される議員の役割ではないのか。これまでも議会は改革努力を続けてきた。しかし、その本質は、政治改革としての議会改革ではなく、行政改革としての議会改革に止まっている。つまり議員定数の削減や、経費の削減など「量的」な面の改革が中心だった。これからもこうした面での改革努力も惜しんではならない。

しかし、議会改革の本丸ではない。これからの議会改革は、政治の「質」を高める改革が最も大事である。

その改革のポイントは、

  • @立法・政策能力の向上
  • A議会の自立性の確立
  • B議会スタッフの充実
  • C監視・統制機能の強化
  • D開かれた議会づくり

是非とも、広島市議会においても、こうした観点を踏まえた「議会改革」を進めていく必要があると思います。

しかし、実態はどうでしょうか。広島市においても、先日、議会改革という名の下に、予算特別委員会の在り方の見直しの検討がなされました。その結果について、1月26日の中国新聞が「『市長が全審議出席』維持・予算特別委で広島市議会」という見出しで伝えています。

その記事の中で、「例年、議員の欠席が多い」という指摘があったことも伝えられていますが、広島市議会議員は定例会をはじめ、全ての委員会や審議会等々、欠席者はほとんどないものと思います。欠席と中途退席とは違うのですが、この指摘はそれを混同したものと言わざるを得ません。しかも、その原因は何であるかを十分検証せず、ただ単に人が少ないという現象面を捉えた、表面だけの指摘ではないかと思うのです。

本当の意味の議会改革を進めるのであれば、先ほど引用させていただいたように、「議会人の資質の向上」を図ることが必要ではないかと思います。例えがあまり良くないとは思いますが、歌舞伎でも役者が良いときと、演目が良いときは観客がいっぱいのはずです。議員個々の努力で中途退席が少なくなるよう研鑽しなければならないのです。

また、秋葉市長の「拘束時間が長い」との主張を受け入れた形といったことも伝えられていましたが、これまで、市長の出席を求め、直接政策論争をしていたものを、「今後は局長以下でいいですよ」ということで、議会改革と言えるのでしょうか。それで、市民の負託に応え、議会として職務の遂行を的確に成し遂げることができるのでしょうか。甚だ疑問です。

本来であれば、議会人の質問には、課長ではなく、市長・副市長・局長か、譲っても部長で対応するようにすべきではないかと思うのです。そのことによって、議会に求められている真の「政策審議」が可能となるのではないかと思いますし、多くの課長は行政の最前線で日々活躍をしています。現場の解る行政マンは現場に置く方が行政推進の観点からも有効なのではないかと思われます。議事録に残る公式なやりとりという点からも責任ある答弁が必要なのです。

このように、議会改革を推進しようとするのであれば、議会の質の向上と権威を確保することが最優先ではないでしょうか。また、市長も腰を落ち着けて、行政の長としての仕事をしていただくことが、市政の発展に繋がると思いますが、皆さんはどのように思われますか。



(※追伸(秋葉市長の選挙公約))

平成22年も年が明けて早1ヶ月が経過しようとしています。この時期、市役所では来年度当初予算の編成に向けた最終段階にあり、今後、市長査定を経て、議案として取りまとめられ、我々議会では2月半ばから3月末にかけて開催される定例会において、その審議を行うことになります。

当初予算案の審議は、議会の重要な役割の一つですが、とりわけこの度は、現市長の任期中における政策的な予算が提案できる事実上最後の議会となります。こうしたことからも、平成19年4月の選挙公報で掲げられた事項の達成状況を総括する観点から、その検証が必要であると考えています。


秋葉市長の選挙公報に掲げられた公約(抜粋)

■「万人の夢」の実現

  • ノーベル平和賞博物館の誘致
  • 「折鶴ミュージアム」の建設
  • パラリンピックを2020年に誘致

■「都市整備」のさらなる推進

  • 現球場跡地の施設決定と建設
  • 広大跡地へ「知の拠点」の完成

■地球・地域環境の改善

  • 泳げる太田川の復活

■市場経済の劇的変化・世界化への対応

  • 大学観光学部・観光専門学校の誘致
  • 路面電車のLRT化・環状線化の推進

■「人が優しい」街づくり

  • ライトハウスの建設
  • 一人旅の女性が夜間安心して楽しめるエンターテインメント地域づくり

「オリンピックの誘致検討」など話題づくりには事欠かない秋葉市政ですが、その前に、市長には、選挙公約や直面する諸課題に関して、真摯に対応する責務が課せられていると思います。議会としても、そうした点に関して、十分、チェック機能を発揮していきたいと考えています。