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(No.288)2009年12月15日

『佐賀県のがん治療施設について』

このところ、連日、新聞紙上をにぎわしているのは、「新型インフルエンザの流行」です。これから本格的な冬を迎え、流行の拡大(特に幼児・小学生)も十分考えられますので、行政は、感染予防や医療体制の確保をはじめとした対策に万全を期していただきたいと思います。

インフルエンザのような感染症対策だけでなく、恒常的に世界中でその予防や治癒に向けて努力している医療について、行政が主導して最先端医療施設の充実を求める声が聞かれます。その主なものが「がん予防対策とがん治療」であると思います。

ご承知のことと思いますが、「がん」は昭和56年から我が国における死因のトップであり、年間30万人以上の方が亡くなられています。また、死因に占める割合も約30%にものぼり、3人に1人は「がん」で亡くなられているのです。まさに「がん」は国民病であり、国をはじめ、各公共団体を挙げた早急な予防、治療対策が待ち望まれているのです。

そうした中、「がん」に係る高度最先端医療施設である「重粒子線がん治療施設」をこの広島市に整備しようとする動きが過去にあったのです。それは、中区東千田町の広島大学本部跡地の活用法の提案の中にありました。

平成19年4月20日の「ひろしまの『知の拠点』再生プロジェクト」事業予定者選考結果報告書の中に次のような記述があります。

(3)選考委員会からの要望事項

ア 高度先端医療施設である重粒子線がん治療施設については、地域のみならず広域 的な医療と福祉の向上に貢献するものであり、審議の過程でその意義が確認されたこと から、(中略)民間活力を導入するなどして、広島圏域での設置に向けた検討が進められ ることと期待する。とりわけ、広島大学が中心となって当該施設の実現可能性を追求していただきたい。

また、企業グループCの事業予定者選考委員会の評価報告書には次のように記載されています。

「平和」を育む様々な「知」を結集し発信する地区を目指す提案となっている。特に、重粒子線治療施設の導入は先進性という点で評価できる。しかしながら、重粒子線治療施設について広島大学への売却を前提としており、事業の実現性及び継続性といった点などに課題がある。

事業予定者選考委員会は事業予定者(第1順位者)と次点(第2順位者)を決められましたが、両候補とも今日の不動産不況で事業主体になれなくなり、広島大学本部跡地の再開発事業も市民の眼前から消えていったのです。

広島大学本部跡地の再開発事業計画で提案された「重粒子線治療施設」の提案は、私たち市民も、被爆者も「がん」が速やかに治癒できる治療法として広島市に欲しい施設であると思います。

広島県下で今日までに、がん治療施設の計画は沢山ありましたが、未だ中・四国地域の拠点になるような施設の計画がないのが現実です。中・四国地域の中枢都市としての地位を発揮するためにも医療先進都市であるべきではないでしょうか。そのためには広島県、広島市をはじめ中四国にある各大学医学部、経済界など関係機関が結束して先進的な「がん治療施設」の拠点を創ることが重要であると思います。

どうしたらそのような施設の計画を立ち上げられるのか、そのための良い手本が佐賀県にあります。「佐賀県粒子線治療普及グループ」が県民・市民に配布したわかり易い説明書です。



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佐賀県重粒子線がん治療施設

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佐賀県重粒子線がん治療施設


プロジェクトの説明で「佐賀県では、がん対策の切り札の一つとして、切らずに治すがんの治療法として注目されている重粒子線がん治療施設を、平成25年春、佐賀県鳥栖市に開設するプロジェクトを進めています」とあります。その設置場所は「九州新幹線『新鳥栖駅』前に開設予定」とあり、場所も時期も明確にされ、何度か、説明会もされているようです。

原爆被爆者の一人として、「がん」にかかる確率が平均より高いのではないかと危惧している者にとっては、切らずに治療できる施設が広島市に出来ることと、全国的に一箇所でも多くの施設が早急に出来ることを望むものです。

佐賀県での、この施設建設に関する取り組みの道のりは決して平坦ではなかったと思います。多くの関係者(団体)との調整・合意を得ることは困難を極めたと思います。この佐賀県での施設の取り組み方、段取りをここまで積み上げて来られた一人は、元広島市で助役(建設省)・福岡市で副市長の経験者です。

行政と財界、医療の世界や市民とがコーディネートできる人材がいたからだと思います。先例からしても、広島市で本気で先進医療施設の設置・建設を実施・施行しようとすれば、人も知恵も資金も確実に確保できるはずです。

平成21年10月26日に事業推進委員会が作成したパンフレットの「事業スキーム」(後に掲載します)が、これから事業を起こそうとする者(行政・企業・団体法人)にとっては参考になるスキームだと思われます。

新しい事業を起こすには、タイミングが必要だとよく言われます。なぜ、佐賀県が、あるいは鳥栖市・九州財界が今のタイミングでこのような大きなプロジェクトを立ち上げることができたのか、その一番の理由は、重粒子線(炭素線)がん治療施設が従来の規模から格段に小型化されたことにあるようです。

2年以上前から計画を手がけ、治療機器の小型化を心待ちにしていたとのことです。従来のものであれば、炭素線発生装置の直径が30メートル必要であったものが、小型化されて直径8メートルあれば発生装置が設置できるようになり、それに伴い、全ての諸経費が圧縮されるようになったからのようです。



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国内外の粒子線治療施設

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普及のための小型化研究開発


施設に必要な土地は、鳥栖市の市有地を1.6ヘクタール提供するようです。九州新幹線「新鳥栖駅」前の土地で、市街地の発展のための「核」になるようであり、MINTO機構(財団法人民間都市開発推進機構)の出資もあるようです。

なぜ、街のにぎわい施設になるのかは、重粒子線がん治療の特長でもある「切らずにすむ」がん治療法だからだそうです。例えば、通院か、ホテル住まいでの治療で、入院治療ではないのだそうです。

治療機器のメーカーも国内に4社もあるそうで、治療施設も機器の小型化に伴い縦80メートル・横60メートルの建築物ですむそうです。費用は一般的に医療機器と建物で140億円くらいだそうですが、将来はまだまだ安くなるのではないかと思われます。



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事業スキーム


事業スキームにあるように、医療運営法人(医療・運営)と施設を管理・運営する施設管理運営会社(SPC)に分けて設立すれば、医療法人は「寄付金」で、管理運営の方は多くの方の出資で設立すれば「資金」での困難さも解決の糸口はあるそうです。佐賀県での事業資金も何とかめどが立ったようですが、これからが正念場だと語っておられました。

それより何より、一番大事なことは、医療現場である多くの大学と大学病院との連携を図ることであり、この協力なくしては「夢」の施設も出来上がらないとのことです。企業・行政とも異なった学術・医療の世界の協力がなければ出来ないものであり、産・学・官あげての協力が必要で、民だけではなかなか出来かねる施設のようです。

それだからこそ、被爆都市である広島市が医学・医療先進都市となるため、産・学・官あげて一刻も早く最先端のがん治療施設建設の組織を立ち上げて欲しいのです。

先に紹介したパンフレットにも、重粒子線がん治療の特長が記載してあります。

1)がん組織を集中的に破壊
2)痛みがなく、副作用も少ない
3)体力のない方でも治療可能
4)治療期間が短く、外来治療も可能
5)難治性のがんも治療可能


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国内外の粒子線治療施設

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普及のための小型化研究開発


多くの自治体で、「がん対策推進計画」を発表されていますが、その目標は「がんによる死亡者の減少」であり、「すべてのがん患者及びその家族の苦痛の軽減、並びに療養生活の質の向上」であろうかと思います。

推進計画の主だったものは、拠点病院を中心とした地域連携体制の整備であり、放射線療法及び化学療法の推進並びに医療従事者の育成・最先端治療施設の充実や緩和ケア・在宅医療であり、それにもまして、がんの予防・早期発見等、行政の役割と責任は大きいと思われます。

そんな中で、「佐賀県」と「九州国際重粒子線がん治療センター事業推進委員会」の事業決定はこれからの自治体の「がん」治療の方向付けの一つの指針になるのではと思われます。詳しくは、「九州国際重粒子線がん治療センター事業推進委員会」と「佐賀県・重粒子線」のホームページでお読みください。

http://www.pref.saga.jp/web/var/rev0/0039/9619/ver.1.0.pdf#search='九州国際重粒子線がん治療センター事業推進委員会' http://www.pref.saga.lg.jp/web/ryushisen.html

もう一つ、説明の中で、さすが九州だと感じたことは、治療に係る患者数の推計です。そのもとにあるのは九州人としての世界観があるようです。「眼」はすべてアジアに向いており、特に中国と韓国を主眼にしています。アジアからの窓口は九州だと自負しているようで、そのための努力を日頃からしている自信があるようです。

広島市行政の近年の「眼」はアメリカ・ヨーロッパをはじめとする「平和」行政を通用させようとする広島市から遠く離れた西側の諸都市であり、歴史や風土、生活、文化など多くの共通点のあるアジア圏への働きかけは皆無に等しいのです。

私たちが先人から教わったことの一つに「遠くの親戚より、近くの他人」と言う言葉がありました。広島市もアメリカ、ヨーロッパの都市だけではなく、一番近隣のアジア圏の多くの国・都市との友好と親善をはかる努力をするべきではないでしょうか。

九州全般・佐賀県でもこの様に都市間に対する理念の基本が、しっかりしているので、「重粒子線がん治療」の患者数の計算の中にも、アジア圏が、医療としての新しい商圏になる可能性があるのではと思いがあるようです。



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資金計画


秋葉市長は90億円で世界に誇れる球場をつくったとよく言われます。広島市にとってはエンターテイメントの開催の場には最大の施設です。もう一方で、人類の大きな心配と悩みの一つである「がん」の克服も広島市民にとって最大の望みのであろうと思います。

佐賀県の重粒子線がん治療施設建設には利息のいらない資金が100億円あれば出来るシステムの構築をしています。残りは、SPCを立ち上げて資金の確保をするようです。

このシステムを応用すれば、広島市の主導で「がん治療」施設ができるのではないでしょうか。秋葉市長にとってオリンピックが最高の世界平和・核兵器廃絶の象徴かもしれませんが広島市民にとっては、人類の願いである「がん」治療システムの確立も大きな希望だと思います。

広島にとって、今、一番必要なのは、被爆都市ヒロシマに、世界に誇れるがん治療施設を100億円で建設されることだと思うのですが、皆さんはどのように思われますか。