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(No.270)2009年4月20日

『「現球場跡地の活用」に係る予算修正について(Part4)』

これまで、先の定例会で予算修正が行われました「現球場跡地の活用」について振り返ってみましたが、そうした議論を引き起こした折り鶴ホール等の事業計画案を優秀案として選考したのが、「広島市民球場跡地事業計画案及び事業予定者選考委員会」であったのは、皆さん、ご承知のことだと思いますが、実際、その選考委員会で、具体的にどのような議論が交わされた上で、選考に至ったのかというところまで分かっている方というのは、非常に少ないのではないかと考えます。

そこで、今回は、市のホームページに掲載されています、当該選考委員会の議事要旨を引用しながら、選考の状況がどのようなことになっていたのか、触れてみることにしました。

なお、当該選考委員会は、次の9名です。
   小林 治人((株)東京ランドスケープ研究所代表取締役社長)=委員長
※三井所清典(芝浦工業大学名誉教授、(株)アルセッド建築研究所代表)=副委員長
   猪爪 範子(地域総合研究所主任研究員)
   内田 雄造(東洋大学ライフデザイン学部教授)
※大井 健次(広島市立大学芸術学部教授)
   西郷真理子((株)まちづくりカンパニー・シープネットワーク代表取締役)
   福田由美子(広島工業大学工学部准教授)
※光多 長温(鳥取大学地域学部教授)
※山本 忠((財)日本不動産研究所理事・研究部長)

注) ※は「広島市民球場跡地利用検討会議」(平成18年5月、「跡地利用の方向性」をとりまとめ、26件の民間事業者の提案の中から、11件を選定した)の委員に引き続き就任。

なお、以下紹介します議事要旨では、個人名の記載はされていません。
   また、引用文の中には、提案番号1あるいは提案番号3といった表示がありますが、これは、いずれも選考委員会では優秀案として選考されたもので、それぞれ次の内容のものです。

 そういったことを前提に、選考が佳境に入る第3回の選考委員会では優秀案として選考されたもので、それぞれ次の内容のものです。

提案番号1

提案番号3

平和祈念堂 水(み)な都(と) Mother's Stage
事業予定者(代表企業)
   (株)池原義郎・建築設計事務所
事業予定者(代表企業)
   エヌ・ティ・ティ都市開発(株)
施設概要
   折り鶴の保存・展示をする祈念堂
   市民の森など
施設概要
   森のパビリオン
   アクア・ステージなど

そういったことを前提に、選考が佳境に入る第3回の選考委員会(平成19年5月27日開催)の状況の中から、「提案番号1『平和祈念堂』」に関する部分を中心に紹介させていただきます。

その部分の選考は委員長の次の言葉から始まっています。

[委員長]
   それでは、これからは、提案番号1と提案番号3の2つに絞って、@デザイン性と、A事業性という視点で審議したいと思う。まず、デザイン性の面についてどうか。

まず、デザイン性に関して、各委員からは次のような意見が出されているのです。

[委員]
   提案番号1の平和祈念堂は、周りの公園はいいが、真ん中の施設は何か違和感のようなものを感じる。
[委員]
   提案番号1は真ん中に施設があると、公園として使いにくい感じがするが・・・。
[委員]
   提案番号1をもし選考するのなら、真ん中の施設は、もう少しモニュメントとしての性格を強め、国際コンペで決めればいいと思う。しかし、国際コンペをすることが応募者に許してもらえるかどうかという問題はある。それと、この施設がはたして地元に受け入れてもらえるかどうかという問題がある。この施設は、外の人が広島の平和を考えてくれるという意味においては、大変貴重だと思う。


[副委員長]
   提案番号1の折り鶴のモニュメントや少女の像も、平和の象徴的なものとして考えたときに、そのまますっと市民の気持ちの中に落ちていくものではないような気がする。
[委員]
   提案番号1のデザインは少し堅いが、真ん中の施設のアートを中心としたデザインはいい。
[委員]
   提案番号1は、祈念碑が真ん中にあって、ある意味、公園としては使いづらいのではないか。折り鶴祈念堂については、市民の好き嫌いもある。
[委員]
   外から広島を見た場合、平和ということで、最初は、提案番号1がいいと思っていた。しかし、そういう機能は今の平和記念公園でほぼ充足している。あえて、ここにまた平和記念公園をつくる必要があるのかという考えを持つようになった。

 そして、次に話題は事業性の検証に移るのですが、それに対しては、

[委員]
   提案番号1は確かに案としては魅力的だが、お金の面で非常に心配がある。我々がこの案を選んでおいて、もしお金が集まらなかったら、これは市の責任問題ということになる。・・・提案番号3も提案番号1も、一長一短だ。
[委員]
   提案番号1は、期待がもてるが、はたして本当にできるのかという疑問が残る。市民がいろいろなことができるという点で、提案番号1と提案番号3なら提案番号1のほうが「はらっぱ」に近い。提案番号1で少し様子を見てもおもしろいが、提案番号3も提案番号1も問題がある。
[委員]
   それに提案番号1か提案番号3かということになった時、提案番号1は寄附が集まるまで待つというのは問題だ。寄附がもし集まらなければ、周りの市民の森だけ市が整備して、中心はなにもしないということになる。
[委員長]
   芸術性の面では提案番号1に異論はないが、寄附が集まるというのは、過去の巨匠のビックネームがあった時代の話である。今はもう、そういう時代ではない。

 

[委員]
   提案番号1の真ん中に置く施設について、市民の賛否の差が激しいということは、本来の都市公園のあり方として、何か違っているのではないかと思う。
[副委員長]
   提案番号1は、モニュメントの周辺を樹でやわらげており、自由な空間も多く、好ましく感じる。
[委員]
   提案番号1は、お金が集まらないと何も始まらない。そこが問題である。
[委員]
   提案番号1は人工的だと言われたが、真ん中のモニュメントを除けば、緑が多くて自然である。

こうした議論を踏まえて、委員長は一旦両案に対する決を採られるわけですが、次のとおり、なぜか、同数になってしまうのです。

[委員長]
   これまでの議論で大きな枠組みは大体出たように思う。
   この辺りで両案について、一旦表決をとってみたい。
(開票結果) 提案番号1 4票
  提案番号3 4票
  保   留 1票

そこで、改めて、二、三の議論がなされた上で、委員長から次のような提案がなされたようです。

[委員長]
   公園サイドの立場からいうと、提案番号1の周辺の市民の森は公園的である。その中心にくる施設のあり方と、事業性という点で問題があるというご意見が多い。ここでは、提案番号3に条件を付してその結果で判断するということで、提案番号3を推薦したらいかがか。具体的な付帯条件は、今日の議論を踏まえ、事務局で整理していただくことでどうか。条件に対する応募者からの回答を委員の皆さんにお伝えし、条件が満たされたところで最優秀に選考するということでよいか。

 この発言でもお分かりのとおり、委員会の議論として、委員長は、提案番号1に関しては、中心に来る施設、つまり、折り鶴の保存・展示をする祈念堂の在り方等については問題があることを明確に指摘されているのです。

さらに、その委員長の提案を受けた形で、副委員長も

[副委員長]
   今、提案番号1の真ん中の施設に違和感があると言われたが、そもそも応募者はこの祈念堂が問題だとは最後まで知らなかったはずである。提案番号3は、水族館がまずいとはっきり言ったから計画を変更してきた。その時、提案番号1もはっきり真ん中の施設がまずいと指摘しておけば、もしかしたら応募者も計画を変えてきたかもしれない。提案番号1と提案番号3でそこの理解が違った。指摘を受けた人は案を変更した。ところが、それを受け取らなかった人は案を変更しなかったというところがひっかかる。

と、祈念堂の取扱いを大いに問題視されているのです。

こうした副委員長の懸念を真に受け止めるとすれば、場合によれば、提案番号1は平和祈念堂とは別の施設に置き換えられて再提案されるべきではなかったのではないでしょうか。

そうした議論もあった後、再度、委員長から、

[委員長]
    提案番号1は、公園として一体となった空間という意味ではいい。しかし、平和記念公園が2つもいらないというのが、正直、地元の意識ではないか。商工会議所の案を読んだ。空間論的には問題はあるが、文言的にはいいことが書いてある。市民意見も絶対ではないが、ひとつの傾向は読み取れる。市民参加も取り入れるということで、提案番号3で決着ということで皆さんいかがか。
とあり、そして、さらに、
[委員長]
   市民参加の取組や賑わいの創出の取組について、提案番号3の応募者に確認し、その回答を見るまでということで、本日の段階では、仮にということで、提案番号3を優秀案でひとまず決着でいかがか。
と、委員の皆さんの意思を確認され、
[一同]
了解する。
と、その時の会議は閉められているのです。

詳細は、「広島市民球場跡地事業計画案及び事業予定者選考委員会」ということで、市のホームページに掲載されていますので、関心のある方は是非御覧いただきたいと思いますが、こうした選考過程を振り返りますと、提案番号3の作品は、一応仮の優秀案であっても、条件が満たされれば、当然、最優秀案となるでしょうし、万が一、満たされなかったとしても、この作品だけが優秀案として選考されるものと考えられるのではないでしょうか。

しかし、結果は、そうではなかったということは、皆さんもすでにご承知のとおりです。しかも、その際にどのような議論がなされたかについて、市のホームページでは、次のような紹介がなされているにすぎないのです。

<最終選考>
   提案番号3の応募者からの回答に対し、複数の委員から提案番号3の優位性は認められないのではないかとの意見も出されました。このため、委員長から各委員に協議された結果、提案番号1と提案番号3の評価は優劣つけがたいとの結論に至り、両案を優秀案とすることが決定しました。

選考委員会の総意としての結論ですから、そのことについて異を唱えるつもりは全くありませんし、各委員の判断もその良心に基づいて、公明正大に行われているはずですから、疑義を挟む余地はないことは十分理解していますが、ただ、それまでのこの選考委員会での選考の経過があるだけに、釈然としない気持ちを持つのは私ひとりだけではないと思うのです。

球場跡地の活用は、今後の広島市の都市づくりを進めていく上で、重要な課題の一つですし、市民の多くもその成り行きに大きな関心を寄せている問題でもありますので、その方向性を左右する重要な情報は明らかにする必要があるのではないかと思います。

さらに、こうした審議会とか委員会の在り方に関して、先の予算特別委員会で、市長は、次のように述べられています。

かつての審議会、委員会は、議員御指摘のように、御用委員会と言った方がいいような委員会がほとんどでございました。・・・私が市長になってからは、そうではなくて、委員会独自の見解で、それぞれの委員の考え方で、あるいは学者であれば、自分たちの学問的な業績、あるいは良心を基にして、議論をしていただく会に再編をいたしました。・・・要するに行政の言うことにも、あるいはほかのいろいろな圧力に対しても、独立をした方々が委員になっているということです。そういう形で、独立の決定をしていますから、行政がそれに対して、事前にシナリオを作って、それにただゴム印を押すというような形での委員会運営はまず行っていないつもりですから、そういうことは御理解いただかないと困ります。

当然のことといえば、当然のことで、あえて問題になるようなことでもないわけですが、しかし一方で、秋葉市政の下での各種審議会の運営に関しては、巷間、様々な声も聞かれるわけですから、そうした疑惑を生じさせないためにも、積極的な情報開示と市民に対する説明の徹底をすべきではないかと思うのですが、皆さんはどのようにお感じでしょうか。