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(No.254)2008年12月5日

『下水汚泥の燃料化について』

11月18日の中国新聞に『汚泥燃料化、西区にプラント新設』という見出しの記事が掲載されていました。

その概要は、

下水処理で大量に発生する汚泥を固形燃料に再利用する準備を進めている広島市は、加工プラントを西区の西部水資源再生センター内に新設し、2012年度にも稼働させる方針を固めた。

といったもので、続けて、

汚泥は下水中の有機物に微生物が作用してできる。新プラントは脱水した汚泥を蒸し焼きし、粒状の燃料を製造。売却して火力発電所や工場の発電用ボイラーなどで石炭の代替燃料に使ってもらう。

といった内容の記事や

市下水道局は、汚泥を焼却せず蒸し焼きにするため、二酸化炭素排出量とコストが削減できる…などのメリットを強調。

といった記載がありました。

今回のように、行政が新たな施策を展開しようとする場合には、導入するに足る適切な理由が存在しなければならないと思いますし、それも、行政としては、功罪両面を明らかにした上で、それをきちんと市民に伝え、市民が納得できるような説明をしなければ、説明責任を果たしたことにはならないと思うのです。しかし、今回、新聞で取り上げられたことに関しては、そのことが十分伝えられていない、あるいは、説明責任が十分果たされていないのではないかと思うのです。

そもそも、こうした下水道事業にかかわる最終の処理方法というのは、時代とともに、猫の目のように変わってきたと思います。しかも、市民の日常生活圏内で処理されているにもかかわらず、行政の中途半端な指導、監督によって、行政側と利益を求める企業側、そして地域住民との間に様々なトラブルが発生してきたのではないかと思われるのです。

例えば、下水道の普及率が上がれば、し尿処理事業者は転業を迫られることになりますが、一方で、国策として、下水道の普及が促進されてきたため、転業に対する補償も講じられてきました。また、最終の処分にしましても、汚泥での埋立てに始まり、下水の処理量が多くなってきますと、まず、汚泥のコンポスト化事業に移っていったのでした。それも、初期には肥料として、後半は土壌改良材として活用されていたと思われるのです。さらに、その後は、汚泥の焼却やセメントの補助材料として活用されてきたのではないかと思います。

そうした汚泥のコンポスト化やセメント補助材料としての活用に関して、なぜ、民間企業が参入して、商売として成り立つことができたのかと言いますと、行政からの処理費があったからで、行政が焼却に踏み切った理由も、処理費の軽減を図るということがあったと思うのです。

しかし、一方で、どこにも独自の処分場を有しない広島市としては、汚泥の焼却に踏み切ったものの、今度は、焼却灰の処分先の問題が生じることとなったわけです。最終処分場がないということは、下水汚泥だけでなく、都市機能を維持する上においても、最終的な行政の責任を全うすることはできない、つまり、他人任せの行政と言わざるを得ない、全く情けない話になるわけですが、今回の場合の大きな問題は、市民が安心安全に暮らしていくために汚泥処理の現場で必要となる脱水時に発生する悪臭の対策です。

この対策には多額の費用がかかることも、西区の住民は覚えています。現在は西区から佐伯区湯来町へ移転して、超近代的な最新鋭の設備とされた企業がありますが、この企業も経営者をはじめ政官あげての長い年数をかけた努力の結果、現在の姿を形成することができたわけです。

今回のことに関しても、高温で焼却しても「悪臭」は出るはずです。燃料化で「蒸し焼き」にしても「臭気」は全くなくなるはずはないと思うのです。さらに、多額の資金をかけ、それこそ、超近代的な設備をしても完全なメンテナンスを怠ると臭気は外部へ出るのです。そうした「悪臭」対策は十分検討されているのでしょうか。

しかも、今回の西部水資源再生センターの隣は、市民のみなさんも御存じのはずですが、食肉・野菜・果物・鮮魚や食品加工団地等々、広島市民の食生活にとって、最も重要な地域なのです。食の安心・安全が叫ばれている現在、この場所に行政がこのような施設を造ってもいいのでしょうか、不安と不信を感じざるを得ません。行政政策として、地球温暖化対策、CO2 削減のための燃料化の方が、広島市民の食生活の安心・安全よりも大切なのでしょうか。

また、過去から転々とした事業例や企業の継続性からしても、どのぐらいこの燃料化事業が続くのか、甚だ疑問があります。セメントの補助材料としてセメント工場へ搬送していたように、量の増減があれば、企業はこの燃料を当てにできないのです。本当に汚泥の安定した供給と確保ができるのでしょうか。

さらに、現在行われている、例えばコンポスト化等々、既存の企業はどうなるのでしょうか。燃料化のほかにも、新しい施策はあるのではないでしょうか。

視点を変え、農水省や経済省など、国の指導施策として単に今、流行のエコやCO2削減だけでなく、汚泥のなかには、これからの産業に必要なレアメタルも含まれているのではないでしょうか。そうした取組についても、十分検討された上での今回の事業実施なのでしょうか。

事業実施に踏み切るのであれば、事業の永続性や安全性について、これまでの経緯等を踏まえ、十分検証した上で、その理由等を市民に対し、明確にして行うべきであると思います。今回のことに関して言えば、その取組が十分とはいえないと考えますが、皆さんはいかがお考えでしょうか。