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(No.247)2008年10月8日

『平成19年度決算について(Part2)』

広島市の財政状況については、前回、取り上げましたように、確かに、第2次財政健全化計画の達成状況を見ますと、4年間で約1,400億円と見込まれていた累積赤字も計画どおり解消され、市債の実質残高も平成19年度末の計画額7,577億円から214億円も削減されています。

しかし、これで広島市の財政状況は、秋葉市長の言うように「小康状態」と言えるのでしょうか。
 第2次財政健全化計画の達成状況では、財政調整基金の残高は、計画では平成19年度末で53億円でしたが、実績では112億円と約2倍となっており、計画を超える成果を挙げたこととなっています。しかし、平成19年度決算においては、財政調整基金の取崩しが、平成14年度以来5年ぶりに行われおり、しかも、21億円という巨額なものとなっています。

一方、平成20年2月に発表された『今後の財政運営方針』(平成20年度から平成23年度までの4年間を計画期間)を見ますと、平成10年度からの第1次財政健全化計画、平成16年度からの第2次財政健全化計画にも盛り込まれていない財源対策が行われることとなっています。

それは、特定目的基金の取崩しが予定されていることなのですが、公共用地等を先行取得するために設けている土地開発基金を35億円、地域福祉の向上を目的とした事業にあてるために設けている地域福祉基金を22億円、合わせて57億円となっています。その上、今まで発行されていなかった特例的な市債の発行も行われることになっているのです。『今後の財政運営方針』では、平成20年度から4年間、退職手当債と行政改革等推進債が毎年40億円ずつ、期間内に320億円の発行が計画されているのです。

特に、退職手当債については、平成18年2月定例会、また平成18年9月定例会で、「平成19年度までの第2次財政健全化計画では、退職手当を含めた人件費の動向も踏まえて計画を策定しており、現時点では退職手当債の発行は予定をしていない」といった答弁がされています。

こうしたことを考え合わせてみますと、本当の広島市の財政は、秋葉市長がいつも言われているように、小康状態だという見立ては、果して当っているのでしょうか。とても、そうとは思えないのです。

また、そのほかにも、疑問を感じる点があります。
 その一つが、「財政構造の弾力性」に関してですが、このことを示す指標に経常収支比率というものがあります。これは、人件費、扶助費、公債費の義務的経費を市税や地方交付税などで、どの程度賄われているのか、言い換えますと、市が自由に使えるお金がどの程度政策的経費に使えるかというものですが、秋葉市長が就任された平成11年度の経常収支比率は、90.3でした。それが、再選された平成15年度は3.6ポイント悪化し、93.9となっています。さらに、三選された平成19年度には、さらに4.5ポイント悪化し、98.4となっているのです。

つまり、実に初就任された平成11年度から平成19年度までの間で、8.1ポイントも上昇しています。市長に就任以来の9年間で経常収支比率を8.1ポイントも悪化させた責任というものはないのでしょうか。

もう一つが、「市債の実質残高」に関してです。この市債の実質残高とは、財政当局の説明によると、市債の残高から「将来の市債の返済に備えて減債基金に積み立てている額」と「交付税措置がされる減税補てん債等の特別な市債の残高」とを除いた額ということですが、第2次財政健全化計画期間において、平成16年度末の実質残高が8,022億円に対し、平成19年度末が7,577億と、4年間で445億円も減少しています。

厳しい財政状況にもかかわらず、実質残高の抑制に努められたことに対して敬意を払う必要があるのではないかとも思ったのですが、よくよく数字を並べてみると合点がいかないところがあります。

そのことを詳細に述べますと、まず、平成16年度末では、市債の残高が9,502億円で、実質残高は8,022億円となっています。また、減債基金は655億円ですから、市当局の説明に基づき算定しますと、825億円が「交付税措置がされる特別な市債の残高」ということになると思います。

一方、平成19年度末では、市債の残高が9,548億円で、実質残高は7,577億円、そして、減債基金が680億円ですから、その「交付税措置がされる特別な市債の残高」は1,291億円ということになり、この間で、「交付税措置がされる特別な市債の残高」は、466億円増加していることになると考えられるのです。

国の三位一体改革により地方交付税が毎年減らされて、平成16年度から平成18年度の間で約200億円も削減された上に、交付税措置がされる臨時財政対策債等の市債の発行も、国から抑制されていて、大変厳しい予算とならざるを得ないはずですが、この4年間で増えた466億円の市債の種類とその額はいくらなのでしょうか。また、それらは何の事業を対象として発行されたのでしょうか。これほど多額の事業を広島市がしたとは聞いていないのですが、皆さんは理解ができますか。

また、市長は、財政問題講演会などで、「市債の実質残高は、毎年毎年減らしているんですよ。私は頑張っているんです」と言われているようですが、少しおかしいのではないでしょうか。

確かに交付税措置がされる市債とそうでない市債では、はっきりとした違いがあります。しかし、交付税措置されるにしても、臨時財政対策債のように基準財政需要額に100%算定されるものもありますが(市債の元利償還の際、100%交付税措置)、臨時地方道路整備事業債のように算入率が30%というのもあります。言い換えますと、残り70%は、将来、市の税金で償還するというものもあるのです。

ところが、今の市債の残高と実質残高との対比では、交付税措置の算入率が反映されていないため、将来、市民が税金で負担すべき部分が本当は明らかとされていない、つまり、不透明な数字なのです。

このような市民に大きな誤解を与えるような算定の仕方は、作為的に行われていると批判される原因になります。市債の実質残高について、市民に理解しやすい算定の仕方は、まず、市債の残高から減債基金を控除し、その後に、交付税措置のある市債のうち、基準財政需要額に算入される額をさらに控除する方式ではないかと思いますが、いかがでしょうか。また、皆さんはどのようにお感じでしょうか。




(※10月9日追加(『今後の財政運営方針』の計画目標))

本年2月に公表された『今後の財政運営方針』では、今後、広島市行政を展開するにあたっての基本姿勢として、「市民サービスの維持・向上に努めながら、将来世代へ過度の負担を残さない『持続可能な財政運営』の実現を目指します」としています。そして、具体的な計画目標として、「財源不足の解消と財政調整基金の確保」と「市債の実質残高の抑制」の二つを掲げています。

皆さんは、おかしいと思われませんか。
 第2次財政健全化計画では、三つの計画目標を掲げていたのですが、秋葉市長は、いつのまにかチャッカリと一つの計画目標を削除していたのです。それは、「新たな市民ニーズに的確に対応し得る弾力性のある財政体質の確立」という項目です。

10月2日のホームページ((No.246)「平成19年度決算について(Part1)」)でも指摘しているところですが、秋葉市長が第2次財政健全化計画で計画期間中に達成できなかった項目が、見事にかき消されているのです。

それは、弾力性のある財政体質を示す「経常収支比率」は、秋葉市長が就任した平成11年度が90.3ポイント、平成19年度が98.4ポイントで、この9年間で8.1ポイントも上昇しており、財政の硬直化を招いた市長が、「今後の財政運営方針」の計画目標の一つとして掲げることを断念せざるを得なかったものと考えられます。

また、そのことは、今回の運営方針中の基本姿勢の表現で「持続可能な財政運営の実現を目指します」との言葉に、秋葉市長の財政の弾力性を確保できなかった第2次財政健全化計画の実績と今後の自信のなさが読み取れると思うのですが、皆さんはどのようにお考えでしょうか。