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(No.246)2008年10月2日

『平成19年度決算について(Part1)』

様々な課題を抱えたまま提案された『地球温暖化対策等の推進に関する条例案』を否決した9月定例会も26日に閉会し、市議会では、10月から平成19年度の市の各会計決算の審査を行うことになります。

決算審査の意義に関しては、改めて、申し上げる必要もないかと思いますが、議会で議決された市の予算の執行実績を審査することにより、その結果を後年度の予算編成や政策遂行に反映させることにあると考えますし、市の予算が適正に目的どおり使用されたか、その効果を発揮することができたかなどの観点から、予算執行の状況等を審査し、非効率なものなどがあれば指摘するなどして、将来の財政の計画や執行を一層適正なものにしていくという重要な役割を担っているものと認識しています。

今後、1か月間、市議会としては、そうした観点から、平成19年度の決算、つまり、秋葉市政の成果を詳細に検証していくことになりますが、その決算の概要に関して、先の9月定例会の最終日に、秋葉市長から説明が行われました。

その冒頭で、市長は次のように述べられています。

平成19年度(2007年度)の本市の財政状況を顧みますと、……個人市民税の増収等により、市税収入は3年連続のプラスとなりました。しかし、国の歳出・歳入一体改革の影響などから、……実質的な地方交付税が減少するなど、全体としては引き続き厳しいものとなりました。
 こうした中、平成19年度(2007年度)の一般会計の実質収支は約20億円の黒字になるとともに、市債の実質残高も年度末で約7,577億円となりました。

と、ここまでは客観的事実として述べられている部分ですが、問題は、次の評価とも言える部分に関してです。

平成16年度(2004年度)に取組を開始した「第2次財政健全化計画」においては、累積赤字見込額の解消と市債の実質残高の抑制目標でした。最終年度である平成19年度(2007年度)の実質収支が黒字になるとともに、市債の実質残高も計画額を214億円下回ったことにより、全期間を通じて目標が達成されました。

つまり、市長は、公の場で、「第2次財政健全化計画」の目標が達成されたことを誇らしげに述べられたわけです。また、このことは、10月1日に開催された決算特別委員会の市長挨拶においても、全く同じことが述べられたのですが、果たして、そうなのでしょうか。

確かに、「第2次財政健全化計画」の目標として、(1)累積赤字見込額の解消、つまり、「中期財政収支見通し」で見込まれる巨額の財源不足の解消と、(2)市債の実質残高の抑制は掲げられていますが、それだけではなかったはずです。

実際には、「第2次財政健全化計画」の目標は、3点掲げられており、上記のほかに、「新たな市民ニーズに的確に対応し得る弾力性のある財政体質の確立」ということがあり、そのことについても検証した上で、その評価をすべきですし、それが、市政をあずかる者としての責務ではないかと考えます。

この弾力性のある財政体質の関しては、皆さんも御存じかと思いますが、それを示すものとして、「経常収支比率」という指標があります。これは、財政構造の弾力性の度合いを示す指標で、その比率が低いほど弾力性が高く、一般的に80%を超えると、弾力性を失いつつあると考えられているものですが、平成19年度の数値は98.4%で、平成18年度と比べて、2.6ポイントも上昇しているのです。

つまり、広島市の財政構造は極度に弾力性を失っており、三つ目の目標は達成されていないのですが、そうした状況にあるにもかかわらず、どうして、議会、つまり、市民に対して、「全期間を通じて目標が達成されました」ということができるのでしょうか。甚だ疑問を感じますし、そこには、秋葉市長のいつもの手法、つまり、自分に都合のいいことだけを取り上げ、強調するという手法しか見えないのです。

また、広島市の監査委員が平成19年度の決算を審査した結果をまとめた「決算審査意見書」というものを作成していますが、そこにも認識の欠如があると思います。この意見書の「むすび」、つまり、監査委員としての決算に関する考えがまとめられている部分ですが、今回のことに関して記載がありますので、抜粋して紹介します。

平成19年度の財政力指数は0.794で、……4年連続して改善したものの、経常収支比率は98.4%で、平成18年度と比べて2.6ポイント上昇し、財政構造の弾力性は低く、財政状況は依然として厳しい状況にある。

と、財政状況の厳しさは指摘しているものの、

第2次財政健全化計画について見ると、この計画の目標である「財源不足の解消(収支差)」に関しては、……計画期間のすべての年度で黒字となっている。また、「市債実質残高の抑制」に関しては、すべての年度で市債の実質残高の実績が計画より抑制されている。

と述べた上で、

上記のとおり、財政力指数は改善され、第2次財政健全化計画もおおむね達成されており、努力の成果が現れている。
 しかしながら、経常収支比率が上昇し、財政構造の弾力性が低下するなど、依然として厳しい財政状況は続いている。

と、秋葉市長と同じ認識になっているのです。

第2次財政健全化計画の目標を正しく理解すれば、こういう記述には到底ならないと考えるのですが、皆さんはどのようにお感じでしょうか。

今後の決算審査においても、議論がされるとは思いますが、ただいずれにしましても、目的と手段を混同していけないと考えます。一時期、秋葉市長は、広島市の「夕張化」を防いだことを成果として言われていましたが、財政の健全化は単なる手段にすぎません。

目的は、いかにして、市民福祉の向上に図るか、住みよい広島市を創っていくかにあるのではないでしょうか。今の秋葉市政は、まず、そこを履き違えているのではないかと思いますが、皆さんはいかがお考えでしょうか。




(※追伸(決算説明の内容))

冒頭紹介しました、平成19年度決算に関する説明で、秋葉市長は、次のようなことも言われていました。

環境問題への対応としては、ごみ排出量の削減において昭和51年(1976年)の5種分別導入以来、全国の模範となってきた本市として、市域の温室効果ガス排出量を2050年までに70%削減するという全市的な目標である「カーボンマイナス70」を公表し、この長期的な削減目標の達成に向けた取組を開始しました。
 また、これまで実施していた地球温暖化防止キャンペーン等の取組や「マイカー乗るまぁデー」も、引き続き、着実に実施しました。
 さらに、環境保全と資源利用の調和を図りながら森林を守り育てる「広島市森林(もり)づくりプラン21」の実現に向け、森林体験事業や人工林の間伐支援を行うなど、平成19年度(2007年度)から導入された「ひろしまの森づくり県民税」も活用して、市民との協働による森づくりの推進に取り組みました。

地球環境問題への対応は、今日的課題であり、すべての主体が協働した取組を講じていく必要があることは言うまでもありません。また、自治体としての取組も不可欠であるという認識も持っていますし、広島市においても、強力に推進していく必要があると思っています。

しかし、そうだからと言っても、平成19年度の決算の説明に当たって言及することが適切であったかどうか疑問があります。

それは、これを聞いた市民の皆さんは、広島市は、平成19年度から「カーボンマイナス70」に掲げた長期的な削減目標の達成に向けた取組を行っていると誤解されるおそれがあるからです。

確か、市長は、昨年2月の定例会における平成20年度当初予算案の説明では、新年度を、つまり、平成20年度ですが、温暖化対策行動元年と位置付け、市域の温室効果ガス排出量を2050年度までに70%削減するという長期目標(カーボンマイナス70)を掲げ、事業活動や家庭生活における取組を促すための施策、本市としての率先行動施策など、数多くの新たな取組を始めますということを述べられています。

つまり、平成20年度から取組を推進しているということになるのではないでしょうか。

そのような状況にあるにもかかわらず、秋葉市長は、どうして、平成19年度の施策の取組状況の中で、「カーボンマイナス70」に掲げた取組を開始したと言及されたのか、甚だ理解に苦しみますし、その発言自体は果たして適当なのか疑問もありますが、皆さんはいかがお感じでしょうか。