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(No.231)2008年1月11日

『広島市の財政事情(その3)』

秋葉市長が、財政問題講演会などで、「『夕張化』を防いだ」と声高に発せられていることは前回までに紹介したところですが、果たして、広島市の財政の状況が正しく伝えられているかについては、甚だ疑問に感じています。

実は、昨年12月議会の総務委員会で、財政問題について質問がありました。それは、「夕張の教訓」を踏まえて制定された『地方公共団体の財政の健全化に関する法律(財政健全化法)』への対応に関するもので、「今回、国から示された財政健全化法の基準を広島市に照らし合わせてみると、どのような状況なのか」といった内容でした。それに対して財政局からは次のような答弁があったそうです。

平成19年6月に『地方公共団体の財政の健全化に関する法律』が公布され、新たに地方公共団体の財政の健全化を判断する指標として、(1)実質赤字比率、(2)連結実質赤字比率、(3)実質公債費比率、(4)将来負担比率の4つが示されました。

具体的な計算方法については、まだ不明な点がありますが、現在示されている算定方法を基に平成18年度決算にあてはめてみます。


(1) 実質赤字比率は、一般会計等を対象とした実質赤字の標準財政規模に対する比率です。広島市の場合は、18年度決算において実質赤字が発生していないため、計算するとゼロとなり国が早期健全化基準としている11.25%に達していません。


(2) 連結実質赤字比率は、全会計を対象とした実質赤字の標準財政規模に対する比率です。広島市の場合は、18年度決算では全会計においても実質赤字が発生していないため、計算するとゼロとなり国が早期健全化基準としている16.25%に達していません。


(3) 実質公債費比率は、一般会計等が負担する元利償還金及び準元利償還金の標準財政規模に対する比率です。広島市の場合は、18年度決算では20.9%となり、国が早期健全化基準としている25%に達していません。

国から示された財政健全化法の基準の中で、(1)、(2)、(3)に示された数値では広島市は絶対に「夕張化」しないということです。

そもそも、広島市が昭和55年度に指定都市に移行して以降の一般会計等の実質収支は、毎年度黒字決算(15億円〜25億円)となっており、実質赤字比率はゼロが30年近く続いていることになります。秋葉市政8年間で「夕張化」を防いだのでは決してありません。これは、市民の理解の下、議会で議論をし、十分監視した結果、公平・公正な財政運営を行うことができた証だと思います。

しかし、問題は国の基準の4つ目の将来負担比率なのですが、財政局は次のように答弁しています。

(4) 最後に将来負担比率ですが、これは一般会計等が将来負担すべき実質的な負債の標準財政規模に対する比率です。将来負担比率については、現在国から示されている算定方法に不明な点が多く現時点では算出は困難な状況です。

実は、この(4)に秋葉市政が短期間で発生させた、将来に財政硬直化を引き起こさせる原因が隠されているのです。

しかし、このことについて、市長は全く言及されず、多方面に「夕張化を防いだ」と発信されるのはなぜなのでしょうか。それは、その原因を指摘されるのが怖くて、また、将来の結果責任を負いたくないためなのではないでしょうか。

下図は、国が示した『財政健全化法』の概念図です。





この図の一番下に「○地方独立行政法人 ○地方三公社 ○第三セクター」と記されているように、今回の『財政健全化法』では、この三法人は、国の示した「将来負担比率」の枠に組み込まれることとなっているのです。そして、このことが、広島市の財政硬直化の最大の原因にも、また、将来、財政破綻を引き起こす可能性を生ずる大きな要因ともなり得るのです。

また、広島市の債務負担行為に基づく翌年度以降の支出見込額の推移を示したグラフを次にお示しします。





このグラフは、監査委員が作成した平成18年度決算審査意見書から抜粋したものですが、ご覧のように、秋葉市長2期目で、債務負担額が著しく増加しているのがお分かりだと思います。

このうち、平成16年度と17年度の増加の原因は何なのかお分かりでしょうか。この主なものは、秋葉市長の無二の親友で、西武建設(株)を退職された高校時代の同級生という人物を、民間の知識と知恵を導入するということで、わざわざアストラムライン(広島高速交通(株))とシャレオ(広島地下街開発(株))の社長に招聘され、その経営改善を要請した親友のための損失補償なのです。

平成16年度には広島高速交通(株)に200億円、平成17年度には広島地下街開発(株)に約173億円もの莫大な損失補償を行っているのです。

このことについて、議会では大いに議論をしました。そして、多くの反対意見がありましたが、それでも、市長が自我を押し通されたものだったのです。しかも、この補償により、最も得をしたのが金融機関でもあったのです。秋葉市長の親友のための損失補償という経営支援策は、市民には、将来の財政負担をも強いるのに対して、金融機関には、回収不能の不良債権を超優良債権へと変えたのでした。

市長就任以来、財政を必要以上に硬直化させ、行政組織を過度に萎縮させた上で、今、市民や行政関係者の皆さんに、秋葉市政の成果として、「夕張化を防いだ」と得意満面で一方的に自慢話を聞かせています。

しかし、広島市財政の硬直化と将来の財政破綻の危険性を発生させているのは、他の誰でもない秋葉市長ご自身ではないでしょうか。これが秋葉市政における財政運営のからくりです。

市民の皆さんには、財政運営というものはなかなか見えにくいものだと思います。しかも、市長が、広島市をどの方向へと導き、そして、どのような広島市を創っていこうとされているのか、全く理解できないでいると思います。

だからこそ、議会が中心となり、市民も、経済界も一緒になって、広島市全体で協力しながら、秋葉市長の市政運営を監視していかなければならないと思うのです。皆さん、いかが思われますか。




(※1月15日追加1(「夕張化」という言葉))

広島市が設けている基金(特定の目的のために資金を積み立てたり、運用しているもの)が、平成18年度末でどれくらいあるか御存じでしょうか。主なものを挙げますと、次のような基金があり、それぞれ一定規模の資金の積立てなどがされています。

開発事業基金  47億円

地域福祉基金  22億円

土地開発基金  88億円(運用金38億円、土地50億円)

また、こうした基金に加えて、広島市では、毎年度の決算において、20億円程度もの一般会計決算剰余金が発生しているのです。これは、広島市の財政状況を示すある一面かもしれませんが、皆さんは、こうした状況から、広島市の「財政破綻」を直ちに連想されるでしょうか。

広島市では、財政基盤の健全性を確保するため、行政と議会で、公明正大に、かつ、計画的に財政運営を行っています。そして、その結果が、先ほどの数字として表れているのではないでしょうか。

さらに、理解できないことの一つに、秋葉市長が頻繁に使われている「夕張化」という言葉です。そもそも、夕張市の財政破綻は、赤字を隠すために、会計・年度間の操作や借金(一時借入金)でやり繰りし、雪だるま式に赤字が増大していた、異常ともいえる財政運営の結果により発生したものです。つまり、「粉飾決算」を繰り返し行っていたわけです。

これが、本当の意味での「夕張化」ということになると思いますが、この広島市で、そういった不正が行われようとしているとでも思っているのでしょうか。そして、それを自ら防いだと考えているのでしょうか。その言葉を使うこと自体、私は、市職員のみならず、議会を、また市民をも冒涜するものと思います。

秋葉市長は、夕張市の財政運営の「偽」と広島市の財政運営の「誠実」を混同されるような「夕張化」という言葉の安易な使用は控えるべきではないかと思いますが、皆さんはどのようにお感じでしょうか。




(※1月15日追加2(都市政策の模倣))

「ニューズウィーク」の2008年1月2.9日合併号に『花の都を再生したアイデア市長』という記事があります。紹介されているのは、パリ市長のベルトラン・ドラノエ氏で、『実験的な政策を連発』といった小見出しが付されていますが、この記事を読んで、まず頭に浮かびましたのが、同氏の政策を模倣したような施策を進めている秋葉市長のことです。

それは、約5年ほど前のことですが、当時、秋葉市長は、やはり人気度の高かった当時のソウル市長イ・ミョンバク氏(次期韓国大統領)の施策を取り入れ、国道2号高架を観音地区でストップされました。一過性の世論として、高規格の幹線道路や高速道路が悪とされた時代です。

ただ、ソウル市の高速道路は河川を潰して造られたもので、その撤去は、環境優先社会では、当然の施策であったと思いますし、同じような河川修復工事は、札幌市でも行われています。

これに対して、広島市の高架道路は、全く状況や性格の違う道路であるにもかかわらず、秋葉市長は、都市政策理論は何も持たず、ただ世論の流れに乗るだけで、都市形成の上で最も重要な施策を自我のおもむくままストップされたわけです。

都市のインフラ整備は、都市づくりを進める上で、重要な課題です。都市環境の最悪な東京都でさえ、都市環状道路の早期完成を目指しています。私達、広島市議会や経済界、さらに、快適な都市生活を望む多くの広島市民の皆さんも、もう一度、広島市の環境にやさしい都市交通ネットワークと都市環状道路の形成を考える必要があるのではないでしょうか。

さて、前置きが長くなりましたが、ニューズウィークの記事の一部を転載させていただきます。

ベルトラン・ドラノエは「博物館の街」と揶揄されてきたパリに活気を取り戻した立役者だ。自動車への規制を強化し、悪名高い「犬のフン害」対策にも立ち上がった。


現在57歳のドラノエは、旧植民地のチュニジアで生まれ育ち、14歳のときにフランスの南西部に移り住んだ。74年にパリに出て、長年にわたって市議会議員を務めたほか、市場コンサルタントや社会党のスポークスマンといった職をこなしてきた。


98年にはフランスの大物政治家としては初めて、同性愛者であることを公表。上院議員だった01年、パリ市長選に出馬して現職を破り、当選を果たした。就任後も市長公邸には入らず、今も市内のアパートに住む。セーヌ川の岸辺に人工の砂浜をつくる「パリ・プラージュ」は、メキシコ市や東京でも類似のイベントが行われるほど反響を呼んだ。


多くの「芝生への立ち入り禁止」の看板を撤廃し、緑地を市民に開放。公園や図書館では、無料の無線によるインターネット接続サービスを提供した。07年に始まった「ベリブ」と呼ばれるレンタル自転車事業も人気を博している。


もっとも、ドラノエが進めているのは派手な人気取り政策ばかりで、地味でも必要な政策がなおざりにされているとの批判もある。スタッフや反対勢力から「かんしゃくもち」と評されることも多い。12年の夏季五輪の開催地に立候補していたパリがロンドンに敗れると、ドラノエはイギリス側の招致活動に不正があったと激しく非難した。


一時的に支持率が下がったこともあったが、ドラノエの運勢はまた、上昇局面に入ったようだ。米格付け会社のスタンダード&プアーズは先ごろ、パリ市の債務残高が少ないことや、巧みな財政運営を高く評価した。


都市政策理論を何も持ち合わせていない秋葉市長にとって、現在の市政運営のお手本は、ドラノエ・パリ市長のように感じますし、そのことによって、広島市の街づくりが、冒頭紹介しました国道2号高架のように、何年も遅延することを懸念するばかりです。皆さんはどのようにお感じになりますか。