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(No.205) 平成19年2月21日

『新球場建設について(Part9)〜官製談合の仕掛け〜』

これまで官製談合の疑惑を述べてきましたが、今回は、このような仕掛けではなかったかということについて述べたいと思います。まず、「新球場設計提案協議応募要項」の一部を抜粋して紹介します。


広島市新球場設計提案競技応募要項(抜粋)

平成18年(2006年)6月16日

III 応募条件
(1)  応募者の資格
――それらの者で構成された設計共同体として応募することも可能です。
[3]
 それぞれの国において、本競技の対象となる建築物と同等の設計及び工事管理業務をおこなうことができる資格を有する者
(3)
 応募者は、提案に際し、専門的知識、経験及び実績を有する個人又は法人から協力、助言、援助等を受けることができます。
(4)
 ――認定に当たっては、一級建築士事務所登録を受けていることなどの要件を満たすことが必要です。設計予定者が外国からの応募者、当該資格の認定を受けていない場合などは、求めに応じて、事務局は必要な情報等を提供します。

Z 作品の著作権、工業所有
(1)
(2)
 作品の著作権は、それぞれの応募者に帰属します。
 当選案に、その応募者以外の者が所有する工業所有権を含む場合は、その応募者は、設計等の開始までにその使用権を取得するものとします。


[ 設計予定者との契約等
 ――認定に当たっては、一級建築士事務所登録を受けていることなどの要件を満たすことが必要ですが、設計予定者が外国からの応募者で、当該資格の認定を受けていない場合などは、求めに応じて、事務局は必要な情報等を提供します。
 設計予定者が広島市内に本店を有しない者である場合は、設計予定者は、設計に当たり広島市内に本店を有する一級建築士事務所との協力体制をとるよう、できるかぎり努めてください。

[ 設計予定者との契約等
 設計予定者が設計共同体である場合は、契約手続きの開始の時までに設計共同体の資格認定を受けることが必要です。なお、設計共同体の出資割合は、『広島市建設工事共同企業体競争入札取扱要綱(平成8年広島市要綱)』に準じます。
 ――協議による変更は可能とします。なお、諸事情の変化により、基本設計及び実施設計を相当程度変更せざるを得ない場合、双方が協議し、誠意を持って対処するものとします。

この要項は平成12年から続くアメリカからの提案を採用することだけを目的に作成された要項と思われてなりません。このコンペはWTO対応のコンペではないのです。仮に国内だけを対象とするコンペであっても、設計やデザイン界で全世界に誇れる著名な技術者は大勢います。わざわざ外国人や外国企業を念頭にした要項を作成されたのは、誰か特定の個人や企業が頭の中にあったのではないでしょうか。 <

この要項はそのための条件は全て満たしているようです。この要項を作成した職員の努力と知恵には感心しますが、よくよく考えてみれば、この要項の作成を指示した為政者は平成12年12月8日にダン・ミンス氏と貨物ヤード跡地を視察され、新球場のデザイン依頼をこの時点でされたのと同じではないでしょうか。

市民球場の正面玄関にある絵画『輪舞する鯉』から、今回の新球場建設コンペの当選作品『鯉心が躍る』のデザインに至るまで、6年という長い歳月があります。この6年間、同一人物の名前が一度も消えないでいたことに大きな疑問が残ります。それと同時にエンティアムが広島から撤退した時のことを思い出します。

当時、市長はエンティアムに対して「一方的な撤退なので損害賠償請求の裁判を――」と市議会で語気を荒らげられました。その後は梨の礫で、裁判の『さ』の字もエンティアムの『エ』の字も発せられなかったのです。一度、広島市の過失で契約書も正式な約束もなかったので相手に対して損害賠償請求は出来ない、と弁護士に言われたとの発言があり、時の流れの中では何の責任もなかったという無責任な発言でした。

今回の『鯉心が躍る』のデザインと設計発注までに、6年という長い歳月をかけられましたが、このことは市長個人の自己満足と為政者としての特権のおいしさを味わうだけの作品発表会であったのではないでしょうか。単純にこのコンペ要項とその結果を拝察しますと、手続き上は何の疑惑もなくコンペが成立しているような錯覚を覚えますが、時の流れを正確に並べ直すと選定委員会の人選から始まり、全ては結果ありきの行政指導のコンペであったことが理解していただけるのではないでしょうか。

為政者個人の思いが官製談合や利益誘導に向けられ、徐々に時間をかけて自然の流れにまかせるように着実に油断なく積み上げてきたのが今回のコンペではないかと思われます。為政者の権力の強さには唖然としますが、その指示に向けて行政職員が健気で不条理な努力をしたことについては悲しみさえ覚えます。

市長が本当にダン・ミンスの作品を必要とするのであれば、当初から今回の環境デザイン研究所の作品制作協力者としての役割を担わせばいいのではないでしょうか。現在の競争社会では勝者と敗者の格差が鮮明に出ます。だからこそ公正、公平な競争でなければなりません。市民注目の夢の事業ですので、全ての情報を正確に開示するべきではないでしょうか。

それから、公式には議論されていませんが、一番重要な条件である建設資金が未だ各当事者間での確約事項となっていません。為政者は何もかも未定のままの状態で、このような大規模プロジェクトを立ち上げるべきではないのです。

現在の広島市の財政を取り巻く状況を分かりやすく申し述べます。
[1] 国の街づくり交付金は現時点でも未定です。
[2] 経済界からも広島開催のアジア大会以上の寄付金は出て来ません(アジア競技大会は11億円)。
[3] 県も財政状態は悪く、全ての補助金、助成金をカットしています。例えば郵便貯金ホールは県民文化債の発行9億円で賄い、福祉、下水道の広島市への負担金、補助金のカットも昨年の秋には通告してきています。これらの現実から推察しますと、新球場建設のための補助金助成金を県が補正予算計上してくれることは大変困難な状況にあると思われます。
[4] 広島市の財政事情も、現在、県が広島市に示した起債肩代わりの東部流域下水道事業の総額は43億円(50年間)となり、福祉医療助成金の打ち切りも平成19年度から5億円であり、平成22年度からは、年額20億円の増と膨れ上がり財政事情は一層厳しいものとなってきます。

以上のように、広島県は安心・安全な生活をするために絶対必要な生活関連費さえカットしようとしているのです。県からの補助金カットの通告は昨年秋に広島市にされていたはずですが、何の手立ても何の策も持たず努力も知恵も払わない広島市行政に幻滅を感じています。加えて、広島県は、秋葉市政になって宇品・出島地区開発で広島市が要望した埋立事業を一方的に反故にされた経緯があり、現在の広島市行政に対する不信感をぬぐいきれない状況にあるのです。

こうした状況を考えても、広島県が現時点で何の約束もしていない13〜16億円を簡単に予算計上できるのでしょうか。県民のカープではありますが、新球場は新設の広島市民球場なのです。本当に新球場が必要であるならば、今こそ国、県、市の官界も政界も経済界も市民、県民全てがひとつになるべきであり、それがない限り新球場の建設も広島市の発展もないという警告と同じではないでしょうか。

最後に、基本設計の開示がありましたが、コンペのイメージと全く違います。しかし、設計要項の中には「協議による変更は可能とします。――基本設計及び、実施設計を相当程度変更せざるを得ない場合は――」との項目が歴然とあるのです。これは、為政者として、行政として、当初から設計変更は絶対にあり、結論ありきのところと契約をすれば良いとの発想があからさまに見えるのではないでしょうか。

コンペ当選作品のデザインは派手で市民の目を引くものとし、現実には、誰でも設計できる無難な作品にすればよく、契約した後は行政の思うようにいくらでも変更できるとの発信と同じです。市民の思いと夢を蔑ろにしたことを残念に思います。

皆さんはどのようにお感じですか。