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(No.190) 平成18年10月2日

『新球場建設とカープについて』

先月の29日に新球場の設計業者を選ぶコンペの選考委員会が開催され、それを受け、市は昨日10月1日、選考委員会の決定どおり「滑ツ境デザイン研究所」の応募作品を当選作品として決定しました。事業費は89億1000万円で、2009年春のプロ野球開幕までの完成を目指すということのようです。

この経緯だけを見ますと、今回の再コンペについては、順調に進められているように思われますが、その前に、きちんと詰めておかなければならないことがあるのではないでしょうか。事業費のことについてはここでは敢えて触れません。申し上げたいのは、これまで幾度も指摘している新球場の使用者となるカープ球団の経営についてであり、球場形態に関する広島市と球団との合意形成をすべきではないか、ということです。

『AERA2006.9.11号』に興味深い記事が掲載されています。それは『巨人ビジネス崩壊の日』と題するものですが、内容はプロ野球界の近未来を「2017年。セ・パ合わせて12あった球団は半数に。観客も多くは年金生活者。このままでは外資に身売りするか解散するしかない」と描き、「そんな『悪夢』のような事態が現実に起きつつある」と警鐘を鳴らしているのです。

そして、その象徴として「ビジネスとしてのジャイアンツが傾きつつある」と指摘し、放映権料、入場料、看板広告料など収入の激減と球団の維持コストを踏まえ、「仮に球団経営コストが150億円かかるとして、放映権料、入場料収入が3割減ったら、巨人軍の収支は来季にも赤字に転落する計算になる」と結論づけています。

ことの真偽はともかく、こうした記事が書かれるほど球団経営を取り巻く環境は大変厳しく、実際、この記事の中でも「一昨年から球団代表に就いた清武英利氏は、昨年の納会で『巨人軍の米びつは空っぽだ』と球団職員の前で危機意識をあらわにした」と紹介しているのです。

話を広島の新球場に戻しますが、言うまでもなく、新球場の建設はプロ野球の再編論議を発端とし、市民・県民に「カープが広島からなくなるのではないか」といった危機感を抱かせ、一気に盛り上がった気運を受け、関係者の英知を集めて、その早期実現を図っていこうとするものでした。したがって、永続的な球団経営の検証なくして、新球場の建設は到底議論できるはずはないわけですが、現在までのところ、市として対応されていないのはなぜなのでしょうか。

AERAの記事のように、あの巨人でさえ経営状況は予断を許さないような状況になっています。この新球場の建設を公共事業として実施する以上、事業主体である広島市はまずそのことを検証すべであり、市民、県民に対しても、その検証内容を明らかにする必要があるのではないでしょうか。

また、球場形態等に関する球団側との合意形成についても、同様のことが言えます。前回の新球場建設コンペで決定した案を市として採用しなかった主たる要因について、秋葉市長は「球団が経営上の観点等から厳しい評価をしており、HATグループが提案された球場を使用して、今後50年間にわたってプロ野球興行を行っていく自信が持てない」と言われました。

新球場の使用者はカープ球団でしか想定されていないにもかかわらず、コンペ実施後、その使用者からの異議をそのまま採否を判断する理由としたことは通常では考えられないことです。市長は、今年度再コンペを実施されましたが、球団側との十分な調整、協議はなされていないようです。

安易な事業の推進は、市民の期待を欺くだけでなく、今後の本市の都市づくりに当たっても、本当に取り返しのつかないことになるのではないかと危惧するわけですが、市民の皆さんはいかがお感じですか。

(※追伸(コンペの選考経緯))
   コンペの選考経緯で気になることがありましたので申し述べます。
   一つは、公開プレゼンテーションを伝えるある新聞に、担当者の談話として「委員会の選んだ順位にとらわれず、市があらためて当選作と次点作を決めたい」と掲載されていました。

確かに、コンペの当選作等の決定は主催者である市の権限でありますが、これでは、何のために選考委員会まで設置して選考したのか全く分かりません。コンペ応募要項には「主催者は、選考委員会の報告書を踏まえ、当選案1点、次点案1点を決定します」となっています。応募要項を踏まえた発言であってしかるべきではないでしょうか。

また、選考委員会の池原委員長は、市長に報告書を提出した後に「事業費90億円は楽ではないが、実現できる額だと信じている」と述べています。

90億円の事業費の是非は、議会でも議論になったものですが、市は一貫して可能であることを言われていますし、応募要項でも、それを明記しています。つまり、絶対条件であったはずです。にもかかわらず、池原委員長がこのような発言をすること自体、無責任極まりなく、不謹慎なことではないでしょうか。

さらに、広島東洋カープの松田元オーナーも「従来の観戦スタイルが変わる。ロッカールームなど諸室スペースについても設計段階で再提言することになるだろう。何より、この仕様が本当に90億円で実現できるのか心配だ」と述べています。

こうした談話があること自体、これまで市の方で説明されたことを順守されていないことを示しているのではないかと思います。今回も、文字どおり「夢の器」に終わらないことを願うものです。