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(No.170) 平成18年3月8日

『新球場建設への過去からの思いPart1』

   平成18年度予算の中に、「新球場建設の推進」として約52億1500万円の予算が計上されております。このうち市債は50億7000万円であり、ほとんどが新たな市の借金です。また、主要経費説明書の中には「新球場基本・実施設計」2億2200万円とありますが、このことは「新球場設計・技術提案競技」において選考された提案をもとに、新球場建設に係る設計業務をこの予算内で行うという意味です。「整備スケジュール」の欄には次のように記載されています。
平成17年度     事業予定者選考、事業計画策定
平成18年度     基本・実施計画、用地再取得等
平成19年度     建設工事
平成20年度     建設工事、開設

   これまで、広島市は新球場建設費を90億円と発表し、マスコミも90億円だけで新球場が全て出来上がるような発信をしております。そのため、ほとんどの広島市民はその金額で全てが出来上がり一番安価な建設方法であるように感じていますが、行政は公正・公平であると信じている善良な広島市民に失望感を与えないでほしいと思います。

   90億円だけで新球場が出来上がるとの印象を市民に与えておいて、次に出てきたのは「新球場建設に係わる関連概算事業費の見込について」の資料です。関連事業を加えますと次のような額となります。

内   容 事業費
新球場建設費 約90億円
周辺道路等整備
(内訳 工事費:約8億円、用地取得費:約23億円)
約31億円
上下水道・ガス・電気等施設整備費 約5億円
球場敷地(約5ha)取得費 約55億円
設計費用 約2.5億円
雨水貯留池建設費
雨水用地取得費
貯留池流入遮集管工事費
約22億円
約5億円
約6億円
合   計 約216.5億円
   その他予測できない対策費を10億円と見込むと、実に合計226.5億円という膨大な金額となります。

   広島市民、県民、全国のカープファンに「夢と希望」を与える新球場建設であるなら、広島市行政は正直に新球場建設に係わる全貌を初めに開示すべきです。目先のごまかしで、安価に『世界に誇れる新しい球場』が出来上がるという発信をしていることは、市民の市政に対する信頼が著しく損なわれるのではないでしょうか。


   次に、私のホームページの「官製談合(2月27日)」と同じことが存在していることを申し述べます。推測ではありますが、巷間言われている話を積み重ねて私なりに分析したものです。

   
倉敷市のマスカット球場や松山市の坊ちゃん球場の建設費は約120億円です。広島で何故90億円で世界に誇れる球場ができるのかが不思議だということは既に申し上げましたが、それ以上に不思議なのが設計費の予算が2億2200万円ということです。建設費90億円の3%で設計費を計上すると2億7000万円であり、2.4〜5%で計算すれば2億2200円で収まるわけですが、この球場基本・実施設計費予算2億2200万円の積算根拠は何なのでしょうか?

   特別な根拠は何もないと思われます。ただあるとすれば「WTO政府調達協定」の適用逃れではないでしょうか。このWTO基準では設計コンサルティングサービスの地方公共団体の金額は2億4000万円であり、単純にこの協定を逃れたいということではないでしょうか。これにより、「新球場設計・技術提案競技」の選定が日本企業だけで実施される利点が生じ、業者にとっては一番あり難いコンペ方法となります。行政と業者の談合の手始めではないでしょうか。

   そのうえ、2月22日の今田議員の総括質問に対して「設計会社等の見積もりを取り、それを参考としてヤード跡地でのオープン球場建設を約90億円と見込んだものです」と答弁がありましたが、これは、もはや特定の建設会社とのコンタクトがここにあり、特定業者との談合の結果、90億円と言っていることと同じことではないでしょうか。

   また、建設サービスのWTO基準額は24億3000万円です。新球場建設費90億円もの予算の入札は、本来ならこのWTO基準の金額に該当しており、業者としてはなかなかやっかいな入札システムです。談合を繰り返す業者が一番嫌っているシステムのはずです。

   広島市が現在実施している『新球場設計・技術提案競技応募要項』の中に、「本競技は、公募により、設計・施工予定者を一括選定するための設計・技術提案競技とします」とあります。これは大変重要な点ですが、この競技方法では、設計と施行の業者が一度に決まるのです。単純にこのコンペで選定されれば、設計費用の2億2200万円を含め総額100億円を超える事業が何のチェックもなく単純に受注されるわけです。

   これは、為政者と業者との基本合意だけで全てが決められる単純かつ簡単な官製談合のシステムではないでしょうか。お金のかからないこの提案型のコンペは衆人には分かりにくく、突然、結果が公表された時は、高額の事業がごく自然に、業界に流れ込む構図なのです。市民の目からは選考委員会で決めるのだから公平であると思われがちなのですが、この委員会の委員も一人の為政者が任命するのです。不公平とまでは申しませんが絶対公平かと言われると自信はないはずです。

   ご存知かもしれませんが、首長の権限、権力は行政マンにとっては絶対であり、指揮監督権が正常に働いている時だけが効率のいい行政が行われている時なのです。行政と議会と市民との間に少しでも疑問や不安がある時は過去の事例をみても公平・公正に行政は働いていないのです。それだけに念には念を入れて市民のためには万全の注意を議会は払わなければならないのです。

   「人の世」には絶対はないはずです。先人達は信頼・信用度を高めるために公平・公正に入札する制度や監視制度をつくりあげたはずです。この度のコンペには監視制度や厳しくチェックする組織はないのです。「梨下に冠を正さず」と先のホームページでも述べましたが、この新球場設計コンペのシステムを考え出されたのは、行政マンの知恵ではなく商売にたけ、入札制度やコンペ制度を熟知した「業者の知恵」です。発注する側の行政の考えること以上に、この事業を絶対獲得する業者側が考え出したものであり、本当によくできた官業癒着のシステムのように思われてなりません。

   このコンペが実施される直前の平成17年11月初旬まで、大手5社の鹿島、大成、清水、大林、竹中のうち、本気でコンペに参加の意思を持っていたのは東京本社でこの事業獲得を望んでいた企業1社だけです。他の4企業は広島支店でこのコンペに参加して2000万円〜3000万円の出費をするのは現在の支店営業の範囲を逸脱していてコンペに参加することは難しいとのことだったようです。

   前回の平成14年7月の新球場建設のコンペで「エンティアム」に決めた広島市のコンペ方式に不信感を持ち、また同じ結果になるのがわかっているコンペに参加するための費用負担はできないとの話が主流であったと聞いています。「球団との接点のない設計会社やゼネコンは束になっても勝てない初めから結果のわかっているコンペ」であると、平成14年の新球場建設のコンペに参加した企業の思いであったように感じています。

   しかしながら何故各企業がこぞって11月末になって、コンペ参加の意向を示し始めたのか、詳細は私達には理解しにくいのですが、仄聞するところによれば「本社の指示でコンペに参加するように」とのことです。結果はわかっていても参加だけはしますとの話が巷間漂いだしたのです。

   これも、私のところに来た話で真偽の程はわかりませんが、ある設計会社は「二度も設計コンペに参加するように市役所から依頼がありましたがお断りしました。アリバイ作りのコンペなんて御免です」とのことです。1社を除いてはどの企業も選定されるなんて思っていないようです。行政がこのような働きかけをすることは、その当時まではコンペの応募見込みが1社しかなかったのではないでしょうか。これではコンペが成立しにくく行政も相当慌てたのではないでしょうか。

   そのうえ2月末からは防衛施設庁発注の岩国、佐世保米軍基地の官製談合事件が、日本国中で問題になっています。この騒ぎの源は私達のお隣り岩国市で起きた官製談合事件であり、平和を希求する広島市民にとってはこの事件に関わりのある企業は絶対に御免蒙りたいのが心情のはずです。

   先に述べた今回のコンペ参加決定までの構図が、仮に本社からの指示での参加であれば、大手5社(現在は4社)による談合なのか、初めからシステムが作られていた官製談合なのかどちらかではないのでしょうか。平成18年1月4日施行の公正取引法の強化からしても談合は絶対ご法度です。

   日本の最大手ゼネコンは5社しかないのです。数が少なくなればなるほど最大手企業の独壇場となり、今回の広島での新球場建設のためのコンペという形態も本来公平・公正でなくてはならないはずの市民待望の夢の事業も、官製談合や官業癒着ではないかと巷間ささやかれる原因ではないでしょうか。

   何度も述べますが、現在の広島市行政は少し変形しているような気がします。このような時は必ず行政職員が被害者なのです。議会も行政も市民に胸を張って仕事の出来る信頼関係を復活させることが喫緊の課題です。何が本当で何が虚構なのか、必ず時間が証明してくれると思いますが、今の広島市の現状はそのような悠長なことを望んでいる時間はないのです。「議会と行政」「議員と職員」の信頼関係が1日も早く構築されることを心から望むものですし、議会は懸命な努力をしています。
   市民の皆さんはいかがお感じでしょうか。