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(No.168) 平成18年2月27日

『官製談合』

   2月16日から始まった広島市議会2月定例会は、平成18年度の予算等を審議する重要な議会であり、私たち議員も一番緊張する定例会です。この定例会招集告示日の翌日、2月10日(金)の夜7時から11日の夕方5時まで、会費1万7千円で秋葉市長以下、助役、局長級の幹部職員研修会が湯来ロッジにおいて開催されたようです。

   研修を終えた参加者の話によれば、この研修会での参加職員の事前の申し合わせは「絶対に市長のご機嫌を損ねるような発言をしないこと」ということだったようです。そのためか、市長のご機嫌はすこぶる良く(助役一人が翌日の昼に早退された時を除いて…)、市長の博識ぶりに参加者の皆さんは感心されたようだということのようです。自費参加のようですが、本来、このような大勢の幹部職員を集めた研修会であれば、開催時期も考慮した上で、公費で本当に広島市民のためになる研修会を開催されるのが「公人」としてすべきことではないでしょうか。

   この研修会の様子を聞いて、感じ取ったことを以下に申し述べます。
  世間では、日本道路公団や防衛庁を初めとする組織的な「官製談合」が話題になっていますが、現在の風潮は「官の組織ぐるみ」「政から官への圧力」から「官から官への圧力」が問題になっています。

   市長は「政から官」の圧力はよく口にされますが、「官から官」への無言の圧力の方が大きいことをよく認識してほしいものです。「官から官」の組織犯罪がなかなか表面に出てこないのは執行権者と命令権者が同一人である場合が多いからであり、それを「悪」であると認識していても人事権をもった上級命令権者には「組織の職員」としてなかなか逆らえないのが現実なのです。


   そのことを犯罪として告発すれば、まず、当事者である自分自身が罪人となり火の粉がふりかかるという危惧を抱き、変な仲間意識の絆で結ばれ、「官」からの談合や「官」からの仕事の配分が存在してきたのです。

   平成18年度議案の中には「職員通報・相談制度の創設」(不当な働き掛け等に適切に対応…)が提案されておりますが、圧力は外部からだけではなく、内部からも指揮命令権者からの無言の圧力があり、職員は抵抗できない状態に追い込まれているのです。


   今回の湯来ロッジでの市長と幹部研修会での講師は、平成16年6月議会に秋葉市長が広島市の顧問にと提案され結果的に否決された人物です。私のホームページNo.112(平成16年6月4日)の追伸2をご覧ください。

   講師である横山禎徳(よこやまよしのり)氏は、現在オリックス(株)の社外取締役です。平成17年11月に若草町地区市街地再開発事業個人施行者募集の結果で広島市が選定した施行予定者は、
・応募代表者     大和システム(株)中国支店
・構成員     オリックス(株)
・構成員   (株)竹中工務店広島支店
であり、広島市は地権者と施行予定者との間で事業の推進に関する協議を実施し、市街地再開発事業の都市計画決定や施行認可取得など、事業化に向けた取り組みを進めるということのようです。


若草町地区市街地再開発事業の概要
1 事業目的
    @    新都心成長点にふさわしい業務、商業、都心住居などの複合機能の導入を図り、広島駅新幹線口地区に活気とにぎわいに満ちた新たなシンボル空間を創出する。
  A    市営若草住宅の建替完成により遊休地化した土地の有効活用を図り、敷地の整形化や建築物の不燃化により、安全・安心なまちづくりを進める。
2 計画内容
    @ 位 置 広島市東区若草町11、12、13番、14番の一部および23番
  A 区域面積 約2.8ha
  B 主な公共施設    都市計画道路常磐若草線、自転車等駐車場
  C 主な導入機能 ホテル、業務ビル、分譲・賃貸住宅、商業施設および駐車場
  D 施設建築物 延床面積約96,000m2(ホテル棟、ビジネス棟、住宅棟)
  E 総事業費 約290億円
3 今後の予定
    平成17年度 都市計画決定手続き
  平成18年度 調査・設計、施行認可、権利変換計画認可
  平成19年度 工事着手
  平成21年度    完成

完成予想図

完成予想図
現時点での完成予想図であり、今後、変更の可能性があります。


   事業者の構成員はオリックス(株)となっています。応募代表者ではないので事業決定には何の問題もないと言われるかもしれませんが、平成17年度の2月補正予算案(開発事業特別会計)には33億5,800万円もの若草町地区市街地再開発施行予定地区内の国有地の取得議案が提案されています。

   「李下に冠を正さず」の諺があります。横山氏は秋葉市長の友人でもあり、オリックス(株)の取締役です。同社は平成21年度の完成まで若草町再開発ファンド部門の基幹になるわけです。総額290億円もの事業のコンペ選定(平成17年11月)からまだ3ヶ月しか経っていない時点で、構成員の取締役を市長以下の業者決定権者が大勢いる研修会の講師として呼ばれることは、この「コンペ」がはじめからこのグループに決まっていたのではないか、今はやりの「官製談合」の広島市版ではないかと疑われても仕方ないと思います。

   秋葉市政2期目で残任期間も1年しかないこの時期に、このような大型工事や大型プロジェクトを矢継ぎ早に発せられることは、選挙目当てに何を期待されているのですか?出来そうもないメニューを並べるだけの人気取りなのでしょうか。財政に余裕のない時だからこそ、きちんと議論して公平に順位を決め、それに沿って着実に事業を消化していくことが広島市の行政に求められているのではないでしょうか。

   若草町地区再開発、貨物ヤード跡地の新球場建設、駅前Bブロック再開発等々、全て市民に分かりやすく、公明正大に事業展開され、「李下に冠」のごとく市民に「疑いの眼」で見られないよう配慮されることを心から望むものです。
   皆さんはいかかお感じですか。


(※3月3日追加(広島地下街開発(株)経営陣の退陣)
   平成18年3月1日、市長は広島地下街開発(株)についてのコメントを出されています。その内容に、私たち議員は市長の『友達思い』には頭が下がるのですが、広島市民にとっては大変迷惑な行為なのです。公人である市長は『友』のためではなく、『広島市民』のための仕事をしてほしいものです。

   コメントの内容を紹介します。
   経営陣により抜本的な改善策がとりまとめられたことを評価している。これから経営改善に取り組もうとしていた現経営陣が退任されることとなったことは、たいへん残念に思っている。これまで会社を支えてこられた中村社長を始め経営陣の方々に感謝申し上げるとともに、市として会社の経営安定化と今後の発展を支援していくことで、その御苦労に報いたい。

   今回、経営陣が退陣に追い込まれたのは、経営理念の無さと経営実績の甘さへの評価であることを認識できないのでしょうか。これから5年後は「黒字」になりますとか、10年後の購買客数増加予測など、根拠の乏しい未来予測だけでは議会も市民も簡単に信じることは出来ないのです。

   本当に広島市民のためと考えるのであれば、損失補償も半世紀以上先までといった改善案は出てこなかったはずです。私たちの生活の中での最長の個人補償期間は生命保険付きの住宅金融公庫の借入補償の35年です。少なくとも、自己責任の負える範囲の損失補償期間は、社会常識のせいぜい10年ぐらいまでではないでしょうか。その間に、統合、合併等を含めた抜本的な再建策を関係者全員で考えなければならないという議論が2月定例会の場であったわけです。

   3月2日の読売新聞広島版には「社長、取締役会で辞任理由を説明」と掲載されています。この中で中村社長は「市の支援策を議決してもらうため、常勤の取締役は辞任することにした」と述べています。しかし、議会の認識は、中村社長の引責辞任は経営者の資質を問われての辞任であり、議会の意地悪や悪意での辞任ではないのです。

   また、この記事には「常勤の取締役」とありますが、地下街関係者の話からしても社長の勤務状態は週2日程度の出勤でしかなく、それも1日中というものでもなかったようです。

   また、「この4年間で利益を上げている。今回の市の支援策で健康体」「辞任は債務超過の引責ではなく、この支援策を確実に議会で可決してもらうために必要だった」とも述べていますが、そもそも4年前の社長は市役所のOBです。中村社長の感性がおかしいのか、市長の中村社長への説明が悪いのか、議会が意地悪で中村社長を辞任に追い込んだような発言ですが、くれぐれも誤解のないよう社長に説明する責任を行政は果たしてほしいものです。

   議会としては新しい経営陣に対する要求を2月議会の討論で明確に述べていますし、責任を果たすためにも委員会で新経営陣を呼び、明確に議会の意思を表明いたします。

   過去に市長は、アストラムラインの社長もシャレオの社長も、市役所OB社長が健全経営路線転換への計画を策定した後に、赤字を理由に辞任させたはずです。中村社長も、市長も胸に手を当てて過去のことをもう一度思い出して欲しいものです。

   これからの地下街、シャレオ再建は新経営陣だけでなく、市、議会も責任を持って解決するために議論をしたのであり、行政は「第三セクターに関する指針改定」の中で明言されている「第三セクターの資金調達に関する損失補償は、原則行われないこととすべきである」を心に刻み、広島市の中心市街地の活性化に心掛ける努力をしなければならないのです。

   行政の長として、友達や知人を集めての「側近政治」は絶対に避けるべきです。「行政の長は1人です」。その「長」に対する権利、権力が巨大になりすぎるのを防ぐためにブレーキの役目として「議会」があるのです。

   「議会」の議員は選ばれた多くの人達で会議を開催します。この中には賛成と反対があるのは当たり前です。人は3人寄れば派閥が出来るといわれております。これが議論の始め。このシステムが、地方議会における議会制民主主義の根幹です。「イエスマン」だけを集めての側近政治は絶対に慎むべきだと思いますが、皆さんはいかがお感じですか。