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(No.157) 平成17年9月22日

『新球場建設の基本方針について』

   9月16日に「新球場建設の基本方針」が示されました。「建設場所はヤード跡地」「3万人の天然芝のオープン球場」「完成は平成21年のシーズン開幕まで」「事業主体は市」「事業予定者はコンペ方式」「管理運営は指定管理者制度を導入」「建設資金は本年度内に負担内容を県、経済界等と協議」などと方向性が示されています。

    同日の中国新聞朝刊のトップには「ヤード建設へ初予算。関連費1500万円」と、さもスクープかのような扱いがされていました。しかし、建設場所は既に決定済みかのように組織改正(8月24日に「球場跡地利用構想担当」を新設)されていましたし、補正予算の内容(事業者選考コンペ、周辺道路整備計画等)も8月の都市活性化対策特別委員会で既に表明されていました(表明済みの『地質調査』だけは何故か今回盛り込まれなかったようです)。いずれにしても、このスクープは秋葉市長が本年4度目の海外出張を前に、中国新聞にだけ置き土産をされたのだと思います。

   皆さんはこれで夢の実現に向けて順調に歩み出したと思われるかもしれませんが、果たしてそうでしょうか。ここまでの内容は地元だけでも取り組めるものです。箱物だけなら基本計画段階までは何とか進められますが、道路や上下水道などの周辺インフラは市の思い込みだけでは進められません。計画を立てて、地元に入り、国や県との協議を経て、事業を推進していく必要があります。

   3万人の集客施設をつくろうとしているわけですから、インフラ全てで想像を越える規模が必要になります。下水は既存処理施設への接続の他、ここは恒常的な浸水地域であることを勘案した整備が必要です。また、道路は大半の交通量をさばく大洲通りは現在でも朝夕渋滞のあり様ですが、その大洲通りからヤード跡地への進入路は実質1箇所しかなく渋滞に拍車をかけるのは必至です。

   今から整備計画をつくるということですが、地元をはじめ国や県との協議等を考えるととても平成21年の開業までに3万人をさばく交通施設を整備することは厳しいと思います。さらに、今回地質調査を見送った本体の球場建設なども実施設計段階になれば国の交付金(補助金)をあてにしているわけです。果たして、このように全ての面で曖昧で基本コンセプトのない開発に国の支援が取り付けられるのでしょうか。
 

   そして、最も肝心なことは広島東洋カープの経営方針です。これまでホームページで幾度も取り上げましたが、新球場建設はカープ球団と経営方針に係る合意がないと実現不可能です。建設とセットにすることが絶対条件です。9月23日号の週刊ポストに「どうする!?ホリエモンが広げた『カープ買収』の大風呂敷」と先の衆議院議員選挙での出来事が書かれていましたが、地元ファンにとっては看過できないことです。

   この動きは今回初めてのことではなく、昨年の1リーグ制移行騒動の時から見られるものであり、地元テレビでも既に何回か取り上げられています。松田オーナーはこの動きをどのように受け止めているのでしょうか。カープ球団は将来に向け明確に責任を持つべきであり、同時に球場の建設主体である市は使用権に係る相応の担保を持つ必要があります。

   つまり、カープとの基本契約をどうするのかがポイントなのです。そうでなければ、チーム・エンティアム(サイモン・プロパティ・グループ他)の時と同じことが繰り返されます。エンティアム以上に慎重にならなければならないのは、エンティアムは民設民営でしたでしたが今回は公設民営です。つまり税金をつぎ込むわけであり、対カープ球団との明確な契約が必要なのです。本来であれば3分の1以上を出資しているマツダ鰍ェその保証をするか、若しくは轄L島東洋カープが3分の1程度の保証金を担保する意思を発表すべきではないでしょうか(この例として、広島駅前Aブロックで兜汢ョが34億円もの敷金を拠出しております)。

   この他にも問題点はあります。例えば、新球場建設計画ではヤード跡地の土地代は年間約6億円の球場使用料でペイするとのことですが、現球場跡の国有地地代(約2億円/年)はどうするのでしょうか。150万人の集客でペイすると言うのかも知れませんが、150万人そのものに目処はありません。

   また、新球場関連の公共事業を始めようとしているわけですが、市全体の公共事業における新球場建設にかかる優先順位も示されていません。財政逼迫の中、限られた事業費から新球場に係る公共事業を最優先すると、他の全ての公共事業(生活関連予算含む)が減少することに繋がるのです。

   さらに、現球場跡に年間150万人の集客施設ということですが、これに必要な予算はこのような財政状態の折どこから捻出されるのでしょうか。市長自らの手で市民生活を窮屈にした公共事業見直し委員会の結論や、その時の市長の理念はどこに飛んでいったのでしょうか。

   こうしたことを考えると、新球場建設を貨物ヤード跡地とした表明は次期市長選挙を睨んだアドバルーンとしか思えません。それと言いますのも、仮に現球場建替えとすれば、現球場の立地は既に交通やアセスなど全ての条件をクリアしていることから明日にでも建設に着手せざるを得なくなり、市長が公約している大型公共事業見直しの頓挫やプライマリーバランスの大幅赤字を危惧されたのではないでしょうか。

   その上、現球場跡への150万人の集客施設も、経済界の同意を得て自分の選挙戦をマイナスにしないようにするためのパフォーマンスと思われます。サンフレッチェのサッカー専用球場も単なるリップサービスで終わっていますが、それと同じことになります。2年半前と同じことが繰り返されないようトップの責任ある言葉を聞きたいものです。

   そのトップは方針決定直後に職務代理者を置いて海外出張に出かけられました。初めての新球場予算となる9月定例会の直前です。無責任な市長の姿勢に責任ある言葉を求める方が無理なのかもしれません。こうした市長の姿勢や前述した事業の進め方を見ると、市民の「夢」の実現性に疑念を抱かざるを得ないわけですが、皆さんはいかが思われますか。


 

   重要案件を前に、また財政危機を表明された割には、余裕の市政運営のように見受けられます。このようなことで広島市の行政が安全安心に機能していると思われますか。


(追伸1(大リーグの新球場建設))
   本文に関連して、大リーグの新球場建設が苦戦している状況を紹介します。昨年9月に毎日新聞が「米地域球団の挑戦」と題して連載したものですが、ミネソタ・ツインズの新球場構想が住民を巻き込む騒動に発展している状況が報告されています。平成16年9月7日に掲載された「ファン不在のドーム建設」から一部を抜粋して紹介します。


   米ミネソタ州にはメジャー球団、ミネソタ・ツインズがあり、その新球場構想が住民を巻き込む騒動に発展している。
   (中略)
   新球場は、特別観戦室を今の116室から4072室に増やす。誘致しているのはミネアポリス市と隣接するセントポール市で、「年300万人の集客、100万ドルの税収増、2億ドルの経済効果が見込める」(セントポール市副市長)と期待が大きい。しかし、「一民間企業に税金を使うべきではない」と反対する住民も多く、決着は付いていない。
   メジャー球団は球場建設がブーム。この13年間で16球団が新球場を建てた。地元の支援が得られないと、あっさりと本拠地を移動。ファンの意向は無視され、経済原理だけがまかり通っている。新球場で初年度こそ集客は好調だが、割高なチケットが敬遠されて2年目以降は苦戦、という球団も多い。

   大リーグの地域球団が計画している球場と広島が計画している球場では、その規模がけた違いですが、どこも自治体が投入する支援額などを巡りかなり混乱しているようです。こうした状況をどのように考えられますか。



(追伸2(市長の退職手当))
   9月20日から始った広島県議会(9月定例会)で、藤田雄山知事は知事など特別職の退職手当の支給率を5〜10%引き下げる「特別職の退職手当に関する条例の一部を改正する条例」を提出されたようです。これは、投票日が11月6日に予定されている県知事選に向けて、知事自身の我が身を削ろうとする姿勢のあらわれだろうと思います。

   これと同じ事例が広島市議会でも平成15年第4回9月定例会で公明党の西田議員が一般質問で秋葉市長の退職金に関する質問をされています。
   「大阪府高石市の阪口市長は、財政難を理由に、退職手当凍結を公約に揚げ初当選されました。これも、時代を反映した市長の姿勢を市民が支持した結果ではないでしょうか。また新潟県や愛媛県では知事の退職手当を引き下げる条例改正がなされており、岡山県では、今期9月議会で同様の条例改正が提案中となっています」「市長の率直な感想をお聞かせいただければと思いますけど、いかがでしょうか」


   秋葉市長は次のように答弁されています。

   「退職金というお話ですが、額の多さ、少なさを判断するのにはいろいろな基準があると思います。ほかの、例えば他の同様の例と比較するということもありますし、仕事に応じて、それが多いか少ないかという判断の仕方もあると思います。退職金、これが交付されるまであと3年以上ございますので、その際に、現在の額では少な過ぎるからもっとふやしてはどうかと言われるぐらいに、立派な市長としての仕事をした上で、財政的にも立て直しを行い、そういう状態になることをつくるために努力をしたいと考えております」

   市民の皆さんは、この市長の金銭に対する感覚と答弁の場が9月本会議の質問に対する答弁であったことについてどのように思われますか。心から広島市、広島市民を愛し、政策のうえでも、財政再建のために真剣に取り組む意志は見当たらないように思われます。本文でも述べましたように、年に4〜5度の海外視察も4年を掛け合わせますと16回から20回になり、一度の諸費用を1千万円と見積もっても4年間では1億6千万円から2億円となり、いかに世界平和、核兵器廃絶を叫ぼうとも、市民にとっては使い過ぎではないでしょうか。皆さんはいかがお考えですか。


(追伸3(『新しい広島づくり』発刊!))
   これまでホームページで書き綴ったことをもとに全てを書き改め一冊の本にしました。前書きと目次を少し紹介します。紀伊国屋書店などで限定発売です。

<前書き>
    全てが始まったのが、平成14(2002)年の1月。首長と議会の関係が大きく崩れたときでした。ホームページを開設したのも同じ時期。議長職の合間を縫って、市民に何を知ってもらうべきか、ひたすら筆をとりました。
   時たって3年半。自分でも、びっくりするくらいの原稿量とアクセス件数。発信し続けた3年半を振り返り、自らの考えに間違いがなかったか、確信を持ちたい一心で出版の決心をしました。もう一つ、私の心を動かしたのは、停滞する広島に『活』を入れ、『元気』を取り戻すための一助になりたいこと。そして、市政を覆っている『暗い空気』を一掃したいことでした。
   これまで発信した内容をもとにすべてを書きあらため、これを何かのきっかけづくりにしたいという『思い』が押さえ切れなくなった、というのが偽らざる気持ちです。
   特に、力を注いだのは、広島活性化のために市民の心に訴える数々の政策提言をしたことです。正常な市政運営のための常識を主張したことです。時には、もどかしさと怒りで、行政の責任者を名指しで非難したこともありました。
   ただ、一貫して主張したのは、より多くの市民が納得できる市政をつかさどること。市政運営には組織力を行使すること。みんなが共通の目標をもって協働することが将来につながる光が見えてくる、ということでした。
「暗中に眼を開いて、天地を看る」。わたしの好きな言葉ですが、現象面だけをとらえるのではなく、その根底にあるものは何かをよく見極め、何が大切で、何を求めていくべきなのか、ということです。しかし、事象の裏に潜む『真実』を知ることが、いかに大切で、難しいことか思い知らされました。
   時間の上で3年半と言えば、世の中はものすごいスピードで動いているはずなのに、ここ広島だけ時空間がゆっくりと流れています。世間で言う「空白の十年」が、広島では「空白の二十年」と言ったのは、恐らく私が初めてだと思います。3年半前に書き綴ったことが、今でも十分通用するのは、うれしくもあり、また、少々さびしさを感じます。
   「是々非々」。よいことはよいとしておおいに賛成し、悪いことは悪いとして断固反対すること。市議会は活性化のスピードを速めなければならなくなりましたが、この本を通して、3年半の時間の流れを意識しながら、皆さんにはこうした行政を行う上での過程と結果を体感していただければ幸いです。

<目次>
第1章 都市再生のデザイン
第2章 街づくりと都市交通
第3章 大規模未利用空間の活用
第4章 経済活性化への挑戦
第5章 スポーツ王国復活と新球場
第6章 首長と議会
第7章 行財政改革と公共事業見直し
第8章 ヒロシマへの思い
第9章 国際交流の現実
第10章 やさしい街・子どもたちの未来

<発行>
(株)ジャパン総研