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(No.156) 平成17年8月3日

『カープ球団の真実と広島の再生』

   前回(7月29日)のホームページで紹介した一橋総研理事の下前 雄氏から、私の主張に賛同の意をこめてメールが参りましたので紹介します。

 
「カープ球団の真実と広島の再生」

   故郷広島を離れて約20年になります。しかし、生まれ育った広島は、私にとっていつも気になる存在です。特にカープを通じて毎日意識しています。しかし、残念なことに広島は経済的、文化的に地盤沈下が著しいです。「広島PASSING」と言う言葉さえあります。私は三井不動産というデベロッパーでサラリーマンの経験があります。デベロッパーは街の力を冷酷に評価し、私が在籍していた90年代前半に地方都市を会社としてどのように位置付けるのかという議論がありました。残念ながら広島は、重要都市から外れました。

    「西日本は大阪、福岡を重要視すればよい。広島は外しだ」

   その後、広島の街から多くの企業が去っていきました。


   さて、現在新球場問題が議論されていますが、絶対に必要な前提条件が忘れられています。新球場問題とカープ球団経営改革はセットで考えるべきです。

   新球場は公設民営で議論が進んでいますが、建設後民間企業が運営するにしても新球場の最大のコンテンツであるカープ球団のあり方で、運営は大きく変わってきます。例えば運営会社が、新球場のネームライツ(命名権)を販売しようとしてもカープ球団の現在の体たらくの成績では、買い手がつかない可能性も十分にあります。逆に強く逞しく魅力のある球団なら、年間10億円でも可能でしょう。
   端的に言うと、「新球場の経済的な価値を決めるのはカープ球団」です。

   現在のカープ球団は7年連続Bクラス、今年も最下位を独走しています。12球団最弱と言えるでしょう。負のスパイラルに陥っているのです。
   「エンターテインメントとして魅力がない→観客動員数の低迷→資金難→有力選手の獲得困難、有力選手の流出→チーム成績の不振→エンターテインメントとして魅力がない」
   このような低迷が続き、将来に向けての明確なビジョンを球団はファンに対して提示していません。つまり、監督がどうのこうのと言う以前の、カープ球団の経営の根幹が間違っているのです。球団経営には二つの重要な点があります。

   内の改革(自らの改革)

   外の改革(日本プロ野球界全体に対する働きかけ。FA、ドラフト問題など)

   カープ球団は両方とも怠っています。「市民球団」という美しい言葉を隠れ蓑にしています。カープ球団は「市民球団」と言われていますが、実態は松田家の家業です。もっとわかりやすい言葉で言うと、松田家ワンマンの中小企業です。
   松田オーナーは、「市民球団」と「家業(株式非公開企業)」を自分の都合で使い分けています。「市民球団」を標榜するのなら球団の財務諸表は一般に公開すべきです。親会社が無く資金的に苦しいのなら、新しい発想の経営手法、金融手法を使うなどの手立てを考えるべきです。しかし、現在のカープ球団にはそのような動きはまったくありません。
   私は球団に対して無理なことを要求しているのではありません。6年に1度の優勝、2年に1度の優勝争いという、ファンとしてささやかなものです。これを達成できず、さらに将来に対する明確なビジョンをファンに対して提示できないのなら、松田オーナーは即刻カープ球団の経営から手を引くべきです。経営は結果責任なのです。

   新球場問題に対してもカープ球団は他人事のようです。新球場が完成して最も恩恵を受けるのはカープ球団です。しかし、松田オーナーからは積極的な発言はありません。また、金額は少なくとも新球場建設にカープ球団は費用負担すべきです。広島の地元マスコミが中心となって樽募金を行っていますが、盛り上がりは感じられません。理由は簡単です。カープ球団が積極的な関与していないからです。私がオーナーの立場なら、自らの財布(財務諸表)をファンに提示して、樽の横で選手とともに頭を下げます。
    「どうか皆さん新球場建設にご協力ください。野村、前田、緒方たちが現役のうちに新しい球場の土を踏ませてやりたいのです。」
   全国樽のあるところで有力選手を伴い頭を下げます。このような活動をすれば、樽募金活動は社会現象になり大いに盛り上がることでしょう。

   とにかく今のカープ球団に最も必要なのは優秀な経営者です。広島経済が地盤沈下して広島だけでプロ球団を支えることが出来ないのなら、瀬戸内各地に呼びかけて瀬戸内エリアをフランチャイズにして「瀬戸内カープ」とします。また、球団運営費に事欠くのなら、「新カープ球団」を設立してファンから資金を募ればよいのです。カープファンには樽募金のDNAがあるのです。明確なビジョン、過去にとらわれない新しい経営手法、強力なリーダーシップが必要なのです。

   最後に、衰退する広島経済を活性化するためにも、新球場と球団経営改革は絶対に必要です。その二つはパッケージで考えなければなりません。ファン、球団、行政、財界一体となり、柔軟かつ大胆な発想でも持って取り組むべきです。今、根本的に両問題を解決しないと、広島の街としての力は永遠に復活しないでしょう。今がチャンスなのです。オール広島の英知を結集し問題解決にあたり、それでも足りない場合は、外部の知恵を借りればよい。最後のチャンスを生かすのか、殺すのか、広島の未来がかかっているのです。

略歴
下前 雄/TAKASHI SHIMOMAE
NPO法人一橋総合研究所理事
株式会社ジーアンドエフ代表取締役
1966年広島市西区生まれ。一橋大学経済学部卒。90年三井不動産入社、93年ソフトウエア開発会社ジーアンドエフを設立、代表取締役に就任。NPO法人一橋総合研究所理事兼任。東京都新宿区在住。
http://www.gandf.co.jp/(株式会社ジーアンドエフ)

(追伸(マツダ鰍ニカープ球団の経営))
   前回紹介したように轄L島東洋カープの筆頭株主はマツダ鰍ナす。出資割合は34.2%と3分の1以上を占めています。

   通常、会社の経営は、株式の2分の1超を保有していれば会社の支配権を確保でき、取締役の選任などで経営をコントロールできるようになりますが、3分の1超であっても大きな力は持っています。例えば、会社の経営にとって極めて重要な事項については3分の2以上の同意が必要になりますが、3分の1以上を占めているということは、これを拒否することができるわけです。

   つまり、マツダ鰍ヘカープ球団の経営に対して大きな発言権があることは間違いないわけであり、ましてや筆頭株主です。出資に見合う役員を送り込んで、相応の経営責任を果たせる立場にあるわけです。

   ところが、マツダ鰍ヘ今の轄L島東洋カープの経営には一向に口を出そうとはしていません。カープ球団が、単に今ある財産を維持しようとするだけで、よりよいものに発展させようとする気概がないのに対して、筆頭株主のマツダ鰍焉A「松田家の個人的な資産だから…」と傍観しているに過ぎないのです。

   前述した下前氏も「新球場の最大のコンテンツはカープ球団のあり方だ」と言われています。新球場建設が現実のものになるのであれば、球団運営についても根本的な見直しが必要となりますが、少なくともマツダ鰍ヘ、3分の1超の株式を保有している筆頭株主として、これまでの経営に対して責任があります。

   もし、マツダ鰍ェ将来のカープ球団の経営をも見据えるのであれば、もっと主体的に動いて、市民が希望を持てる魅力ある球団にしていくための最大限の努力をすべきだと思いますが、いかがですか。