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(No.151)2005年 6月 3日

『平和行政への疑問』

 5月27日に開会した市議会臨時会(注1)は、平成8年以来の緊急質問(注2)から始まりました。内容は新聞紙上をにぎわせた在米被爆者訴訟(注3)の控訴問題です。詳細はここでは触れませんが、この件で一番問題にすべきところは、被爆者や市民に十分な説明がなされなかったということと、控訴に至った市長の姿勢です。

 それをよく表しているのが、市長のコメントですが、5月10日の判決直後には「高齢化している被爆者の心をこれ以上煩わせないことが重要だ」と述べているのに対し、5月20日の控訴の際は「国の指導には従わざるを得ない」とのコメントを一枚出しただけです。5月19日中に決断し、コメント文に目を通したら、直ぐに休暇をとって、米国タフツ大学からの名誉博士号を受けるために渡米したということです。

 5月24日の控訴期限まで5日を残して渡米されたわけですが、被爆者へはもちろん、議会や市民への説明は一切ありませんでした。このことを緊急質問で聞かれ、市長は「これまでの方針を変えるものではないので…」「法務局から5月20日までと言われたので…」と詭弁を使い、挙句の果ては「タフツ大学での授与は公務と思っている」と開き直っていました。

 被爆者のやりきれない思いは、控訴という事実だけでなく、市長の不誠実な姿勢に向けられているのであり、各新聞が一斉に市長を非難しているのも頷けると思います。

 仮に、市が控訴せず、市が独自に海外からの申請を受けつけた場合、約5億円の負担が生じるという大きな理由があることも理解できないわけではありません。しかし、このことも、緊急質問で質されて初めて公にされたわけであり、いかに国の指導とはいえ、事務を受託している最高責任者が控訴理由を明らかにせず、説明を放棄したのは許しがたい態度です。

 行政庁の下した処分に係る訴訟については、敗訴して控訴する場合であっても議決は不要ということですが(注4)、この案件が広島市民にとっていかに重要なことか、今さら申し上げるまでもありません。これまで、幾度も指摘してきた「説明責任」がこの度も蔑ろにされているのです。被爆者の心を踏みにじった、まさに「心欠く」平和行政と言ってもいいでしょう。

 もう一つ「心欠く」と言えるのが、8月5日平和コンサート予算です。賛否微妙と予想されていたこの議案は、結局、賛成者約4割という思いがけない差がついて否決されました。

 以前は、否決の案件があると、マスコミは議会と市長の関係を「対立の構図」「深い溝」という捉え方で書いていましたが、今回は「市の進め方に詰めの甘さ」「市のやり方不透明」「市民の目線持たない市」というように、一方的に市の非を指摘する論調でした。私が、これまで女性助役問題などで度々指摘してきた「決定プロセスの不透明さ」と「説明責任のなさ」が、ようやくマスコミを通して市民にも認知されてきているのだと思います。
 なぜ「不透明」のままで進めなければならなかったのか、その真実は明らかにされませんでしたが、想像するに難くない事実があったのだと推測できます。

 在米被爆者問題や平和コンサート予算の問題だけでなく、全てに言えることですが、行政を司る人は全ての人を対象に全てのことを満足させることはできません。しかし、少なくとも、より多くの人が理解できるよう、パフォーマンスではなく「心」からの姿勢を見せてほしいものです。

(注1)臨時会
 緊急に審議すべき事件が発生し、次の定例会(年4回(2月、6月、9月、12月)開催)を待っていては時機を失するような緊急性のある事件を審議決定するために開かれる。
(注2)緊急質問
 臨時会は、特定の事件に限ってこれを審議するためのものであり、特定の事件に関係のない一般質問などはできない。しかし、火災、水害、地震等、緊急を要する真にやむを得ない質問は、議会の同意を得て質問することができる。平成8年10月の臨時会の際、基町高層住宅の火災の件で緊急質問が行われた。
(注3)在米被爆者訴訟
 広島で被爆した米国在住の4人(3人は被爆者本人。1人は本人が死亡したため妻)は、平成15年以降、健康管理手当や葬祭料などを米国から使者や郵送で広島市長(行政庁)に申請。広島市長は「居住地が広島市ではない」として申請を却下。4人は、却下処分の取消しを求め広島地裁に提訴。地裁は、5月10日、「国外から、直接、手当などを請求できる」として処分を取り消す原告全面勝訴の判決を言い渡した。
(注4)訴えの提起
 地方公共団体が原告となって訴えを提起する場合は、議会の議決が必要である(地方自治法第96条第1項第12号)。しかし、今回の訴訟の当事者は、処分を取り消した行政庁である「広島市長」であり、普通地方公共団体ではないため、同法による議会の議決は不要とされている。

(参考)秋葉市政の否決・修正可決一覧
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