私の思い まちづくり・経済・交通 総務・人事 議  会 教育・文化
福祉・医療 平和・交流 その他 総合メニュー

(No.139) 平成17年 1月24日  『新球場建設について』

 昨年末の新球場建設促進会議で、山田助役が意気揚々と新球場の建設候補地を説明した場面で、宇田広島商工会議所会頭は「検討対象にならない場所まで含むのは何故でしょう」と憮然となったとの報道がありました(1月3日付中国新聞)。さらに、県・市及び民間の第三セクター方式による提案に対しても、秋葉市長は財政難を理由に賛否の明言を避けたとの報道もありました。

 「決断が必要とされる時に自論を述べない人間は真のリーダーではない」とこれまで何度も述べてきましたが、むしろ「リーダーであってはいけない」との思いが強くなってきました。

 これらの一連の記事は新球場建設プロジェクトの推進に対する官民の温度差を象徴しています。行政には民間事業のノウハウが欠落していることや事業への取り組む真剣な姿勢に欠けていることを如実に表していると思います。秋葉市長が、財政難を理由に、山積する事業のほとんどを曖昧で中途半端な方針しか出していないことに危機感さえ覚えるのは私だけではないと思います。

 新球場建設の事業手法として、PFI方式によるSPC(特定目的会社)を伝家の宝刀の如く、この事業に最も適していると言っていますが、ここでは、私なりの事業手法に対する考え方を述べてみたいと思います。

 まず、本当にPFIによる事業推進の良し悪しが分っているのだろうかと疑問符を投げざるを得ないところがあります。そもそも、PFIは、民間の資金や技術的・経営ノウハウを積極的に活用して、効率的で質の高い行政サービスを達成することを目的にしているのであって、導入方針の決定の際には必ず従来の事業方式とPFI方式の事業期間全体の財政負担額等を比較検討するようになっています。

 PFI事業はそもそも公共事業であり、サービスの安定的かつ継続的な提供が求められるため、この事業に参加した企業の経営状況がPFI事業に悪影響を与えないように、各企業が出資してPFI事業を実施するためのSPC(特定目的会社)を設立し、この親会社から独立したSPCがPFI事業を実施することとなるわけです。



 これは、あくまでも一般的なPFI事業について概観したに過ぎませんが、いずれにせよ、PFI事業の最重要課題は、PFI導入の可能性があるかないかです。これらを検証することにより、財政負担軽減や公共サービス水準の向上が図られることを確認し、市場調査等の実施により民間の当該事業への参入意欲等を把握しておくことが重要です。

 このため、新球場建設のための詳細な検討が必要となり、その調査結果により当該事業にPFIが本当に適しているかの判断を下す必要があります。ただ、財政難だから民間資金の導入により事業を推進しようとする安易で軽率な判断は行ってはいけないのです。

 秋葉市長は、こうした一連の調査項目を十分検討し、その結果、新球場の建設にはPFI事業手法が最適であると判断し、公表したのでしょうか。私には、そうしたとは到底思えないし、そうした調査の形跡は全く見えてきません。

 広島県は、政策企画局と事業所管部局とが協力して、事業の発案段階から導入可能性の検討、種々の手続、PFI事業者と契約する段階までの事業推進体制を確立しています。特に、公共が実施した場合とPFIで実施した場合とを比較して、コストが安くなるか否か、あるいはサービスの向上が図られるか否かといった詳細な検討を行っています。上安・坂地区の住宅整備や吉島のボートパーク整備などは、こうした過程を経た上で、PFIによる事業推進を図ろうとしているのです。

 バブル崩壊後、民間企業は英知と弛まぬ努力の結果、どうにか難局を乗り切ってきています。そこには、経営者たちの高い知識と経験則からくる判断力と俊敏な決断力があったからに相違ありません。是非、多面的かつ専門的立場から当該事業の事業性(ビジネス性)を十分に検討すべきです。

 また、「投資家へは配当をどれくらい出せるのか?」といった基本中の基本のことに答えられないのなら、新球場建設を軽々しくPFI事業が最適であるなどと、絶対に言えるはずはありません。新球場の整備後、収益事業として毎年のキャッシュフローが回らない事業には誰も投資などしてこない。すなわち、収益の見えない事業に対して、PFI事業は適合できないのです。

 したがって、新球場建設の事業手法(資金調達)については、PFIも含め詳細な検討を進めるべきだと思います。そして、市民(県民)や民間企業等の機運が盛り上っている時に、大局観を持ってきちんと決断し、事業を推進すべきだと思います。皆さんはいかが思われますか。