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(No.130) 平成16年11月19日 
       『未来エネルギー研究機関立地誘導について』


 新政クラブの谷口議員が、11月15日の平成15年度事業に関わる決算特別委員会の総括質疑で、未来エネルギー研究所の立地誘導計画について質疑されました。その質疑を聞きながら、私の中で、さまざまな思いが巡りました。

 この未来エネルギー研究所立地誘導計画について、広島市は、平成15年6月、「未来エネルギー研究機関(仮称)立地誘導構想」として取りまとめ、発表されています。

 市長は巻頭文の中で、次のように述べられています。
 広島市民は、科学技術が人類にとって正負両面に利用し得ることを世界の誰よりも認識しています。したがって、経済活性化の有力な手段となり得る科学技術の利用は、人類の平和的繁栄にとって、正の側面に主眼を置くことが求められていると考えています。

 地域経済の活性化に大きく寄与することが期待できるとともに、人類社会の持続的な発展にも貢献することができるエネルギー関連技術の未来志向型の研究機関を誘致したいと考えております。

 このように、広島市の学術・科学技術の向上と、これに伴う経済の活性化を行政として強力に支援していくという市長の強い決意が現れているようにも見えます。市民として、議員として、市長がどういう理由で、こんな時に、どこに人材と財政上の余裕があるのだろうと、一瞬考えさせられたことを思い出します。

 しかし、このことも、市長特有のパフォーマンスであることが歴然としました。それは、平成16年10月に、「未来エネルギー研究機関立地構想」は無残にも宙に飛び、抜け殻だけの取り繕いの事業である「ひろしま、夢、エネルギー大賞」の実施にすり代わってしまったということです。

 そのうえ、10月12日の記者会見の記録を見て愕然としました。
まず、市長は「『エネルギー』をテーマにした『夢』のあるアイデアを募集することとしました」と発言されていますが、このことは、事業に対し何の思いもないまま放置することは出来ないのでアイデアを募集します、ということではないでしょうか。

 次に、「エネルギーに関連していれば、何でもいいわけですが…」と言われていますが、エネルギーに関して、何の思いも無いという、無責任さが現れています。

 また、記者の皆さんに対しては、「誰でも考え始めればすぐ、次の日にいいアイデアが出るわけではありませんので、これは皆さんへのお願いなんですけども、少しこの内容について、PRをしていただいて、例えば、学校なんかのグループで何人かで取り組んで、まあ、一月半あれば、何か面白いものが出てくるかもしれませんので、そういった可能性を開拓することにご協力いただければ大変ありがたいと思います」とお願いされています。

 このことは、募集期間が11月1日から30日の間であり、この「大賞施策」の発表からしても、1月半しかなく、事業本体が、思いつきの一過性のものでしかないことからの発言だろうと思われます。メディアの皆さんに対しても、記者会見の場で、「公募のお願い」をし、市長から見れば、あなた達も市職員と同じ彼の「使用人」としか、見えないのではないでしょうか。

 さて、決算特別委員会での谷口議員の質疑は、次のようなものでした。
 この「未来エネルギー研究機関の立地誘導」プロジェクトは、平成14年度当初予算で調査研究を行い、それを踏まえて、平成15年度に具体化施策の推進を行ってきているわけです。この2年間で多額の予算(税金)をつぎ込んできているわけです。

 そのうえ、この事業の推進にあたっては、大学(広島大学、早稲田大学、筑波大学)、民間企業(中国電力、広島ガス、マツダ、三菱重工等)、行政(中国経済産業局、広島県、広島市)などで構成する広島未来エネルギー推進協議会を設置し、産学官の連携により、事業化を進めてきたはずです。

 しかし、平成16年度に入り、民間企業に対しては、全く行政からの具体的な方策が提示されなくなったのではないでしょうか。本事業が市長の選挙公約でもあることからしても、民間企業等は市長の言葉を信じて協議会に参加したのではないでしょうか。

 また、市長は、研究機関の立地誘導に向けて、自ら早稲田大学の白井総長に、本市への同大学研究所の立地要望書を手渡されているはずです。その上、元広島大学の藤田名誉教授を早稲田大学の客員教授として推薦され、加えて、同教授には本市での活動の場として、広島市立大学研究室の無償貸与(平成15年度)、産業振興センター内の事務所開設(平成16年度)をされ、経済活動ができる準備を整えられたはずです。

 平成15年度までには、地域整備公団の施設補助事業の採択に向け、何度も上京し交渉を重ねられ、その結果、公団からは前向きな回答が得られたはずです。その後、事業計画の提示が求められ、事業化の目途が概ね見えてきた段階で、どういう理由かこの事業がピタッとストップしてしまい、平成16年度には訳の分からないイベント予算しか計上されなかったのです。

 平成16年10月になって「市民のエネルギー問題に対する意識啓発が大事」とのことで、市民の啓発事業のための「大賞」施策の発表です。単純に考えてもイベントやお祭り事業が研究機関の設置に直結するとは到底思えないものです。

 私は、以前、このホームページで『広島未来エネルギーの研究・推進組織について(No.85−平成15年12月2日)』と題して「平成17年度の実施に向け努力されているようですが、家賃の助成など、多大な財政負担を伴うものです。こうした財政負担について検討がされているのでしょうか」と産学官構成の事業化についての官のリーダーシップを取り上げております。

 しかし、本事業に関するこれまでの企画や、未来への夢をつなぐ社会資本の蓄積事業は、何ひとつ残らず「絵に描いた餅」で終わり、その後は、様子見のアドバルーンを上げるだけになっているのではないかと危惧されます。

 市長は、直接、早稲田大学まで出向かれたようですし、先行している北九州市の早稲田大学研究機関誘致と同じような条件では、市の置かれている状態からしても、なかなか広島市への誘致は難しく、当初から広島市誘致の可能性は低かったのではないでしょうか。さらに、15年度まで精力的に交渉してこられた地域整備公団も独立法人化したことでもあり、施設補助事業の可能性も全くなくなったのではないでしょうか。

 これらのことから、推測されることは、市長の公約である「未来エネルギー研究所」の設置は意識的に「瓦解」させ、市民の目をごまかすために『ひろしま、夢、エネルギー大賞』を設置しただけで、多大な税金の無駄使いの反省も何も無く、いつものとおり、目先のごまかしで急場を切り抜けているのでなないでしょうか。

 もうひとつ、広島市産業振興センターに元広島大学名誉教授の藤田先生を配置されているようですが、何をやってもらっていますか。本当に研究所設置の業務を推進されておりますか。未来エネルギーの分野で、世界的に高名な藤田先生をスポイルすることになりませんか。

 重ねて申しますが、本事業だけに限りません。税金と労力を掛けて計画策定した事業は、市長をはじめ、職員の皆さんにも最後までやり抜く不屈の精神と事業に対する理解力を養って事業を進める姿勢が欲しいものです。このことが、広島市の未来を夢のあるものとする源流です。我々も、市長も、職員の皆さんも公僕であるということを忘れないで下さい。

 以下、この事業の主な経過を紹介します。

 (平成13年度)
 ゼネラルモータズ(GM)の技術チームの来広により、広島大学(藤井教授)の燃料電池に関する開発研究に関心を示し、同社から共同研究の要望が出されるが、同教授は拒否した。
 経済局が燃料電池研究所の設置構想を発案し、事業推進のきっかけとなる。
 大学と民間企業及び行政機関へ呼び掛けし、燃料電池研究所設置に係るワーキングチームを設置する。
 秋葉市長から広島大学だけでなく、早稲田大学へ参加要請がでる。
 平成14年度当初予算案(立地誘導構想の策定:委託費)の計上準備

 (平成14年度)
 産官学で構成する広島市エネルギー推進協議会の設置
 早稲田大学に研究所設置の要望書を提出
 元広島大学名誉教授の藤田先生を早稲田大学客員教授として採用し、広島市立大学内に準備室を設置(無償貸与)
 広島市未来エネルギー研究所立地誘導構想の策定(調査委託)
 筑波大学バイオマス研究室の協議会への参加要請(大竹会長からの紹介)

(平成15年度)
 調査結果を踏まえ、幾つかの事業を推進
@  未来エネルギーに関する3つのプロジェクトの構築
燃料電池、バイオマス、超伝導
A  ベンチャー起業化に伴なう民間資金導入計画の策定
B  地域整備公団事業である施設補助事業への採択交渉
C  広島市エネルギー推進協議会での議論を踏まえ、平成16年度当初予算で全国から優秀な研究を呼び込むための研究費補助事業(委託費)の計上を図ったが、突如市長が反対し、イベント予算「広島・夢・エネルギー大賞」に変更された。

(平成16年度)
 研究所の立地誘導は殆ど進行しておらず、「広島・夢・エネルギー大賞」のイベント事業を実施している。今後の推進方策が全く見えない状態となっている。

 広島市の経済政策、科学技術政策の迷走のもとは、平成13年度のゼネラルモータース(GM)の来広からであり、その前年の市長のデトロイト訪問であると思われます。
 詳しくは、私のホームページ『さらば小泉純一郎!(No.118−平成16年7月28日)』をご覧下さい。