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(No.129) 平成16年11月17日 
           『大阪市の第三セクターの破綻について』


 平成16年11月2日のサンケイ新聞に、「大阪シティドーム、クリスタ長堀、特定調停申請」との見出しで、大阪市の三セク破綻の記事が掲載されていましたので紹介します。

 多額の赤字を抱え債務超過状態に陥っている大阪市の第三セクター「大阪シティドーム」と「クリスタ長堀」は、11月1日、金融機関などに債権放棄などを求める特定調停を、大阪地裁に申し立て、事実上経営破綻した。両社とも、市や市の外郭団体に資産を買い取らせ、売却金で一部返済した上で、残る債権の放棄や減額などを求める内容。同市の三セクをめぐっては、大阪ワールドトレードセンター(WTC)など3社の特定調停が今年2月に成立している。

 大阪ドームを所有・運営するドーム社は平成4年に設立。当初から赤字続き。15年度の決算で債務超過額は137億円にのぼり、借入金残高は先月末現在の511億円となっている。申し立てでは、市にドームの施設部分を売却して一部を返済に充てた上、残りは金融機関に債権放棄を求める考え。

 クリスタ社も4年に設立され、9年5月に同市中央区の長堀通の地下で開業した国内最大級の地下街や駐車場を経営。15年度決算での債務超過額は14億円、先月末現在借入金残高は320億円だった。申し立てでは、駐車場部分を市道路公社に売却して代金を借金返済に充てるとともに、市中銀行などからの債務約83億円の大幅減免などを求める考え。

 この記事の中には「特定調停」を次のように説明しています。

 債務者の再生を目的に、裁判所の調停委員が仲介して当事者同士が話し合って債権放棄や金利減免などの利害調整を行う民事調停の特例制度。通常の民事調停より手続きが簡単で、合意が成立すれば裁判上の和解と同じ効力を持つ。平成12年に制度化された。大阪市の三セクをめぐっては、別の3社の特定調停が今年2月、金融機関が926億円を債権放棄し、大阪市は債務の株式化と追加出資で約464億円を負担するなどの内容で成立した。

 他方、大阪市のホームページでは、監理団体の再建に向けた取り組みについて、次のように掲げています。

 裁判所を介した手続きの中で、都市機能を維持しながら、事業の継続に向けて取り組みます。
(市長コメント)今後は、客観性や透明性を確保するとともに公平性の観点から議論を重ね、大阪市としての考えを取りまとめ、裁判所を介した手続きのなかで、精一杯の主張をしたいと考えています。
 特定調停法は、支払不能に陥るおそれのある債務者等の経済的再生に資するため、民事調停法の特例として特定調停の手続きを定めることにより、このような債務者が負っている金銭債務に係る利害関係の調整を促進することを目的としている。

 バブル崩壊後からの景気低迷の中、ここまで経済界が何とか生き残って来られたのはリストラであり、政・官・民を含めた債権の棚上げであろうと思われます。現に、民間企業においては、民事再生などが行われていますが、民間企業には再生システムがあり、そのルールの中で再生の決断をどんなに苦しくとも経営責任者(社長)がするのです。

 官においても、バブル期の発想のもと経営してきた第三セクターの抜本的な経営の見直しの決断をしなければいけない時期に来たのだと思われます。大阪市の決断に対して賛意を表するものであります。

 こうした中、広島市の決断はいかがなものでしょうか。市長は、9月議会で指摘のあった広島駅南口開発鰍ノついて、本年度末までに再建案を示すと言われましたが、本当に市民の前に提示できるのでしょうか。議会では、市からの長期貸付4億5千万円を認めたわけですが、資金不足状態を会社自らの力で解消できないというのは、既に経営破綻しているということです。一時的に倒産は回避できたとしても、このまま核テナントとの良好な関係が続くとも限りませんし、そうなれば今回貸付けた市民の税金は回収不能に陥ってしまいます。果たして抜本的な対策が打ち出せるのでしょうか。

 また、広島高速交通鰍ノ対しても、昨年の6月議会で205億円の支援策(市が毎年度行う単年度無利子貸付)を決めたわけですが、その時点で説明された収支計画では、利用者数は、平成15年度は1パーセントの伸びでその後は横這いで推移するとのことでした。しかし、既にこの1年間をみると1パーセントの伸びどころか4〜5パーセントのマイナスのように見受けられます。同社には、この205億円だけでなく、市から多額の貸付金があるはずです。いかにして、この市民の税金を回収されるのでしょうか。

 さらに、広島地下街開発鰍燗ッ様に多額の市の貸付金が存在し、その経営見通しは開業時から危惧されているところです。

 これら3社の設立には、市が大きく関与し、その公益性や倒産したときの社会的影響から当面の措置を講じているわけですが、実態は、いずれも、大阪市と同じことではないでしょうか。

 以下、参考として、「企業の倒産手続きの区分」と先に成立した「椛蜊繝潤[ルドトレードセンター」「アジア太平洋トレードセンター梶v「竃ゥ町開発センター」の特定調停に係る調停案の概要等を掲げます。



            図.企業の倒産手続きの区分
        
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大阪市の第3セクターの破たんについて

 1 特定調停に係る調停案の概要(平成16年1月13日提示)

(株)大阪ワールドトレードセンタービルディング

アジア太平洋トレードセンター(株)

(株)湊町開発センター

合計

大阪市貸付金

200億円

187億円

204億円
(別途108億円)

591億円
(別途108億円)

 

うち株式化

125億円

0億円

204億円

329億円

うち代物弁済

 

 

 

大阪市の出資

40億円

40億円

24億円

104億円

大阪市の損失補償

金融機関の貸金債権等について、担保物件の処分などの回収努力をしてもなお回収不能が発生した場合の当該回収不能額

金融機関の貸金債権等について、担保物件の処分などの回収努力をしてもなお回収不能が発生した場合の当該回収不能額

金融機関の貸金債権等について、担保物件の処分などの回収努力をしてもなお回収不能が発生した場合の当該回収不能額

 

金融機関債権

782億円

1,099億円

183億円

2,064億円

 

うち債権放棄

137億円

698億円

91億円

926億円

残債権

645億円

401億円

92億円

1,138億円

計画期間

40年

30年

30年

 

 アジア太平洋トレードセンター(株)の代物弁済の価格は、申立人と相手方大阪市において協議の上合意する相当な金額

2 大阪市の調停案受諾の理由

会社を法的整理するよりも、調停案による再建を図る方が経済合理性を有すると考えられること
テナント保証金の毀損や社会的な影響などを総合的に勘案すれば、法的整理と比べ経済合理性を有すると考えられること
本調停案の内容に合理性と実現可能性が認められること
調停案の再建計画には、収益の低下を見込む一方経費の増加や金利の上昇などを見込んでおり、その内容には合理性と実現可能性が認められること
関係者の合意によって会社を再建することが、将来の大阪市政に資すると考えられること
地域の中核施設として公共的役割を担う各社が、関係者の合意のもとに着実な再建を果たし、大阪の都市再生など先導的役割を担っていくのであれば、まちづくりの推進・将来の大阪市政に資すると思われること

           表.大阪市の第3セクターの破綻
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