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(No.99) 平成16年3月2日 『名古屋経済に学ぶ』

 「今、名古屋が元気がいい」…こうした声が聞こえます。
 全国の主だった都市(特に東京圏、大阪圏)がバブルの後遺症に苦しんでいるのに対し、名古屋はその影響を最小限に抑えていることから言われているようです。
 ここでは、広島の将来を今一度見据える意味で、名古屋経済の元気さを『世界最強・名古屋経済の衝撃(水谷研治著)』を引用しながら私の思いを述べたいと思います。

 名古屋の元気のよさは、単に愛知万博が来年開かれるとか、中部新空港の建設が急速に進んでいるからということだけではありません。自動車産業が世界に雄飛しながらも、一方では、地元が大切と考え、足元を固めている堅実な製造業が地域経済を支えています。名古屋経済に対する信頼は経済界をはじめ広く市民にも浸透しているようです。

 著者は、「名古屋経済の落ち込みが小さいのは、いわゆるバブルの痛手が小さかったことが一因であり、それは、浮ついた流行に流されることが少ないという地域の堅実性と関係がある」と述べています。
 その地域の堅実性を人間の行動にたとえて、次のように分析されています。

 「一般に田舎へ行けば行くほど控えめな行動になる。それは社会が小さいために、隅々の出来事までよく人々の目が行き届くためであろう。わざわざ言葉に出して言わなくても分かる」「これに対して、よそ者の集まりである都会では人々の考え方が分からない。言葉に出して言わなければ、無視されてしまう」「東京から見れば、すべての地域は田舎である。名古屋も例外ではない。自己宣伝が少なすぎるとも考えられている」「東京の考え方からすれば、宣伝しないのは宣伝するものがないからであると思いがちである。宣伝する値打ちがあると見るか、ないと見るかは考え方しだいである。そこに共通した基準を見つけることは難しい」

 もともと名古屋には目立ちすぎることを嫌う風土があるようです。バブル期に真っ先に踊った企業がある反面、バブル期にあまり流れに乗らなかった企業もあるわけですが、名古屋の企業には後者が多かったようです。
 もちろん、たまたま保守的な考え方が、現在の情勢の中で有利に働いているに過ぎないという見方もないわけではありません。

 広島はどうでしょう。「元気がない」との声ばかり耳にしますが、名古屋と同じように、物づくりに長け、手堅く実直に地域経済の地力となるべく仕事を進め、それが新しい実を結んでいる企業はあります。日本だけでなく世界に誇れる広島ならではの企業は元気を顕しています。そうした企業は、広島の地を生かし、堅実な経営方針のもと着実にその足を伸ばしているのです。

 広島の進むべき道は、やはり物づくりに活路を見出すべきだと思います。サービス産業も必要ですが、広島の歴史、これまで積み上げてきた財産を考えると、田舎である広島の進むべき道は自ずと決まっています。
 もちろん時流も大切です。新しい流れには可能性がいっぱい詰まっています。しかし、例えば最近の情報産業の流れが、その反動としていわゆるITバブルの後遺症に苦しんだことを振り返ったとき、目指すべき方向が堅実であったほうが長い目でみたとき、企業や市民生活にも安心とゆとりが出てくるのだと思います。

 また、これまでの流れを意図的に方向を変えようとすると様々な軋轢が生じます。著者も「特に、能力のある人が変に力を発揮して懸命に反対の方向に走り出した場合には深刻な事態となってしまう」と述べています。
 これまで積み上げてきた大きな流れを逸脱しない範囲で新しい流れを汲み取っていくことが大切ではないのではないのかと思います。

 力強い企業が周囲にあることは、地域の多くの企業、住民にとって大きな助けとなります。地元の経済界と十分理解しあって、堅実な流れを守り、育てながら、その中で、絶えず新しいものへ挑戦し、取り入れていくことが重要なのでしょう。

 広島の都市づくりは、札、仙、福ではなく名古屋を参考にすべきというのは、このホームページの創刊号(平成14年1月1日号)でも述べたところです。都市づくりも堅実な経営方針のもとに新しい流れを汲みながら長期的な視野に立って進めるべきです。今一度ご覧いただきたいと思います。

  『広島が目指すべき街づくりの方向』
  http://www7.ocn.ne.jp/~hirano30/my_thinking/20020101.htm