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(No.95) 平成16年2月10日 『本市職員の詐欺事件について』

 本市の経済局の課長が詐欺容疑で逮捕後、市長は「個人的な犯罪」として我関せずといった態度です。事件の真相は現在捜査中であり、私が憶測で語ることはできませんが、市長自らが先頭に立って推し進めていたプロジェクトの名を借りた犯罪であれば、遺憾の意だけではなく、「申し訳ない」という謝罪の言葉があってしかるべきではないでしょうか。

 市長は、今回の事件で名前を使われた「未来エネルギー研究機関誘致構想」や「自動車デザイン開発会社」の設立といったプロジェクトに直接的に関わっています。今回の事件に照らして、新聞やプロジェクトの経緯をみれば分かります。

 2月4日の日刊工業新聞には、「広島市課長は、広島の自動車産業振興を目的に設計会社ハイベックの設立を主導したほか、エネルギーの研究所構想も立案した産業振興のキーマン」「やり手で、03年にはハイベック設立を取りまとめ、燃料電池などのエネルギー研究所構想も推進した。特にハイベックはマツダ協力会社が多い広島で受注機会が増えるとして、多くの地場企業が賛同して出資」「目玉の施策を相次ぎ軌道に乗せた課長は発言力を増した」とあります。

 また、2月6日の中国新聞には、「詐欺容疑で逮捕された広島市課長が、市の提唱で設立した自動車デザイン開発会社ハイベックに対する融資話をめぐって、設立に参加した地場の部品メーカーとの間でトラブルになっていることが、複数の関係者の証言で分かった」とあります。

 このハイベックは、平成15年5月20日に設立されたものですが、その設立経緯等を紹介します。広島市のホームページ(「市長室へようこそ」→「記者会見」→「2003年5月23日」)からの抜粋です。

■株式会社HIVEC(ハイベック)の概要について
<設立の経緯>
 広島市は広島地区の産業の活性化をねらって、市長自ら、広島の自動車産業の売り込みに欧米自動車メーカーへのトップセールスを展開してきた。具体的には平成12年10月、米国自動車メーカー訪問。平成14年10月、欧州自動車メーカー訪問。平成15年4月、韓国訪問を行ってきている。その成果として、具体的部品ビジネスへ発展してきている。
 その経緯の中で、より地場企業への受注を活発化させるには、広島に自動車の受託開発を行う会社の設立の必要性が認識された。そこで広島市が中心となり新会社の設立準備が行われてきた。具体的には、平成13年10月に広島市の呼びかけにより地元の自動車関連企業5社による研究会の発足、更にその発展形として地元協賛企業16社による準備会が発足し、マツダ、GMの協力の下、新会社の設立準備がなされてきた。そして平成15年5月20日に会社設立の運びとなった。
<役員>
 ・代表取締役社長 大坪栄次(株式会社オーエイプロト取締相談役)
 ・取締役(非常勤)鵜野政人(株式会社ヒロテック代表取締役社長)
 ・取締役(非常勤)今西寛文(株式会社今西製作所代表取締役社長)
 ・監査役     木村構臣(木村公認会計士事務所所長)
<資本金>
 2,400万円(授権資本2億5,000万円)

 ハイベック設立直後、5月23日に記者会見が開かれていますが、その概要も紹介します。これも広島市のホームページからの抜粋です。

■記者会見の概要
<社長及び市長コメント>
(大坪ハイベック社長)
 (株式会社ハイベックの概要について説明した後、)最後に強調しておきたいことがあります。株式会社HIVEC(ハイベック)が設立できたのは、何をおいても秋葉忠利広島市長があられて設立できました。また、経済局の職員の皆さんの指導とご支援があったからです。

(市 長)
 元々の発想は広島にGMの調査団が主に3つの分野でこられたわけですが、(→平成13年11月7日の中国新聞によると、GMは平成12年末から広島地区で部品調達、燃料電池など研究開発、デザインの3分野で調査を開始していたようです)そういった話し合いの中で広島の持っている、そして特に広島の自動車関連企業の皆さんが持っているデザイン開発能力、これは技術だけではなくて産業の総体としての様々な能力があるわけですが、そういったところを大変高く評価してもらえているという事実がありました。

<質疑応答>
(記 者)
 スタート段階での売上、受注活動はどの程度の見込みをお持ちなのか、可能な範囲で教えてください。

(大坪ハイベック社長)
 売上については、初年度はまず、人材問題等があるが黒字でスタートしようと、5億から6億ぐらいの計画です。翌年度には20億から25億くらいにいけるのではないか、3年目には70億(が目標)です。1年目は、いろいろな問題があるので、この新しい会社の力がどの程度までできるか、始めは小さくスタートして、その先は倍々ゲームでいきたい。(→市をバックに強気の発言と思われます)

(記 者)
 新興工業国をクライアントとしているということですが、具体的に念頭においている国はあるのでしょうか。それから、GMとマツダの協力の下で新会社の設立準備ということですが、その具体的な協力の中身をもう少し説明してください。

(大坪ハイベック社長)
 新しく秋葉市長が打ち出された地域の活性化ということで、マツダさんも協力していただくということで、今後もいろいろな協力はしていただくようになると思います。念頭においている国の方は、このたび、中国も行くはずだったが、(新型肺炎で)中止になりました。また後で中国も行くようになっています。

(記 者)
 それは、会社として、今後中国と話をする計画があるということなのか、中国の方からということはないのか。

(大坪ハイベック社長)
 それは、市長さんお願いします。(→全権は市長にあると窺えます)

(市 長)
 新興工業国というのは、当面は、韓国、中国を考えています。ですから、会社のPR、それから一般的な経済交流だけではなく、自動車関連の企業とのより緊密な関係を作るために、韓国、中国の企業と接触を始めたということです。

(記 者)
 マツダやGMとの協力ですが、これまでの協力というのはどういうものだったのでしょうか。

(市 長)
 特別、明示的な契約関係があって、何をどうしましょうという以前の問題で、人的な繋がりですとか、今、社長からお話のありました、スタッフを構成する上でアドバイスをいただくとか、人的な面で配慮していただくということです。(→市長の個人的な感覚での発言のように思われます。具体性はなく、既にスタート時点から経営不安は見えていました)

(記 者)
 事業内容ですが、地場の自動車部品メーカーが既にやっている事業と重なって、仕事を取り合うような心配はないのですか。

(大坪ハイベック社長)
 そういうことはないです。中には、両方がやることもあるでしょうが、会社設立の趣旨からしてそういうことはほとんどないです。

(鵜野ハイベック取締役)
 会社の目的そのものが地場に仕事を持って帰るということですので、お互いが競合することはないようにするためにこの会社があるわけですから、そういう形で行きたいと思います。現在、アライアンスは16社ですが、その他にももちろんおられますので、ケースバイケースになると思いますが、話し合いをして進めるということです。一社一社やっていると、へたをすると競争することもあるので、逆にそういうことがないようにできないかということも含めてこの会社があると我々は思っています。

(市 長)
 要するに、この会社を設立する目的の一つである一括受注という形は、例えば、メーカーの方でアウトソーシング(外注)する際に、自動車は非常に複雑な製品ですから、アウトソーシングするにしても例えば部品ごとにということになれば、何万という部品があるわけですが、それを一つずつということではなくて、ある一定の塊をこの会社で引き受けて、個々の調整はしなくても済むように我々が肩代わりしましょうというのがこの一括受注ということですから、アウトソーシングがやりやすいように肩代わりしますよというのが我々の立場です。
 ですからそこに価値がある場合は当然受注を受けることができます。ただ、アライアンスに参加している企業が個々で処理できるような注文があった場合は、HIVEC(ハイベック)が間に入って中間マージンを取るよりは直接やってもらった方が良いですから、直接、話をしてくださいという形でおそらく処理することになると思います。
 そういう個々の企業がやった方が安くて、双方の企業が満足するような仕事まで、HIVEC(ハイベック)が持ってきて、中間マージンを取るようなことはやりませんということです。(→経営の根幹部分に市長が答えています。まさに経営者としての答弁です)

(記 者)
 広島市としては、会社を設立して、これからはどのような形で支援を考えていらっしゃるのか、それとHIVEC(ハイベック)は、自動車業界は非常にコスト競争力も技術競争力も高いのですが、新しい会社としてどのような点を強みにして仕事を獲得して、さらにどのような工夫でコストを下げて、収益を上げていこうとお考えでしょうか。

(市 長)
 広島市として、今までと同様、あらゆる面で全面的に応援をしていきたいというふうに考えています。実は、広島市では、つい最近、科学技術政策大綱をまとめていますが、その中で科学技術を人間的目的のために使っていこうということを言っているわけです。その中で強調されていることが、科学技術の成果を、具体的な製品として市場に歓迎されるような形で出していく、そういうメカニズムを作ろうということが重要な柱の一つになっています。その具体例としてこの会社があるわけです。
 我々としてはそういうふうにとらえていますので、そういった観点からも全面的に支援をしていきたいと思います。特に今後、当面、役立つところは、世界的にこの会社のPRをするということ、そして受注のお手伝いをするというところに力を入れていきたいというように考えています。(→ここまで経営の中枢に立ち入れば、誰が見ても市長の個人的なコントロールの下にある新会社としか思えません)

 以上が記者会見の概要です。ところどころに私の所感を括弧内に述べています。
 ハイベックの設立は、まさに市長の肝いりという感があります。ここでは取り上げませんでしたが、未来エネルギー研究機関誘致構想についても同様です。市長と課長しか知らない部分も多くあるようです。
 組織の代表であり、名前を使われたプロジェクトそのものに深く関与しているのであれば、市民に対して、それなりの対応の仕方があったのではないでしょうか。皆さんはどう思われますか。


(追伸(本市財産の売り払いについて))

 2月6日の中国新聞に「東京の公舎売却へ」とありました。東京事務所職員の公舎として所有・利用してきた住居・マンションの6物件8,220万円相当ということです。次期財政健全化計画でも「未利用地等の売却促進及び有効活用」を掲げており、危機的な財政状況の中でこうした歳入確保策を講じることは当然のことと思います。

 しかし、ここに目をつけるのであれば、それ以前に、まず広島市の市長公館を処分、あるいは有効活用する方向で検討すべきではないでしょうか。市長公館は、縮景園に隣接した敷地面積1,982m2の土地であり、50万円/m2で計算すると約10億円の財産です。これだけの財産を、一個人の居宅として使うにはあまりにもったいないと思います。

 公共事業見直し委員会の学者はさかんに費用対効果を力説していますが、この公館については、費用は、市長が入居する際に数千万円をかけて整備をしているのに対し、効果は、市民にとって限りなくゼロに近いのではないでしょうか。
 過去に、県が縮景園の再整備で広島市に売却を申し入れてきたことがありました。職員に範を示すためにも、市長公館の処分を手がける方が先ではないでしょうか。