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(No.91) 平成16年1月15日
    
『長野県の外郭団体見直しと広島市の公共事業見直し』

 長野県が、「県出資等外郭団体のあり方に関する報告書」を公表されました。知事の諮問を受け、外部の委員4人とアドバイザー1人による『長野県出資等外郭団体見直し専門委員会』が検討・策定されたものです。
 ここでは、広島市の公共事業見直し検討と比較しながら私の思いを述べたいと思います。

 長野県の取組みをみますと、検討に当たり、まず、行政が「見直し方針」を策定し、委員会に託しています。そして、委員会は、担当部局だけでなく、関係団体、関係者、市町村からも幅広く意見を聴取し、種々の検討を重ね、「報告書(素案)」を策定・公表しています。
 そして、特に付言しておきたいことは、この「報告書(素案)」に対するパブリックコメントを求めている点です。このパブリックコメントに基づき、さらに現場の生の声を聞くなど詳細な検討を加え、実態の把握に努めているのです。
 こうした過程を経て、ほぼ1年の期間で延べ23回開催した委員会から最終的な報告書をまとめたわけです。
 さらに、この報告書は、「行政機構審議会」で審査された上で、知事に答申され、県は、これを受け「改革基本方針」を決定することとなっているようです。



 翻って、広島市の公共事業見直しはどうでしょう。見直しに当たっての行政としての基本的な考え方も示さず(美しい…という情緒めいた説明文はありましたが…)、即座に委員会に諮問しています。
 そして、担当部局からの幾度かのヒアリングのみをもとに、わずか8〜9回程度の委員会で是か非かの結論を導かせています。
 委員会からの結論に対しては、市長は即座に「尊重する」と発言し、市民の声を聴くこともなく、また、詳細検討を加えることもなく「市の決定」を下しているわけです。予想されたことですが、市の決定内容は委員会の結論と同じものとなっています。



 単なる議会軽視とかという問題ではありません。決定の背景には二つの大きな問題が存在していると思います。

 一つは、1月9日の大都市制度等対策特別委員会で多くの委員から指摘されたことですが、「組織を蔑ろにしている」ことです。
 この特別委員会では、「何故、見直し作業が市の内部組織でできないのか」という質問に対して、「全市的な判断は難しい」という答弁でした。この答弁に対しては、「縦割りの弊害は企画関係者会議で調整できる。市職員以上に詳しい外部委員はいないし、市職員のやる気を阻害する」という指摘がなされました。やる気については「かなりの頻度でヒアリングを行っているし、費用対効果など新しい技法も身についてきている」ととぼけた答弁で終始しています。
 やらされるのではなく、自らが主体性を持ってやることが重要なのではないでしょうか。管理監督者はこうしたところのマイナス面は考えないのでしょうか。

 もう一つは、「市民も含めた多くの関係者不在」という問題です。
 例えば、メッセ・コンベンション構想を例にとってみます。
 この構想は昭和59年度の「メッセ・コンベンションシティづくり基本構想」からはじまって、昭和61年度にはメセコン拠点整備構想を策定し、市の基本構想、基本計画にも位置づけると同時に、用地確保のための出島沖埋立を港湾計画にも位置づけています。
 その後、公有水面埋立に係る市議会の議決を経て、平成8年3月には、県が約130ヘクタールの埋立工事に着工し(このうちメセコン用地部分は約10ヘクタール)、施設整備や運営面では、専門家や行政、市民代表、関係団体などからなる委員会でハード面やソフト面など多面的な検討を重ねてきています。

 この大きな開発構想が、広島市の新たな街づくり構想にもなり、都市の骨格をなす広域拠点とも位置づけられたのです。埋立用地の全体概成よりも一足先に竣工したメセコン用地も平成13年度には市土地開発公社が先行取得し、その後、社会経済環境の変化を捉えて施設規模も見直し、本年度はその実施設計の見直しにも着手し、実質3分の1補助に相当する有利な起債措置も見込んでいたわけです。広島市の臨界部における街づくりを主導するプロジェクトで、経済面でも、観光面でも、情報・交流面でも、そして文化面でも多くの市民が注目していた事業でした。

 中止にしたことだけを問題にしているのではありません。また、メセコンという単一の施設だけの問題ではないのです。
 これまで、多くの関係者、市民等からの意見を聴いてつくり上げた街づくり構想と、国民共有の財産である公有水面を埋め立てて成し遂げようとした市の将来方向をわずか7人の学者の意見だけで消し去っていいものでしょうか。

 単純にここ数年間の経過を表に掲げます。



 秋葉市長が平成11年2月に就任して以来、土地開発公社による用地の先行取得(約115億円)、施設規模の見直し(展示床面積15,000m2→9,000m2)、実施設計の見直しなど、全て市長自らが決断され、予算編成され、順次実施されているわけです。
 市長の責任はどこにあるのでしょうか。その説明すら現在のところありません。政策ミス、税金の無駄遣いとの批判を避けようとでもされているのでしょうか。

 繰り返しますが、消し去ることに異義を唱えているのではありません。社会経済情勢が変わって変更せざるを得ないことはあります。十分な検討もせず、消し去ろうとするそのプロセスが問題なのです。

 秋葉市長が、平成11年に就任し、まず唱えたことは市民の声を聴くことでした。はじめて政治決断をした新交通の延伸問題もこれを実施しました。その後、この声が特定の声になっているとの批判も多々ありましたが、一応市民の声に耳を傾ける姿勢はあったわけです。

 しかし、今回の公共事業の見直しは、この姿勢さえも消え失せています。
 きちんとプロセスを踏んで、市民を含めた多くの関係者の意見を聴き、事業の縮減だけでなく、将来はどうするのかという戦略的な検討も加えた上での判断でないと広島市の将来はありません。以前にも申し上げたことですが、経費カットだけでは真の意味での健全化には繋がりません。

 以上、2つの観点から私の思いを述べたわけですが、平成16年1月13日の中国新聞『天風録』に次のような記事がありましたので紹介します。
 「市議会が『外部委員の報告の丸のみ』と猛反発した。市側は『丸のみしたわけではない』と説明するが、『市長の顔が見えない』と議会側。広島の街をどうしていくのか。市長の主体性や意思はどこにあるのか、とのいらだちだろう」という内容です。確かに、市長の主体性や意思は見られませんし、組織の力も感じられません。

 同じ記事に、次のようなことも書いてありました。
 「長州藩の藩主毛利敬親は、家臣が何か提案すると『そうせい』となんでも許可した。『そうせい候』とやゆはされたが、敬親は人をみる目と先見性に優れていた。信頼に足る部下だからこその『そうせい』でもあろう。明治維新、終戦に続く第3の変革期。トップの力量が今ほど問われる時はない」

 いかがですか。トップの力量とは、組織としての力量です。市民や多くの関係者の声を束ね、決断・実行していく力です。皆さんはどのように思われますか。

(※1月16日追加1(横浜市の新時代行政プラン・アクションプラン))
 横浜市は、昨年10月に『新時代行政プラン・アクションプラン』を策定し、公表しました。
 内容をみますと、単に人員・組織の削減や行政コストの縮減を第一の目標に掲げた従来型の行政改革ではなく、市の全ての事業・業務について、行政が自ら行うべき公的サービスかどうか、より効率的な執行方法とはどのようなものか、原点に立ち返って検討・見直しが行われたようです。
 委員会方式ではなく、市自らの組織で改革の検討作業を行い、節目節目で議会(常任委員会や特別委員会)にも説明し、また、市民の意見も取り入れ、とりまとめたそうです。
 そうすることにより、職員一人ひとりの改革意識が引き出されていくのだと思います。職員の意欲が感じられます。是非、ホームページでご覧下さい。
 http://www.city.yokohama.jp/me/soumu/gyoukaku/actionplan/top.html

(※1月19日追加2(広島経済界について))
 広島経済界トップの新春座談会がある雑誌に載っていました。
 広島を、人が集まり魅力ある都市にするためには、都市づくりの基本的なコンセプトから考え直す必要があるとの意見で一致しているようです。「このままでは道州制の州都は危うい」「平和ばかりを言っていたらダメだ」「長いスパンで、広島しかないオンリーワン都市をつくらなければならない」との意見が出ていたようです。
 経済界も、広島の危機感を察していただいて、今後は街づくりの中枢に参画してほしいものです。

 また、座談会の最後に、経済同友会がレトロバスを運行したりする観光イベントの話題が載っていました。「同じやるなら、商工会議所や中経連なども含め、経済界が一つとなってやればよかった」との意見です。
 確かに以前は、貨物ヤード跡地の活用など経済界から市(市長、議長)への要望は、経済4団体(中国経済連合会、広島商工会議所、広島経済同友会、広島県経営者協会)連名でなされていたようです。
 しかし、先般も、経済同友会が単独で、南道路の太田川渡河部の構造について橋梁にするよう市長に要望されていました。要望内容の是非はともかく(私は以前申し上げたように地下式でやるべきと考えています)、それでなくても街づくりに対する広島経済界の非力さは以前から叫ばれているところです。今後は、経済界が一体となって、声だけでなく大きな力を発揮していただくよう、切にお願いするものです。