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(No.89) 平成15年12月26日『2003年を振り返って・2004年に向けて』

 「日本経済の回復基調はかなりはっきりしてきた」との声もありますが、地域において実感するにはまだまだ程遠い感があります。地方自治体における回復感はなおさら遠く感じます。景気が好転したと言ってもすぐ市税収入が伸びるわけでもなく、財政危機からの脱出は厳しい道のりと言わざるを得ません。
 加えて、経済と人口との相関をみますと、日本の人口のピークは数年後にやってきて(人口問題研究所の低位推計では、2004年に1億2748万人でピーク、2050年に1億人を割り、2100年には4473万人まで落ちていく)、その後の人口の減少と高齢化で働く人の数が減少し、ひいては経済成長を低下させることも否めないと言われております。

 こうした諸々の状況もあって、広島においては、これまでにない逆風が押し寄せ、今年ほど市民の夢や希望が打ち砕かれた年はなかったと思います。貨物ヤード跡地利用の頓挫をはじめ、メセコンも中止の方針が示されるなど、街づくりの中核施設だけでなく、都市づくりの骨格までもが揺らいだ一年でした。
 しかしながら、いつまでも暗いトンネルから抜け出せないのかと悲観ばかりはしていられません。こうした時代背景にこそ発揮される日本の強みや広島の潜在能力を生かして、新しい成長と発展の機会を捉える強い意思と創造力が求められるのだと思います。

 経済財政諮問会議議員の吉川東大大学院教授は次のように言っています。
 「人口減少の影響だけしか見ないと大きな過ちを犯してしまいます。というのも、先進国の経済成長は労働力だけではなく、むしろ資本の蓄積や技術進歩によってもたらされるものだからです。労働についても働く人の頭数よりも『質』の方が大切です」
 「私たちの身の回りをふり返ってみればすぐに分かることですが、経済の中身は時とともにどんどん変わって行きます。古いモノが姿を消す一方で、新しいモノ、サービスが次々に登場します。こうした新しいモノやサービスを生み出す力、それは『人間力』にほかなりません」

 先行きが暗いのは、一つには、先ほど述べた日本の人口が大きな曲がり角に来ているという点もあると思います。しかし、これは歴史的な流れであり、約260年前にも同様のことがあったわけです(江戸時代1732年の3230万人から約60年間で3000万人に減少したが、徳川幕府はなお半世紀政権を維持し続けた)。長いスパンで見れば単なる回帰に過ぎないと言えなくもありません。
 確かに、人口減を要因にGDPは減少するかもしれませんが、労働力の不足は生産性の向上や高齢者などの雇用で、また消費の縮小は付加価値の高い商品の創造によって補えるわけです。
 つまり、これまでの成長・拡大型の社会システムを、飽和・安定型にうまく移行し、少なくともゼロ成長を維持できれば1人当たりのGDPはむしろ増えていくことになるわけです。

 こうしたことから考えると、全てを否定するばかりでなく、要は、50〜100年先をしっかり見据えることが肝要なのだと思います。知恵を絞り、日本の強みである技術力を生かしながら、勇気と希望をもって新しいモノやサービスを生み出していかなければなりません。
 新しい年『申(さる)』がその起点となるよう、まさに『人間力』を結集する時だと思います。「人+申」で『伸』びる(将来を見据えて飛躍する)年になることを心から期待しております。

 
2004年が、皆様にとりまして良い年になりますよう心からお祈り申し上げます。