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(No.86) 平成15年12月5日『貨物ヤード跡地の顛末』

 貨物ヤード跡地利用方策が頓挫したことについて、市長は、12月1日の共同インタビューで「市としては用地財源として起債の適債性について総務省の、また支援要請(50億円)の駐車場整備に関しては都市再生緊急整備地域の指定による無利子融資の活用について国土交通省のそれぞれ基本的な了解を得るとともに、周辺道路の整備計画を策定するなど、平成16年度事業着手に向けて努力してきました。」と述べられました。

 貨物ヤード跡地の用地取得費は金利を含めて約123億円です。その取得財源として見込んでいた起債とは『公営企業債』で30年償還(10年借替×3回)です。これまで、こうした事例での適用は、全国で1例あるだけの手法と聞いています。

 仮に、このような手法が認められたとしても、市の負担は膨大なものになるはずでした。
公営企業債を100億円借りたとしても(エンティアムへの貸付用地部分の取得財源)、単純に元金の返済だけでも年間3億3千万円(100億円÷30年)以上になります。
エンティアムが市に支払う土地代は年間1億7千万円ですから、不足する1億6千万円(3億3千万円−1億7千万円)は、市民の税金からの支出になるわけです。
 これを償還期間の30年間でみると、49億円〔100億円−51億円(1億7千万円×30年)〕の不足になります。その上、30年間の利息を加えると膨大な税負担になります。
 本来、公営企業債の性格からすれば、収入(地代)に見合うだけの借入れしか認められないはずです。
 その上、エンティアムへの貸付用地を除く残りの用地取得費23億円(123億円−100億円)は、道路用地等ですから他の起債や一般財源に頼らなければなりません。

 このように建設時の一時的な負担は抑えられるものの、後年度の負担はかなりの規模が想定されました。
 この他にも、エンティアム要望分の駐車場整備50億円について無利子融資を活用すると言われていましたが、無利子といいながらも借金は借金であり、やはり多くの後年度負担が生じます。
 さらに、周辺地区においても、道路整備や歩行者のアクセス空間の整備35億円が必要だったわけです。

 この財政逼迫の折、このような負担が本当に可能であったのでしょうか。
 市長は情報公開とか、透明性といった言葉は発していますが、市民に負担をかけるところについては何も発信されないままでした。
 確かに、企業側の責任もあるでしょう。しかし、この事業実施を決められた市長に大きな責任があるのではないでしょうか。
 市民にとって何か良いことがあれば「私がしました」と言い、思うようにならないことは「他人の責任です」ということは通用しません。これでは、まるで、昔流行った「無責任男」と同じようなことになるのではないでしょうか。
 サンフレッチェのサッカー専用スタジアムについても、前言を翻して「市が金を出す約束はしていない」と発言されましたが、自分に都合のよい時だけ市民に一時の夢を与えておいて、それが過ぎれば市民の熱い思いさえ感じなくなっていると言われても仕方ありません。

 ここに、平成14年12月11日のホームページ「貨物ヤード跡地利用構想」の一部をそのまま紹介します。
@  この事業が仮に実現するとしたら、平成16〜18年度が事業期間ということになるのでしょうが(エンティアムの計画では平成19年開業)、同期間はメセコンの事業スケジュール(平成16〜18年度)と全くオーバーラップしています。メセコンの事業費は235億円(土地129億円、規模縮小後の施設整備106億円)、ヤードの市負担分は208億円(土地123億円、公的支援50億円、周辺整備35億円)です。これだけの事業規模を持つプロジェクトが同時並行で動くとは思えません。
A  今やるべきことは、できるかどうかもわからないスケジュールを示すより、平成15年度予算の中で具体的にどのように取り組んでいくのか明確に「頭出し」していくことではないでしょうか。その方がエンティアムにとっても事業継続していくための担保になると思います。これが示せないのであれば、12月10日の答弁の内容は、極言すれば「エンティアムが撤退しても仕方ない」と言っていることと同じことだと思います。
B  例えば、民・民の大きな約束事であれば、トラブルを起こさないよう契約書を作成しますが、官・民でトラブルが多いのは口頭により約束が交わされているからとも言われています。
 この事業で、官と民の約束を担保するためには、少なくとも新年度予算に新規事業として何らかのものが反映されない限り、事業が頓挫する恐れがあるのではないでしょうか。

 1年前に危惧したことが全て的中しました。残念でなりません。
 @で述べているように、メセコン事業とのオーバーラップを困難視され、そのため公共事業見直し委員会でメセコン事業を中止に追いやったのでしょう。これで、ここに述べただけでも積み上げてきた三つの大規模プロジェクトが消滅するのではないでしょうか。
 本当に、市長には熱意とやる気があったのでしょうか。疑問に思われて仕方ありません。本来、トップが出席して調整すべき時に、広島市を離れていることが多く、そのため、やるべきことをやっていないわけです。合併に続く大きな失政です。

 広島市公共事業見直し委員会の副題には『美しい都市広島をつくるために』とありますが、今、広島市民が本当に望んでいることは『活力』『魅力』『元気』といった言葉であり、低迷した広島を力強く再生することではないでしょうか。
 完成されたものは美しくなければならないと思いますが、その過程や基本となるものは、力強く、たくましく、躍動感が感じられるものでなければならないと思います。
 『美しい』と表現される都市は歴史が決めてくれることであり、一所懸命汗をかいて創り上げることが、心底望まれているのではないでしょうか。