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(No.80) 平成15年11月12日『公共事業見直し委員会について』

 11月10日に開催された大都市制度等対策特別委員会で、広島市公共事業見直し委員会の検討状況について報告がありました。『学者』委員会の中間報告をそのまま説明されたわけですが、大いに疑問に感じることがあります。
 それは、行財政に精通しているはずの市幹部が、『市長裁量経費による新規事業の創出』という項で「一定規模の市長裁量枠を設けて…」という説明をされたことです。

 予算を作成し、提案する権限は長にありますが、それは議会の議決を経ることにより成立し、執行できるわけです。広島市の平成15年度の当初予算は全会計で約1兆1千億円ですが、本年3月に、市長提案を議会が可決し、成立したものです。
 予算案の提出にかかる長と議会との関係については、きちんと地方自治法に明記されているわけですが、そうした中で、「一定規模の市長裁量枠」を設けることは、予算制度の根幹を著しく損なうものであって、不適切であるといわざるを得ません。
 市長個人の思いだけで税を使うことはできないのです。これが民主主義の基本です。

 どのようなことが想定されるのか、少し具体的に申し上げます。
 まず、一つ目ですが、「使途を特定しない市長裁量経費として予算を計上する」ことです。
 しかし、予算は基本的にはその使途を明確にして計上するものです。目的のない予算を議会でどのように審議するのでしょうか。それとも、架空の目的でも付して提案されるのでしょうか。

 次に考えられるのは、「予備費へ市長裁量経費を上乗せ計上する」というものです。
 しかし、予備費とは予算編成時に予測できない経費が必要に迫られた場合(補正するまでもない軽微なもの)に備えて、予め使途を特定せずに一定額を計上しておくものです。長の責任において執行できるものですが、その使途にあたっては大変な制限があるものです。(例えば、予測できない災害が起き、緊急に支出をしなくてはならない時など)

 このように、予算は、市長個人の裁量で成立させることはできないのです。
 また、中間報告の中では金額は明示されていませんが、素案の段階では「数十億の裁量経費」という記述がありました。ことの重大さに気づき、金額は消したものの、「市長裁量経費」という文言は残しています。
 委員の皆様は、学識経験者といいながらも、行政のことを熟知していない人たちなのです。もし、全ての透明化を口にするのなら、独断専行的な行政を助長したり、あるいは利権に結びつく可能性のあるような不明確な予算は組めないことを肝に銘じてほしいと思います。

 行政の専門家である職員の皆さんは、このことについてどのように思われますか。

(※11月13日追加(予算について))
 まず、国の予算についてですが、日本国憲法第86条で「内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない」と規定しており、予算の提案権が内閣に属することを明らかにしております。

 これと同様に、地方公共団体の予算については、地方自治法第149条に「普通地方公共団体の長は、概ね左に掲げる事務を担任する」とあり、その中に「予算を調製し、及びこれを執行すること」が掲げられています。
 さらに、同法第211条には「普通地方公共団体の長は、毎会計年度予算を調製し、年度開始前に、議会の議決を経なければならない」とし、同条第2項で「普通地方公共団体の長は、予算を議会に提出するときは、政令で定める予算に関する説明書をあわせて提出しなければならない」とあります。

 このように、予算調製権及び提案権は長にのみ専属する重要な権限でありますから、提案にあたっては、細心の注意を払い、あらゆる観点から慎重に検討を行うべきものであることを敢えて申し添えておきます。