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(No.72) 平成15年9月26日 『消費的経費の削減について』

 今、公共事業(社会・都市基盤整備)が全て「悪」であるかのような社会的風潮があります。
 しかし、社会・都市基盤整備は、より安全で快適な市民生活を営む上で欠くことのできないものです。また、将来の私たちの子や孫に手渡す貴重な財産です。過剰投資や不要不急なものは別として、都市としての機能を確保していくためには、決して止めることのできない事業です。

 現在、市で行われている公共事業の見直しは、大規模プロジェクトに限られているようですが、本来であれば、本市一般会計予算の53.2%を占める消費的経費(人件費、物件費等)から「大ナタ」をふるわなければならないのではないでしょうか。

 投資的経費は、一般会計予算の19.5%ですが、半分以上を占める消費的経費には、思い切った削減策は講じないで、社会的な影響や波及効果の大きい投資的経費に限定して財政健全化を図ろうとしているのは、公共事業が「悪」であるかのような風潮に乗って、メディア受けを狙っているようにしか思えません。

 長引く景気低迷で企業は収益が上がらず、失業率も年々増加し、企業の操業縮小や倒産等で社会不安はピークに達しています。
 市民に痛みを求めるのであれば、まず、我が身から痛みと責任を感じなければならないのではないでしょうか。
 そして、それを断行するには、まず、国や他都市も行っている公社・三セクの統廃合をはじめとする行政組織のスリム化から始めるべきだと思いますが、皆さん、いかが思われますか。


  (追伸1(隗より始めよ))

 漢代の故事に「隗より始めよ」という諺があります。「遠大な事業をやろうとするときには、まず手近なことから手をつけよということ。また、事を始めるときには言い出した人からまず始めよ」という意味だと言われています。
 6月に財政が危機的状況にあると発表されてから、9月にはドイツ・ハノーバー等への訪問、そして10月にはインド方面へ訪問されるようです。
 事業に対しては費用対効果を求められる時に、この視察がどれだけの効果が出てくるのか、明確に示していただきたいものです。
 また、最近、市長公舎の使用について、耳にするようになりました。
 このような厳しい折です。ご自身の居宅が広島市に存在しないのであれば、何も申しませんが、代議士時代には住んでおられた所があります。
 公費に負担をかけないよう市民に求められるなら、このことも心して再考されるべきではないでしょうか。

  (追伸2(歴史を深く吸い込み、未来を想う))
 寺島実郎氏の著書「歴史を深く吸い込み、未来を想う」からの抜粋を紹介します。

 人間の歴史には進歩はあるのであろうか。自動車、航空機からコンピューター、インターネットまで、科学技術の発展を実現した20世紀を体験した者は、確かに科学文明における人類の進歩を確信できるかもしれない。
 しかし、それらを使いこなすべき社会システムの問題となると、我々はそれほど楽観的ではいられない。20世紀の社会主義の実験を見つめながら、一時期ではあるが多くの人は、「歴史には必然的発展過程があり、資本主義の階級矛盾が深化して社会主義革命が起こる」という必然論を信じた。
 しかし、20世紀末の社会主義圏の崩壊は、歴史はそれほど単純ではないことを証明してみせた。いまだに我々は社会システムの制御に関して、歴史の進歩の法則を見出してはいない。

 個人的な思いですが、どんなに頭の良い人間が自身の思いの方向に「カジ」を取ろうとしても、歴史の流れ、積み重ねには逆らえないのではないでしょうか。
 その他にも、共感するところが多々ありましたので、紹介しておきます。

 1900年に4400万人にすぎなかった人口は、現在1億2700万人となった。先輩たちは、この100年の間に戦争という不幸な人口急減の時代を挟みながら、人口を3倍にする20世紀を創造してきたわけである。ところが、日本の人口は2006年にピーク・アウトし、その後は毎年約60万人ずつ減り、2050年には1億人を割ると予想されている。
 もちろん、人口だけが国力の指標ではないが、「緩慢なる衰亡の百年」に足を踏み入れ始めているのかもしれない。その意味でも、20世紀を踏まえ、知の連鎖を確認する中から、逞しい未来を創造する筋道を探求することの大切さを痛感するのである。

 1924年、孫文は神戸で有名な「大アジア主義」についての講演を行っている。これが、生涯にわたり親しく付き合ってきた日本に対する遺言のようなメッセージとなった。
 「西洋の科学文明は武力の文明となってアジアを圧迫しており、これは中国でいう『覇道』の文明である。東洋には道徳、仁義を重んずる『王道』の文明がある。『王道』を基礎として不平等を打破するためアジア諸民族の連合を図らねばならない。日本がアジアに先駆けて不平等条約を撤廃して独立国となったこと、日露戦争に勝利したことはアジア諸国に独立の希望をもたらした。それ故に日本の責任は重い」
 「あなたがた日本民族は、欧米の覇道の文化を取り入れていると同時に、アジアの王道文化の本質も持っています。日本がこれからのち、世界の文化の前途に対して、いったい西洋の覇道の番犬となるのか、東洋の王道の干城となるのか、あなたがた日本国民がよく考え、慎重に選ぶことにかかっているのです」

<参考>…広辞苑より
『王道』… 儒家の理想とした政治思想で、古代の王者が  履行した仁徳を本とする政道をいう。
『覇道』… 儒教で、武力・権謀を用いて国を治めること。