私の思い まちづくり・経済・交通 総務・人事 議  会 教育・文化
福祉・医療 平和・交流 その他 総合メニュー

(No.69) 平成15年9月2日 『公共事業の見直しについて』

 8月28日に都市活性化対策特別委員会の初会合が開催されたようです。委員ではない私にも提出資料は配布されますが、翌29日に広島に帰って目を通したところ、常任委員会初会合資料の焼き直しに過ぎないこの資料からは、広島の元気づけのための戦略は微塵も感じられませんでした。

 委員会では、そういった観点からの質問があったのではないかと思い、質疑のやりとりを聞いたところ、「公共事業見直し委員会」との関係や整合を問う質問ばかりとのことでした。中には「今、こんなプロジェクトを掲げられても仕方がない。この特別委員会は公共事業見直し委員会の結論を待ってやればいい」という意見もあったようで、正直唖然としました。

 公共事業見直し委員会は学者だけで一方的に方向性を出そうとしているわけですが、本来であれば、議会で議決した基本構想に沿って基本計画や実施計画が策定されているわけであり、議会など公の場で、各プロジェクトが位置づけられた経緯や必要性、そしてプロジェクトを延期あるいは凍結した場合の影響、さらには苦しい中にあっても広島市の将来にとって必要なものは何で、どのように進めていくべきなのか、しっかり議論して方向付けしていかなければならないはずです。

 公共事業の見直しが市民不在のまま進められようとしている時、この特別委員会は間接的ではありますが、いろいろな方向から議論できるうる場になるわけであり、公共事業見直し委員会の結論を待つのではなく、意見を申し述べていくという姿勢で臨まなければならないのではないでしょうか。

 企画総務局長は「公共事業見直し委員会の意見がそのまま市の決定になるかどうか分からない。この特別委員会と見直し委員会は、それぞれ並行して前に進めていきたい」と答弁されたようですが、市民にとって大変重要な将来ビジョンの決め方について、幹部もきちんと答弁できない状態で進められているように見受けられました。

 公共事業の見直しについては、私もこれまで幾度も述べており、その必要性は認識しています。しかし、あまりに突然の危機発表で広島市倒産というような状況がすぐそこにあるような印象を与え、それを受けて市民不在の公共事業見直し委員会発足というのは、市長サイドのみで行われた完全に計算された手法のように思われます。

 本来であれば、この事業はこういったところが不合理だから、私ならこうしていくという発信があって、それをもとに市民や専門家の声を聴きながら議論していくべきところを、すべて他人の発信(委員会等)で片付けようとされています。市民に対して、将来ビジョンを見せることなく、選挙時の公約の消化のみが目的のように思われます。

 それから、この見直し作業は既に進行中のことですから、今後の進め方について私なりの意見を申し上げます。
 まず、調整方針についてですが、ただ単にプロジェクトの必要性を担当者から聴いて、市の財政スタミナの枠の中に、これまでの事業推進のやり方(補助・起債などの事業スキーム)をそのまま当てはめて、スタミナオーバー分は中止か凍結でいいということではないと思います。「都市を再生し、経済を元気にする」戦略が必要なのではないでしょうか。

 それと言いますのも、今の経済状況はデフレ基調で、需要減→物価下落→減収・減益→リストラ→需要減→物価下落という悪循環(デフレスパイラル)に陥っているとも言われています。政府は、構造改革を断行し、リストラを大量に始めてから既にかなりの期間が経っていますが、景気は一向に回復せず消費が冷え込んだままです。

 経済政策については種々意見があるようですが、私が8月27日に受講した政策秘書担当研修において、明海大学の高橋乗宣教授(三菱総研OB、広島県出身、学校法人崇徳学園理事長)は「今やデフレスパイラルに入っており、みんなが守りに入って、カネを使わない。これを打破できるのは公共投資だ」と述べられていました。
 また、精神科医でありながら経済学の本も執筆している和田秀樹氏は、専門の心理学の視点から次のように分析しています。最近の著書『元気がでる経済学』からの抜粋ですが、「これまでの不況は供給不足や海外貿易の不振から起きた。だが、今の不況はリストラ不安による国内消費の縮小が大きな要因だ」「不況の原因は消費マインドの冷え込み。みんなの財布のヒモを緩めるには将来の不安をなくし、安心してモノを買えるようにすればいい」といった内容です。
 これらは、一つの仮説なのでしょうが、経済や政治の専門家の多くが述べていることです。

 確かに、規制緩和や行政改革といった構造改革を進めることも重要なことですが、今、最も重要な経済政策はデフレの阻止であり、構造改革を進めつつ、需要喚起にも資する対策が欠かせないのではないでしょうか。
 広島市の財政も危機的状況ではありますが、だからといって、公共事業を削るだけ削って、経費を切り詰め、プライマリーバランスをよくし、基金の積立にも目処が立てば、あとは何もしなくていいということではありません。

 先に述べた「都市を再生し、経済を元気にする」というのは、規制改革や都市再生に向けた国の制度を積極的に取り込んだ社会基盤の整備を戦略的に推し進めていくということです。
 特別委員会に提出された資料も、今あるプロジェクトを単にちりばめるのではなく、庁内の横断的な取り組みにより推進のための戦略プロジェクトを構築し、それを議会でも議論し、それを公共事業見直し委員会にも物申していく姿勢が必要なのだと思います。
 公共事業見直し委員である学者が、各局の担当者からヒアリングするだけでは、本当に市が進めたい方向は示せないと思います。

 特別委員会では、PFIの可能性についての質問があったようですが、財政逼迫の折、都市活性化の面からも、公共事業見直しの面からも、こういった視点からの検討が急務であり、戦略プロジェクトに盛り込むべき内容ではないでしょうか。答弁は依然として研究段階とのようでしたが、早く検討段階、調整段階へと移行してほしいものです。

 秋葉市長は、少数の市民の意見を聴いたり、特定の学者の意見を聴いたすることはよくされていますが、多くの市民の意見を集約して判断するという民主主義の基本を蔑ろにされているようです。
繰り返しますが、学者だけの市民不在の委員会で、偏った方向付けだけは避けなければなりません。
 要は、構造改革の中で、いかにバランスよく公共事業ができるような手法を見出せるかということだと思います。
 また、これは市の基本構想や基本計画にも関わることです。つまり、議会の承認事項にも匹敵することだということを改めて申し上げます。

  (追伸1(市長の海外出張や夏休暇について))

 市長の海外出張や夏休暇について調べてみました(別添資料参照)。
 海外によく行ったり、長い夏休暇をとること自体悪いとは言いませんが、このような厳しい時期だからこそ、広島の将来を他人に丸投げすることなく、自らが先頭に立って仕事を行う意気込みを見せてもらいたいものです。

  (追伸2(湯布院町長等の逮捕について))
 8月28日の朝日新聞の夕刊で、「湯布院町長と温泉組合の理事長が逮捕」「防災無線で収賄」との見出しを目にしました。
 町民の中には「入札制度を含めてまちづくりを問い直すきっかけにすべきだ」との声や、「役場内にはムラ意識からか、町長がやることはすべて正しいという体質があったように思う。湯布院の『癒しの温泉郷』というイメージには、中身のない虚像のような面も感じる。まちづくりを見直すチャンスだ」と話している人もいるようです。
 同じ体質に浸っている人がいなければいいが…と危惧してしまいます。