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(No.24) 平成14年10月21日 『経済交流について』

 10月13日のNHK特集で、「自動車大国への道」と題して、中国が外国資本を利用しながら、これまでの部品生産産業から巨大な自動車産業の構築へと突き進む姿を放映していました。人口13億人を抱え、既に家電やオートバイでは世界のトップシェアを握っている中国が、自動車でも一流メーカーへと変貌しようとする国家戦略と企業の意気込みが伝わってきました。
 中国は、部品生産の面では、既に自主的に改良できるほどの高い技術力を持っています。また、自国メーカー育成のため、外国メーカーが進出しても、国が資本・経営権や外国製部品のシェア率に規制をかけるなど、外国メーカーを使いながら自国企業を育て、ゆくゆくは、輸出さえも睨んでいるようです。
 このように、「世界の工場」と称される中国では、平成13年12月のWTO(世界貿易機関)への加盟を契機に、日米欧の自動車メーカーが進出するという企業戦略と、それを利用して自動車産業の裾野を広げようとする中国の国家戦略が見事に融合したダイナミックな産業の再構築が行われているようです。

 言うまでもなく、広島も自動車関連を基軸とした産業構造となっておりますが、マツダは早くから中国での生産に力を入れています。平成4年には海南省の自動車メーカーと提携し、昨年6月からは海口(海南省)で本格生産を開始し、今後は長春(吉林省)への進出も予定されているようです。
 また、部品メーカーも「世界最適調達」の流れを受け、高品質、低コストによる受注獲得に生き残りをかけた競争の最中にあります。ただ、部品メーカーの中国進出には高いハードルがあるようです。マツダの協力部品メーカーでつくる東友会(協)は商習慣の違いやタイミング・場所の選択の他、現地企業との合弁が前提となっていることなどから、事業展開の難しさを実感されているようです。
 もちろん、こうした企業の進出は、国内生産の空洞化に繋がる恐れもあることから、企業のみの問題ではなく、産官が共通する問題として将来を見通した戦略が必要なことは言うまでもありません。

 平成12年10月、本市はデトロイトにビッグ3(GM、フォード、ダイムラークライスラー)を訪ね、部品調達、研究開発等の交渉を進めました。これを受け、昨年7月にはGM(いすゞ、富士重工、スズキと資本提携)の幹部が来広し、東友会や市大、広大、市工業技術センターなどと接触し、新たな道が開け一歩前進した感はあります。これは、アジアをターゲットにしようとする双方のタイミングが一致したもので、それだけに今後大切に進めなくてはならないものだと思います。
 ただ、今広島が官を中心に進めているのは、アメリカやヨーロッパなどランダムなミッションの派遣であり、企業の意を汲んだ戦略が見えていないのではないでしょうか。企業がやろうとしていることを、官が技術開発面、流通・物流面でもっとサポートするような足元を見つめた支援活動が必要と考えます。

 例えば、北九州市では、早くからアジアの成長を予測し、競争時代を先取りした海運物流機能の強化に取り組んでいます。シンガポール、釜山と連携しながら、神戸港に変わるアジアのハブ港を目指し、その中で、独自の戦略として、国が進めている構造改革特区を受けた「国際物流特区」構想を掲げ、国際競争力に打ち勝つための施策を進めようとしています。
 アジアに近い地理的優位性を背景に、ハード面では既存の充実した港湾、道路等を活用し、ソフト面では産業ノウハウの活用と規制緩和(通関・検疫の24時間化、土地利用の緩和、関税自由区域の設定等)を手法とした特定区域を核としたもので、『迅速化』『低コスト化』に着目した「国際競争力のある持続可能な循環型産業集積(自動車・家電のリサイクル、中国市場を睨んだ自動車部品モジュール化、ハイブリッドなど省エネ新産業、IT関連など)」が主な内容です。国際競争力の回復に規制緩和を取り入れ、アジアの窓口という明確な目標を掲げ、まさに時流にマッチした戦略と言えます。

 広島と中国の関係を考えた場合、広島は北九州ほどの立地条件にはありませんが、地域の企業はアジアをターゲットとして生き残りをかけ、懸命に最大限のメリットを追求しています。自動車産業だけでなく、例えば大連(遼寧省)の工業特区にはマルニ木工や日本メディカルサプライ、三島食品が進出するなど独自の取り組みを行い成功しています。また、「世界の工場」の象徴と言える広東省は、その輸出の6割は外資系企業というほど海外の目が注がれており、広島の企業も関心が高いと思います。
 アメリカもヨーロッパも重要ですが、今目標とすべきところはどこか、広島の産業でサポートできるのは何か、そのためにはハード面・ソフト面で何ができるのか、といったことを追求しなくては、北九州が目標としているような「国際競争力のある持続可能な産業育成」には繋がらないと思います。

 私は、広島で行政がサポートできるのは上海であり、深圳(広東省)、大連(遼寧省)だと思っております。上海は、言うまでもなく中国のダイナミックな経済成長を支える中心的な都市であり(一人あたりGNPは北京を上回って中国一)、深圳は、農村部からの人の移動を受け入れ豊富な労働力と市場をあわせ持った「世界の工場」の核になり得るところです。上海、大連はもちろん、深圳も香港に隣接していることから、広島空港からの定期便で直接繋がっているわけです。
 また、広島は重慶と姉妹都市提携していますが、今後一層交流を推し進めようとするのであれば、広島空港からの直行便を誘致すべきです(名古屋−重慶はあり)。交流インフラの整備に力を入れなければ、姉妹都市の交流協定書の本当の価値は生まれてこないと思います。
 ターゲットを絞って、広島も北九州のように産官のしっかりとしたプロジェクトをつくり上げるべきです。そして、1月1日のホームページでも述べましたが、スタンフォード大学でやっているようなビジネスと直接結びついた「学」の役割というのも視野に入れるべきです。

 9月議会の一般質問で、広島港の国際物流特区創設の提案に対し、「立地する事業者や港湾関係者からの特段の規制改革ニーズは顕在化していないから…」と答弁されましたが、受身の態勢ではなく、官民が共につくり上げていく姿勢が必要だと思います。
 経済交流の基本は、相手方と、行政、企業の信頼・信用が根底にあるはずです。そのためには、企業と企業だけでなく、その間に行政という信用機関が活性化に繋がる『接着剤』になるべきです。そして、行政は即効薬にならずとも、持続可能な産業基盤の構築をこつこつと積み上げていくことが必要だと思います。
 今広島市がやっていることは、戦略抜きで、毎年、毎年、目先を変えてミッションを派遣しているだけであり、市民や企業に対するパフォーマンスに過ぎないのではないでしょうか。

 恒常的に足元を見据えることをもう一度考え直さなければならないし、このことが地方の自己責任による活性化にも繋がっていくと思いますが、皆さんはどう思われますか。


  (追伸1)

 9月議会で、議員提出議案「朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)による日本人拉致問題の全容解明と早期解決を求める意見書案」を全会一致で可決し、衆参両院議長、内閣総理大臣等へ強力に要請しました。不法・不当に拉致され、日本に帰ることのできなかった人たちとその家族の無念さを思うと、このような行為は断じて許されるものではなく、全国民の共通の思いだと思います。
 市長は、「人道」「人権」という言葉を用いて、平和宣言などで内外に核廃絶や平和を訴えてこられました。しかし、この北朝鮮の拉致問題については、公式にも個人的にも一切見解を発表していません。また、先日北朝鮮が核開発を認めたことについても沈黙を貫いています。大国の核も重要な問題ではありますが、アジアの国々の核、特に隣国の核は私たちにとっては脅威であるはずです。それにもかかわらず、何故かアジアの核には言及しようとされません。
 「人道」「人権」「平和」…相手方によって使い分けのできる言葉ではないことを自らがよく知るべきではないでしょうか。
  (追伸2)
 10月19日に第一選挙支部の総会が開かれ、地元の岸田文雄衆議院議員のほか、安倍晋三内閣官房副長官や塩崎恭久衆議院議員がそれぞれ北朝鮮問題や金融問題など時宜を得た講演をされました。
 その中で、岸田衆議院議員が広島の都市再生法に係る対応について厳しい指摘をされました。内容は、広島が都市再生の大きな柱である地域指定のための申請さえも行わず、大きく出遅れているというものでした。
 概略を申し上げますと、都市再生特別措置法は今年の6月に施行されたわけですが、その中心は「都市再生緊急整備地域」を指定し、土地利用などの規制改革、民間プロジェクトへの金融支援を行い、民間主体のスピーディーな開発を支援するというものです。現在、この「都市再生緊急整備地域」には、一次で17ヵ所、二次で28ヵ所が指定され、税制優遇や用途地域の規制緩和がなされ、金をかけないで民間活力による都市の再生が進められようとしています。広島は、JR広島駅前Bブロックや緑井駅周辺再開発について指定の準備を進めていましたが、結果として政令指定都市ではただ一つ広島だけが地域指定に取り残されてしまいました。
 今の社会情勢を何とか打開しようとする場合、最優先でやるべきことは都市の活力を復活させることであり、民間の力を活用して行われるこのプロジェクトは、その波及効果により経済全体の活性化にも繋がると期待できるわけです。本文でも述べましたが、今、世界はヒト、カネ、モノをどう呼び込むかにしのぎを削っており、このことは都市と都市の競争においても同じことが言えます。いかにして都市の活力を復活させるのか、そのためにはどんな手法を用いたら効率的で効果的なのか、その一歩を踏み出すための激しい競争をしているわけです。また、小泉内閣も構造改革を進める中で、都市再生を都市問題解決の大きな柱としており、これをうまく進めることにより、土地取引も活発化し不良債権問題の解消にも寄与すると言及しています。
 広島の地域指定については、指定範囲の問題やタイミングの問題などがあったのでしょうが、あまりに、都市の活力の復活にかける意気込みが欠けているのではないでしょうか。また、国に対して「単なる事務手続きの遅れ」と発信したことは取り返しのつかないタイムラグになっていることを知るべきです。このことが「広島の対応は遅い。熱意が感じられない。」と受け止められるもとになっているのです。都市再生の問題だけではなく、市行政全般に言えることです。このままでは広島は衰退の一途を辿るばかりです。今、市長が向いている方向は現実を回避し、本当に市民が必要としている問題を真正面から捉えようとしていないのだと思います。


(※10月24日追加(折鶴の保管について))
 10月21日の総務委員会で、永久保存を前提とした折鶴の試験的保管についての説明がありました。年間10トン(1万束)寄せられる折鶴を、現在は中島庁舎に山積みの状態で一時保管されていますが、11月15日からは旧日銀広島支店で試験展示されるそうです。
 委員会は、一時保管されている中島庁舎を視察しましたが、ビニール袋に入れられた折鶴が無造作に山積みされており、現場を見た人は、心が痛んだのではないでしょうか。各委員は言うに及ばず、担当部局の職員でさえ、そのように感じていたようです。市長は現場を直接見ていないということですが、是非足を運んでほしいと思います。2月議会で、折鶴を折った人の心を縷縷述べられたときの心境に、もう一度立ち返ってほしいと思います。
 NPOの「おりづる広島」は、広島に送られてくる折鶴を再生して郵便はがきや名刺を作っています。寄せられた人々の心を大切にするのであれば、こうした方法も含めて、3年間の試験的保管中に最善の方策について再考されたらいかがかと思います。




(※10月24日追加(北朝鮮の核開発について))
 10月22日に、北朝鮮の核開発に係る抗議文をやっと送られたようです。アメリカが10月16日(現地時間)に発表し、日本では翌17日(日本時間)に報道されました。大国の核問題であれば、すぐ反応されるはずなのに、5日も経過してからのことだったようです。やはり、大国とアジアの核問題は区別されているのでしょうか。


(※10月29日追加(構造改革特区について))
 10月29日の大都市制度推進対策特別委員会で「構造改革特区の推進」を初めて国要望に盛り込むことの説明がされました。
 「構造改革特区」とは、特定の地域に限定した規制改革を行うことにより、地域経済の活性化を図ることをねらいとしたもので、今臨時国会において法案審議がされることになっています。この制度導入による広島経済の活性化への取り組みに、ようやく重い腰を上げられたようです。