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(No.20) 平成14年9月19日 『大規模プロジェクトの方向』

 秋葉市政がスタートしたのは平成11年2月で既に3年半が経過したわけですが、この間完成した大規模プロジェクトは、留学生会館、西荒神地区市街地再開発、紙屋町地下街、袋町小学校改築、まちづくり市民交流プラザ、広島西風新都線などがあります。また、秋葉市長がこの3年半で方針決定した新規事業は、平和大通りリニューアル計画、新たな公共交通体系づくりの基本計画、大手町一丁目1番地区市街地再開発、西部療育センターなどいくつか上げられます。
 しかしながら、これらの事業はいずれも前市長から引き継いだものばかりで、秋葉市長自らがレールを敷いたプロジェクトではありません。つまり、竣工式でテープカットしたり、政策決定と称する記者会見で方針決定の弁を発する姿は見かけますが、自らが道筋をつけた事業は皆目ないということです。
 1期目だから仕方ない、財政が厳しいから打ち出せないという反論もあると思いますが、秋葉市長の指導力のなさ、決断力のなさが、広島の将来の方向付けに大きな足かせとなっているので、繰り返し申し上げているわけです。

 去る9月12日、貨物ヤード跡地利用について、提案側のチーム・エンティアムと広島市との協議が行われました。
 マスコミ報道を見る限り、屋根架けに関しての姿勢の違いが浮き彫りになり、官民の溝が狭まるどころか、方針決定の時期次第では撤退の可能性を示唆されるなど、スムーズな事業化は程遠いと感じたのは私だけではないと思います。
 貨物ヤード跡地利用の早期決断の必要性については、これまで私のホームページでも縷縷(るる)その考えを述べてきましたが、ここでは大規模プロジェクトの政策方向について、改めて、今行政がやるべきことは何かといったことについて、述べてみたいと思います。

 まず第一に、市の財政状況が如何に厳しいか、その現状認識を職員一人一人、議員、そして市民にもっと浸透させることです。現在の市の予算のうち、投資的経費は9月議会補正後に1,200億円を超える規模ですが(一般会計のみ)、これはアジア競技大会で重点投資していた頃の半分以下の規模です。この中には、もちろん生活直結型で絶対欠かすことのできない道路や福祉などの関連整備がかなりの割合で含まれているわけです。バブル期であれば、起債(借金)をしてでも構想を実現に導くことはできたわけですが、現在は、仮に国の補助金や起債が認められても、その裏負担となる一般財源(税等)は限られており、市の貯金として蓄えていた基金も底をついている状態です。
 こうした現状認識が総論としては分かっていても、個々のプロジェクトの推進においては行政の縦割り組織の弊害が総合調整を不能にし、また「わが町の道路整備と財政状況とは無縁のものだ」という意識が染みついているのではないでしょうか。まず、こうした財政の厳しさを一人一人に深く浸透させることが重要な点だと思います。
 第二に、こうした状況の中で、今何が求められ、そのうち何をしたら効果的で、どういう手順でどこまでできるのか、といったことについて、組織を上げて検討し、プロジェクト実行のための指針を示すことです。個々のプロジェクト単位で検討するのではなく、主要プロジェクトを類型化し、その実行の是非と、実行するとした場合の手順をプログラム化する作業を横断的な組織で取り組むことです。
 そして第三に、このプログラムをもとに議論し、その結果を踏まえて総合的な判断を下すことです。

 これまでの取り組み方を見ると、単に財政フレームと大規模プロジェクトの実施可能額が示され、個々のプロジェクト毎に検討が進められ、財政健全化計画期間中はなかなか打ち出せない状況が続いていました。しかしながら、市政を今後どの方向に向けていくのか、といったことについて、空白期間を置いていいものでしょうか。
 貨物ヤード跡地利用について言えば、今回その決断の時期が「年内」までと明確に示されたわけですが、当然、これまでの検討経緯からして、今述べた手順を踏んで総合的な判断の一環として決断されるべきものです。いや、むしろこれまで既に検討されてなければならなかったはずです。特にこの問題については、広島の将来に大きな灯をともす明るい材料だと多くの市民が期待しているものであり、政治的決断が大きなウェイトを占める案件だと思います。
 先日の第1回目の協議には大きな失望感を抱いたわけですが、仮に、このまま何もしないで「年内」を過ぎると、明らかに市民は不信感を募らせることになると思います。こうした時期だからこそ、市民に直接選ばれた責任者がやるべきことは何か、自問自答していただきたいと思います。
 他のプロジェクトも同様です。例えば、平和大通りリニューアル計画も全てを一気に手がけることはできませんが、段階的な手順を踏んで臨めば全体像は描けるわけです。総合リハビリセンターも、社会復帰を望んでいる人のため、一日も早く着手しなければならないのではないでしょうか。こうした厳しい情勢の時こそ、縦割り行政の弊害を排除して、横断的な取り組みによって総合調整を図るべきだと思います。

 ハードの取り組みだけではありません。今後の広島のまちづくりは、都市インフラの充実はもとより、ソフト面、住みよい暮らしづくりのための仕組みづくりが必要だと思います。
 秋葉市長も男女共同参画や20人学級などいくつかの事業を打ち出していますが、具体化には程遠いものばかりが目立っています。唯一、IT化が他に先駆けて進んでいるようにも見えますが、これとて真に実効性に富んだものとは思えません。と言いますのも、仮に、民間企業であれば、IT化によりオフィスの合理化が進めば、余剰の人員や労力は他に廻すことを実行しているはずです。公務員はサービス業であり、IT化によって住民によりきめ細かいサービスが提供されなければならないはずです。今のところ、市長からは住民サービスを徹底化することの指示は見受けられません。本来であれば、セットで推進していくべきはずなのに、職員の質の向上やサービスの向上において目にみえるものは全く感じられません。真に実効性のあるものにするには、住民サービスの向上を市行政に課せられる義務として捉え、積極的に履行していくよう努力すべきではないでしょうか。

 いずれにしても、ハード・ソフトの戦略を推し進める中にあって、厳しい情勢の中で、広島に夢をもたらす実効性のあるプロジェクトは打ち出す必要があります。プロジェクト毎の市民の声を聴くのもいいことですが、特定の人・声に偏りすぎている嫌いがあります。今やるべきことは、市長の指示のもと、企画・財政をヘッドとした横断的な組織を編成し、全庁上げた取り組みをすることだと思います。
 今こそ広島の将来の方向性を見出さないと、広島の魅力は他都市に比べてどんどん薄れていくと思いますが、皆さんはどう思われますか。


  (追伸1)

 長野県知事関連で、読売新聞は「当選時の県民の支持を背景に、議会も自分についてこざるを得ない、と考えていたとしたら、驕り以外の何物でもない」と書いています。
 産経新聞には、「理念先行のパフォーマンスだけが目立つ田中流の言動や手法が、いずれ行き詰まりを見せることは、誰の目にも明らか」とあります。
 「このまま県政の停滞が続けば、いずれ田中氏の人気は衰えるだろう」と予想する学者もいます。
 このまま政治の停滞が続けば、車の両輪を機能させようとしない一方の牽引者の力量、責任はいずれ市民の目に写ってくる、ということだと思います。

  (追伸2)
 縮景園をバリアフリー化しようとする会の皆様が、縮景園を車椅子で回遊できるようにという要望をされたようです。
 この名勝をバリアフリー化して回遊できるようにするという希望は十分理解できます。
 しかし、文化財保存の意義、史跡名勝天然記念物の保護、現状変更にかかる制限など文化財保護法の種々の制約がかかっています。少し発想を変えて、縮景園のように園路の狭い所ではハード面のバリアフリー化だけではなく、ボランティアや職員による介助等、ソフト面で障害をもった方々のために何ができ、何をすればいいのか、よく考えなければならないと思います。
 ところで、この要望に猪爪企画総務局理事が二度も同行していることに理解し難いものがあります。縮景園は県が管理している施設であり、要望に同行するのも職務かもしれませんが、市の職員としての立場、権限、職責等よく考えた上で行動すべきではないかと思います。また、広島に来て間もない理事としては、仕事が山積しているのではないでしょうか。

 (参考1)文化財保護法第1条(目的)
 この法律は、文化財を保存し、且つ、その活用を図り、もって国民の文化的向上に資するとともに、世界文化の進歩に貢献することを目的とする。
 (参考2)同法第80条(現状変更等の制限及び原状回復の命令)
 史跡名勝天然記念物に関しその現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、文化庁長官の許可を受けなければならない。(以下、省略。)
 (参考3)広島市職務権限規程第11条(専門職位の職務権限)
 理事は、局長の命を受け、局の所管事務のうち特に重要な事項の企画に参画し、又は、局長が定めた専門的な知識・技術を必要とする事務若しくは複数の局に関連する事務事業の総合調整の遂行にあたるとともに、所属職員があるときは所属職員を指揮監督する。この場合において、理事は、局長が定めるものについては局長と同等の職務権限を行使するものとする。(以下、省略。)