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(No.11) 平成14年5月24日 『サッカー王国広島の復活について』

 4年に1度開催される世界最大のスポーツの祭典、2002FIFAワールドカップを目前に、全世界の目が日本と韓国に注がれています。会場となる各都市は熱気で沸き上がっているようですが、今、思い出されるのは、5年前、今世紀中に二度と訪れることがないであろう開催地誘致のチャンスを、広島が逃した時のことです。
 言うまでもなく、広島ビッグアーチへの屋根架けの問題でした。当時は150億円とも言われた施設整備費が、厳しい財政状況と相まって大きなネックとなり、賛否両論の中、整備を諦めた当時の市長は英断を下したと評されました。しかしながら、地方都市で初めてアジア競技大会を成功させた広島のスポーツ施設が、多目的仕様のためとは言え、いかに時流に乗り遅れていたのかと、かえすがえすも残念でなりません。

 広島は、昔はスポーツ王国、中でもサッカー王国としてその名を全国に轟かせていました。中学から高校、社会人まで全国制覇を成し遂げたチームを抱え、多くの著名なサッカー選手を輩出していました。全日本の監督を務め、後には日本サッカー協会会長にも就任した長沼健氏(広大附高出身)をはじめ、宮本輝紀氏(山陽高出身)、森孝慈氏(修道高出身)、佐伯博司氏(基町高出身)、そして何と言っても日本リーグ5連覇を果たしメキシコオリンピック銅メダルの立役者、東洋工業(現マツダ)の小城得達氏(広大附高出身)など名前を挙げればきりがありません。馴染みがない人もいるかも知れませんが、今で言えば、中田英寿や小野伸二、森島寛晃(唯一広島市出身のW杯日本代表)といったトップレベルの選手を広島から輩出していたのです。
 もともと広島がサッカーどころと言われていたのは、日本にサッカーが普及された頃、日本サッカーの宗家的な存在といわれた東京高等師範学校の流れを汲む広島高等師範学校で、早くから課外授業としてサッカーが行われ、さかんにサッカーの研究や普及に努めていたという歴史があったからです。
 こうした歴史を踏んで、その後も広島のサッカーが高いレベルを保っていたのは、企業の努力や学校関係者の熱意もあるでしょうが、当時としては日本一の芝生が自慢の広島総合グランドという他に誇れる地域スポーツの核を持ち、サッカーそのものが地域に根づいていたからだと思います。今でこそ、サッカー熱は全国に広がっていますが、当時の広島ではあちこちでサッカーを楽しむ姿が見られ、子供たちを対象としたサッカー教室も盛んに行われていました。あのサッカーの王様ペレが、広島総合グランドに来てサッカー教室が開催されたほど、広島とサッカーのつながりは強かったのです。そして、地域や学校、企業などが支え合い、みんなでサッカー王国を築き上げていたのだと思います。

 平成5年(1993年)に発足したJリーグも、こうした地域に根ざしたクラブづくりを目指しています。Jリーグの開会宣言では「素晴らしい緑の芝生で、老若男女、運動が得意な人も苦手な人も、それぞれのレベルに応じて、優れた指導者のもとに好きなスポーツを楽しめるクラブづくりを目指し、同時に世界に通用する選手を育てていく。」という夢を語っています。
 私は、Jリーグが発足してから、もともとサッカー熱が高い広島に、プロ球団を中心とした地域に根ざしたシステムづくりの提案ができないものかと考えていました。それは、一つは、サンフレッチェ広島の地域社会への貢献、もう一つは、地域を上げたサンフレッチェ広島への支援、そして三つ目に、サッカーを生涯スポーツとして楽しめるような寄り合い場所的な地域づくり、といった趣旨から発想したものです。そして、これらのより所となるような「ハード・ソフト両面からの地域の核」をつくっていく必要があるのではないかという提案です。

 まず、「ハード面の地域の核」とは、サンフレッチェ広島の本拠地となり、市民との交流拠点になり得る『サッカー専用スタジアム』の整備です。現在、広島市には、2つの公認の陸上競技場があります。一つは、広島ビッグアーチであり、アジア競技大会のメイン会場として、全ての機能を備えた本格的かつ多目的なスタジアムです。もう一つは、広島スタジアムで、広島県の陸上競技場として、これまで市民・県民のスポーツ祭典のメッカとして親しまれてきた競技場です。
 ここで、私が提案したいのは、広島スタジアムをサッカー専用スタジアムにし、サンフレッチェの後援会をはじめ市民といっしょに盛り上げられないものか、ということです。専用スタジアムにすれば、サポーターも盛り上がるし、選手育成やスポーツ振興にも有効だと思います。そしてなにより地域の活性化にも繋がる場所づくりにもなります。
 広島スタジアムは、料金的にも使いやすいし、都心に近いという利点があります。公認陸上競技場が1市に2つ必要でしょうか。思いきって、トラックを廃止して、スタンドを設け、屋根も架ければ、選手と観客が近くなり、臨場感あふれる専用スタジアムに生まれ変わるのではないでしょうか。そうすれば、甲子園の銀屋根のように観客の声援がスタジアムを包み、自然と選手も発奮し、熱を帯びた試合も期待できると思います。「専用スタジアムで見たことで、サッカーの面白さに目覚めた。」といった声もあるほど、こうした効果は絶大だと思います。
 広島スタジアムがある観音地区には、将来、広島南道路も通り都市間を結ぶ交通は各段に向上します。駐車場が少ないという難点はありますが、スタジアムの南側に市が管理する土地があります。県がサッカー専用スタジアムに改修するのであれば、市はここを整備して駐車場にすることも考えられるわけです。
 カープが球場を貨物ヤード跡地へ移す動きがある中で、こうした思いきった策をサンフレッチェについても早急に考えるべきだと思います。テレビで見る他のスタジアムの熱気は大変なものです。まさに、一体感あふれるステージが展開されています。広島も、こうした臨場感あふれるステージづくりをして、ファンやサポーターの拡大を図ることが必要ではないでしょうか。3〜4万人という大型のものは必要ありません。2万人程度の器で常に8割が埋まって、選手と観客が一体となれるステージづくりを目指すべきと考えます。
 サンフレッチェ広島の後援会会長 宇田誠さん(轄L島銀行取締役会長)も、サンフレッチェとサッカーが広島に根づく強力な原動力となるような専用スタジアムを熱望され、その実現に向けて東奔西走されています。
 但し、広島ビッグアーチとの競合といった問題もあります。ビッグアーチも交通アクセスが改善され、料金的にも工夫するなど、誘致競争に打ち勝つために努力しているのは分かります。しかし、この際、思いきって両競技場の役割分担を明確にし、それぞれに特化した形で共存共栄できる道を探り、サッカー人口の増加、そして市民スポーツの底辺を拡大することが先決だと思います。

 そして、もう一つ、「ソフト面での地域の核」は、地域や市民を取り込んでチームを支えていく体制づくりです。広島には全国初の試みでスタートした『トップス広島』という組織があります。地域に根ざしたスポーツクラブづくりを目指して、サッカーのサンフレッチェ広島、バレーボールのJTサンダース、ハンドボールの湧永製薬と広島メイプルレッズ、バスケットボールの広島銀行ブルーフレイムズ、バドミントンの広島ガスの全国トップレベルの6チームが競技の枠を超えて連携しようというものです。
 トップス広島がボランティアで子どもたちの指導にどんどん出かけることにより、トップス側からは地域密着型の社会貢献を進め、一方、地域や市民はチームを支えていくという双方向で支え合う体制をつくっていけば、沈滞気味と言われる「広島のスポーツ王国の復活」に繋がると思います。
 双方向の支援により、ジュニアからユースのレベルアップなど競技力の向上を図られるとともに、スポーツ活動を通して、子供たちは、健全な体づくりや社会生活を営む上で必要な思いやり、優しさ、協調性、連帯感、責任感など人間形成に大きな影響を与えるものと思います。さらに、こうした関係が生まれることにより、地域の人にも自分たちのチームを支えていこうという意識が芽生え、それが郷土愛を育み、応援に足を運ぶ回数も多くなり、クラブ側もこれまでの広告塔的な意味合いが強かった企業スポーツからの脱却が図られるものと思います。
 広島では、過去にカープの球団経営が悪化したとき、地元マスコミの呼びかけで「樽募金」が始まり、市民が一つになって球団を支えてきたという歴史がありますが、その時からカープを我々市民の球団として身近に置いたのだと思います。
 また、先日、ハンドボールのメイプルレッズは、地域に根ざした総合型のスポーツクラブを目指し、NPO化の申請を行っています。今後は、子供たちの指導、普及に力を入れ、スポーツ王国広島の復活のためにチームをあげた活動をしていくとのことですが、地域スポーツのあり方をさぐる先駆的な取り組みであり、評価すべきことだと思っています。

 このように、サッカーをはじめとするスポーツ振興のためのハード面とソフト面の地域の核づくりを進めることによって、市民の関心も高くなり、底辺も拡大し競技としてのレベルも向上し、「みんなで応援に行こう」という一体感や熱意が醸成し、『選手』と本当の意味での『サポーター』が育ってくるものと思います。
 行政としても、こうしたクラブと地域とがお互いに支え合っていく取り組みについて、生涯スポーツのための環境づくりとして、何らかの支援が必要なのではないでしょうか。
 サンフレッチェとは、日本語とイタリア語の複合語で、戦国の武将、毛利元就の「三本の矢」の故事からとられているものですが、カープと同様に広島の財産であるサンフレッチェを、「ハード(サッカー専用スタジアムの整備)」「ソフト(地域に根ざした双方向の支援体制づくり)」、そして「サポーターの熱意」の三位一体で盛り上げ、みんなで支えていくべきと考えますが、皆さんはどう思われますか。

 (追伸)

 行政の内部組織について、どうしても気になる点がありますので、この際、このことについて述べておきたいと思います。
 現在、執行機関の内部組織として「事務執行のあり方に関する検討委員会」と「貨物ヤード跡地利用提案評価委員会」が設置されておりますが、この委員会の委員長がいずれも収入役であるということに何か腑に落ちないものを感じています。
 地方自治法上、収入役は、会計事務の公正な処理を確保するために設けられた市長の補助機関であり、その職務権限も当該普通地方公共団体の会計事務をつかさどるものであります。つまり、収入役は、会計事務に関しては市長の補佐役としての職務権限を有しているものでありますが、助役のように広く普通地方公共団体の事務一般について、市長の最高補佐役として、市長を補佐するという職務権限は有していないのです。
 確かに、収入役も市長の補助機関であることから、法的には、市長の権限に属する事務を行うことも可能であると解されているようですが、収入役は、その職務に専念すべきであり、政策決定や予算執行に係る分野などについては、助役が不在である以上、その直属の部下であり、所管する事務について権限と責任を有する担当局長がその任に当たるのが組織論としては正常な事務処理体制ではないのでしょうか。
 地方自治体は、組織で事務を遂行していくものでありますから、形式的あるいは安易に委員会メンバーを構成することは、市民や職員に不信感を与えかねないものであり、ひいては、組織全体の運営に悪影響を及ぼす恐れがあるのではないでしょうか。