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(No.09) 平成14年4月30日 『地域のまちづくりについて』

 社会経済の構造は、一昔前と大きく変化してきています。変化の度合いも、以前は10年で世の中が変わっていたのが、今では、3年タームで様変わりするようなスピードです。こうした動きは、今後より顕著になってくると思いますが、私たちは、こうした現状を十分認識した上で21世紀の広島の方向を考えていかなければなりません。
 一方、世の中の変化のスピードに対して、私たちの生活拠点となるまちづくりは、長いスパンで考えざるを得ないところがあります。そこに住んでいる人が、本当に望んでいるような良い"まち"をつくるには、20〜30年、いやもっと長い年月がかかるからです。変化に対応しながらも、地域に根ざし、その土地の歴史や風土、住んでいる人の価値観、人や物の流れといったことを理解した上でのまちづくりでないと、皆が望むような暮らしとふれあいの空間は生まれないと思います。
 そのためには、その地域ならではの人々の連帯によって生まれる文化をまちづくりに反映させ、歴史や人々の暮らしぶりが醸し出されるような仕掛けづくりが必要なのではないでしょうか。東京のように器が大きく、様々な人が住んでいて、求めているものは次々と変わり、それに対して何でも供給するといったベルトコンベア式のまちづくりは、地方都市、それも生活の場としてのまちづくりには決して馴染まないものです。

 そういった意味で、現在、地域主体で進められている己斐と横川のまちづくりには大変注目しております。行政の押し付けのまちづくりではなく、地域の盛り上がりによる住民主体のまちづくりは、その土地の歴史と人々の顔が見え、それがその地域の特性としてだけでなく、周辺からも多くの人を呼び込めるような魅力になり得ると思うからです。

 己斐地区は、道路が狭隘で地区の安全性確保や不便さの解消から関心が高まったものですが、新交通の延伸やそれに合わせた道路等の整備がそれらを解決に導き、交通拠点性が向上することが期待されております。ただ、地元住民のアンケート調査では、北口の区画整理によるまちづくりに積極的に賛成しているのは約4割ということであり、今ひとつ物足らないものがあります。まだ、十分浸透していない段階ということもありますが、魅力づくりといった面の核が見えてこないということも一因ではないかと思います。
 いうまでもなく、まちづくりの主役は住民です。しかし、その街に、人々が集まり、誇りに思える中心となる部分がないと、活気溢れる生活は送れないと思います。己斐地区の計画は北口の住環境の整備が第一ということでしょうが、魅力づくりといった面で、南口の商店街などのやる気を呼び起こすような仕掛けが必要なのではないでしょうか。そうすれば、約4割という数値も高くなり、事業の推進力も上がってくると思います。一方、区画整理事業はご存知のように長い年月を要します。同地区の規模であっても20年はかかると思います。こうしたことから、事業手法の選択を早急に見極め、是非とも早期完成を目指してほしいものです。

 一方、横川は、地域の利便性と魅力づくりを兼ね備えた"まち"の中心部となる再生策が先行している計画となっているようです。駅前広場の整備とリンクする商業施設の整備は、単に地元密着型の生活関連施設ということではなく、広域拠点性の向上にも繋がると思います。
 横川商店街が発行している"かわら版"に次のような商業施設の役員のコメントが載っていました。「私たちは、横川駅がどのような特徴や機能を持てば地域の生活者が満足されるのかを考えていますが、その中で得た結論のひとつに、横川は『下町』だという点です。人情味溢れる接し方で買い物の楽しさを再発見していただきながら地域の皆様とともに『横川物語』を演出していきたい。」といった内容です。IT革命が進行する現在、地方にいても東京と同じ情報が入り、同じモノを購入できますが、地方の商店街も単にモノを売り買いする場から、地域社会に溶け込み、夢や楽しさを分かち合い、共に生きるという気持ちがこの言葉に表れていると思います。
 また、横川は、地元商店街と地域とが一体となって、「ふしぎ市」や「チャレンジショップ」が行われ、周辺地域からも人を呼べるイベントとして定着しています。本年度取りかかる横川駅前広場整備は、路面電車の乗入れとバス発祥の地という大正ロマンをコンセプトに進められようとしていますが、こうした地域のイベントと相乗効果を生み出せる"中心部"になるものと期待しております。これも地域の声がうまく行政などをリードした形となったわけです。

 こうしたことから考えますと、まちづくりには地域の声を吸い上げたコンセプトがいかに重要かということを痛感いたします。そして、このコンセプトをつくるには、住んでいる人が「こういうものがあれば……」「こうすればもっとよくなるのでは……」といった夢や希望をどんどん語っていく場が必要になります。
 横川地区には、今述べた地元主導の再生策の他に、行政主導で周辺地区の活性化策の検討が行われるやに聞いていますが、行政が形だけのコンセプトづくりを行っても、結局は地域の人の協力が得られず中途半端な血の通わない器づくりに終わってしまうのではないでしょうか。構想倒れに終わらせないためには、その地域だからできる資源を活用し、地域の盛り上がりから出てくるコンセプトを構築していくことが重要だと思います。そうすれば、単なる器づくりではなく、活況を呈する魅力づくりに繋がると思います。

 それと、これは夢物語と思われるかも知れませんが、長期的には横川・己斐地区の連続立体交差事業といったことも視野に入れて、分断地区の融合による一体的な街づくりも検討すべきではないでしょうか。
もちろん多額の費用がかかることも承知していますし、JRや広電の協力が大前提ということも分かっています。また本年度、道路の都市計画決定を予定している己斐地区まで延伸されるアストラムラインとの整合も大きな問題になるでしょう。
 しかし、こうしたまちづくりは先にも述べましたように、長いスパンで大局を見据えることも大切です。東部連立でやろうとしているまちづくりが、西部地区には構想さえ存在しないことの方がむしろ不自然と思えるのは私だけでしょうか。
 例えば、横川地区で言えば、新竜王橋東詰めから中広通りへ抜ける道路の計画が現在全く動いていないようですが、こうしたところから第一歩を踏み出し、南北開放に向けた将来ビジョンへつなげるような組み立てを考えるべきではないでしょうか。

 以上、地域の自主性が発揮でき、自立的なまちづくりが推進できるようなコンセプトづくりと、将来を見据えたビジョンの構築について私の意見を述べたわけですが、皆さんはどのようにお考えでしょうか。


(参考)まちづくり

市町村が住民の参加や協力を得て、又は、住民自身が福祉、産業振興、教育・文化、スポーツ等の分野で自分たちの地域の条件や個性を反映した施策を展開するとき、これを「まちづくり・むらづくり」と呼んでいる。