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(No.06) 平成14年3月1日 『新年度予算と被爆者対策について』

 「新世紀こそ核兵器のない平和な世界を」という訴えにもかかわらず、世界の緊張状態は続いています。恒久平和の実現に向けたヒロシマの役割はますます重要なものになっており、世界に向けた訴えもより大きなものとしなければなりません。
 こうした平和問題、核兵器の廃絶に係る取り組みというのは、世界各地における人種や歴史、宗教、イデオロギーといった計り知れない大きな壁を一つ一つ打ち砕いていかなければならない、正しく人類の悲願であるとともに、永久に逃れることはできない我々ヒロシマの使命だと思います。
 こうしたことから、本市は世界平和連帯都市市長会議を提唱し創設するなど世界平和の創造への数々の貢献を行ってまいりました。新年度予算においても、平和をつくりだす新規事業がいくつか盛り込まれています。

 そうした外に向けたヒロシマの平和創造の取り組みも必要ではありますが、もう一つ、決して忘れてはならない被爆の実態解明と被爆者援護という重要な問題があります。つまり、国内、それも広島に目を向けたときの被爆の実相に照らした被爆者の健康管理や、被爆体験から生じる苦しみからの解放といった対応課題です。

 長崎市は、市をあげてこうした被爆者サイドに立った取り組みを行ってきました。被爆地域、いわゆる黒い雨降雨地域の拡大認定に係る長崎市・長崎市議会・長崎市民が一体となって取り組んだ大掛かりな実態調査と、それを踏まえた国に対する強力な要望活動です。
 その長年の熱意が厚生労働省を動かし、専門委員会で検討され、その答申においては、未指定地域での健康被害は認められないものの、健康診断の実施と被爆体験に起因する心的外傷後ストレス傷害(PTSD)について、法律に準じて医療費の支給等が行われることになったことはご承知のことだと思います。

 広島も昨年末、遅ればせながら、被爆者が受けた心理的影響の解明のための調査会が設置され、やっと一歩を踏み出したところです。新年度予算でも、確かに2ヵ年かけた検討調査費の予算が盛り込まれています。

 しかしながら、ここで申し上げたいのは、何故、広島と長崎で、こんな大きな取り組みの差が生じたのか、ということです。
 これまで、広島は、原爆被爆者対策の面で、実態調査、援護対策、医療や諸手当の支給、関係施設の整備など、長崎をリードし引っ張る形でその拡充強化に取り組んできました。
にもかかわらず、長崎が今回成果を収めたのは、行政・議会・市民が一体となって取り組んできたからであります。
この被爆地域の拡大問題については、広島でも、10数年前から元気象庁の専門家が細かく地域を歩いて、国が言う黒い雨が楕円に降ったという被爆地域の見直しを求めてきたという話も聞いています。
 行政がこうした調査活動や被爆者の声に耳を貸そうとしない姿勢が長崎の取り組みとの格差を生じたのではないでしょうか。

 もともとの被爆地域の指定や被爆者手帳の交付の取り扱いに、広島と長崎で大きな相違があったとは思えません。
 黒い雨降雨地域の拡大認定について、「長崎の結果を踏まえた上で」といった姿勢では、被爆者の高齢化が進んでいる今、だんだん証言できる人もいなくなってしまいます。そうなる前に、被爆の実相をきちんと把握し、結論を急いで出すという問題意識を持って、最優先で対応し、国を動かしていくべきと考えます。

 私も子供ながら原爆の光線、爆風、熱線を直接体験し、その恐ろしさ、悲惨さを目の当たりにした一被爆者です。今、何をしてほしいのか、被爆者の切実な願いはわかっているつもりです。
 『外』に向けた取り組みも必要ではありますが、被爆者の苦しみを真剣に受けとめるという、今しかできない『内』に向けた取り組みが先決であると考えますが、皆さんはどう思われますか。