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(No.03) 平成14年2月5日 『貨物ヤード跡地利用構想』

 広島は「元気がない」とよく耳にします。拠点開発や駅前などの再開発が一向に進まないことに加え、商業系の大規模店の倒産、自動車工場の閉鎖などが追い討ちをかけて、最近ではその声がより大きく聞こえてきます。
 活を入れたい市も、税収の落ち込みなどにより大幅な緊縮財政を強いられ、10年ほど前はアジア競技大会関連整備などで年間約2,200億円あった投資的経費が、今ではその5割程度となっています。
 「元気がない」というのは、こうした経済環境、財政状況とともに、よく比較される福岡の元気のよさを意識した声だと思います。

 しかし、よく考えてみてください。平成6年のアジア競技大会は、地方都市で初の開催ということもあり、投資額も突出していたわけです。「目標」も鮮明であったし、この大会が終われば、以前のペースに戻ることも想定済みのところもありました。現在は、一休みして、成熟期への移行を模索しているとも言えるわけです。
 こうした状況下で、未来につながるさらなる活性化策を探るのであれば、広島には、活力のもととなる材料は数多くあります。
 例えば、スポーツでは、地方都市では自慢できる2つのプロ球団を抱えています。言うまでもなく「カープ」と「サンフレッチェ」です。バレーの「JTサンダーズ」やハンドボールの「メイプルレッズ」も活躍しています。
 文化面では「広島交響楽団」、郷土の文化も特色があるし、多くの文化人を輩出していることも誇りです。
 遊びの面では、海、山いずれのレジャーも盛んで、特に瀬戸内海という世界に誇れる資源があることも自慢の一つです。

 こうして考えてみると、広島には、経済状況に影響されにくい元気を生み出す資源はたくさんあります。それをうまく生かしきっていないという問題があるのだと思います。広島の活力源を有機的に結びつけ、人が集まり、賑わいを創出するような核施設、つまり「交流の受皿」がないことが、元気のなさの大きな要因ではないでしょうか。
 少々前置きが長くなりましたが、ここでは、未だ決着が見られていない貨物ヤード跡地利用構想について、私なりの考えを述べてみたいと思います。

 先にも述べました「元気」の材料は人の意識をも高揚させます。精神的な活力を生み出し、これが結集することにより市全体の活性化にもつながると思います。
 貨物ヤード跡地利用構想は十分「元気」の材料になり得るものですが、大切なのは、きちんとした「目標」と、それに突き進むことのできる「手順」を合わせ持つことです。
 例えば、アストラムラインの延伸計画では、目標を明確にしました。全線開通は30年先ということで、元気も半減というやむを得ないところもありましたが、それでも事業手法とユニット整備(注1)という実行手順を示したことで、市民の意識の高揚にはつながりました。己斐地区のアストラムラインの導入空間となる新たな幹線道路は近々都市計画決定される予定であり、地元のまちづくりの気運は盛り上がっています。
 この貨物ヤード跡地利用構想は、昨年の6月に、広島の将来の活力源とするための「交流の受皿」として認知し、4つの案の検討を提言したわけですが、ここで、一歩進めて、「事業手法」「実行手順」とセットにした案にしなければ、議論もできないし、明確な「目標」は立てられません。
 昨年の12月議会で一般質問がありましたが、端的に言うと、「市が買った土地を誰がどういう形態で活用させていくのか」ということです。
 市は土地を貸して上物は民間にまかせるのか、上物までは市がやって運営だけ民間にまかせるのか、それとも、土地と上物をセットでPFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ(注2))などの民活手法でいくのか、また、段階的な整備手法もあり得るのか、仮に民活でいくとすればどのような募集を行うのか、といった事業の成否を左右する大きな方向づけが必要となります。
 こうした「事業手法」や「手順」を示した提案でなければ、前に進みません。既に、議会も受皿づくりが必要という意思表示はしたわけですから、明確な「目標」が立てられるような事業プログラムがないと議論はできないということです。
 県は、安佐南区上安の県営住宅を、宅地造成から住宅整備、余剰地の利活用まで含めて、PFIでやろうとしています。観音マリーナ周辺のFMP(フェスティバル・マーケット・プレイス(注3))も民主導で事業化することとしています。他都市を見ても、マリンピア神戸や神奈川県立近代美術館など公共的な施設整備にPFI方式を積極的にとり入れています。
 民活がベストと言っているわけではありませんが、どうも広島は、トップの決断力のなさからか、第一歩を踏み出すのを躊躇する嫌いがあります。
 貨物ヤード跡地だけでなく、広島の都心周辺には多くの遊休地を抱えており、利子だけ払って遊ばせるというのは、それこそ行財政改革に反することです。仮に、民活型の提案や応募があれば、それを実現していくための手順を示し、積極的に実行していくという姿勢を、是非この貨物ヤード跡地利用構想で示してほしいのです。
 広島の将来に夢と希望を与える材料にしなければならないし、精神的な活力源にもしなければなりません。「もし、広島からカープがなくなったら…」という危機感を持って真剣に取り組むべきプロジェクトだと思います。

 今回は貨物ヤードの話に焦点を置きましたが、他のプロジェクトにおいても、こうした目標と手順を明確にしていくという作業を行い、費用対効果も加味した総合的な検討を行い、市民の合意形成を図っていくべきことは言うまでもありません。
 民か公かという「事業手法」の選択、そして、その「実行手順」について私の考えを投げかけたつもりですが、皆さんはどのようにお考えでしょうか。


(注1)ユニット整備

 全体事業を効率のよいユニット(単位)に分割して、そのユニット毎に事業の効果等を検証し、場合によっては見直しなどを行うといった柔軟な進め方。

(注2)PFI
 公共施設等の整備等に関する事業を、民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して効率的かつ効果的に実施する事業手法。

(注3)FMP
 様々な店舗を並べ、自然発生的な市場にあふれる活気を創出して、非日常的な興奮を演出する商業開発手法。